目次
- 1.厳しいパチンコ・パチスロ業界
- 2.4号営業のパチンコ・スロット台は改造が必須
- 2-1.禁止事項
- 2-2.営業方法について
- 2-3.改造証明
- 3.4号営業からの5号営業に移行するのに必要な手続き
- 4.まとめ
1.厳しいパチンコ・パチスロ業界
2022年1月は、パチンコ・パチスロ業界にとっての大きなターニングポイントとなりました。パチンコのCR機、パチスロの5号機と呼ばれる旧規則機が、2022年1月31日をもって完全撤去されました。
1台40~50万円する新台を導入できる店舗はそう多くはなく、コロナによる不況のダブルパンチということもあり、閉店に追い込まれるパチンコホールが相次ぐことが予想されます。
ピーク時である1995年に約1万8000店あった店舗は、2022年2月時点で既に半分以下の水準となっています。
パチンコ・パチスロ業界では、1玉0.5円台を導入するなどして、客離れを防ごうとはしていますが、新台入替を行わないと集客が難しい上に、単価を下げた薄利営業では収益を上げることが難しい状況が続いています。
そこで、風営4号営業(パチンコ店)から風営5号営業(ゲームセンター)に業態変更して、営業の立て直しを図ることを検討されているお店もあるかと思います。
結論から申し上げますと、風営4号営業で使用していたパチンコ・スロット台は、風営5号営業用に改造をすることで台の問題は解決できます。4号営業で使用していた台をそのまま5号営業に使用することは禁止されています。
パチンコ店からゲームセンターに業態変更またはスロット専門のゲームセンターを開業したいという営業者の方に向けて記事を書きましたので参考になれば幸いです。
2.4号営業のパチンコ・スロット台は改造しなければいけない
2-1.禁止事項
大人用及び4号転用メダルゲーム機では、
- 1.メダルを使用できないもの
- 2.メダルの払出装置がないもの
- 3.紙幣・500円硬貨を挿入できる構造(一度に挿入できるのは100円を超えないこと)
- 4.4号転用メダルゲーム機については、5号営業への転用にあたって、払い出し率の改善および外観の変更等、適切な改造が施されていないもの。
などの禁止事項が定められています。
日本アミューズメント産業協会において「健全化を疎外する機械基準」というのが定められており、公序良俗に反する機械を排除する諸対策推進の運用に活用されています。
風営法5号(ゲームセンター等)の申請はこの基準を満たせば営業可能と判断されています。
また、風営4号営業で使用していたスロット台等には、主基板番号と筐体番号など(登録番号に関するシール)は、外部からは見えないようにしなければいけません。
2-2.営業方法について
パチンコ台やスロット台を購入するとなると中古台とも言えど、ジャグラーやミリオンゴッドなどの人気機種は購入にかかる費用も高額ですので、4号営業で使用していた台を5号に転用することができないかと考えられると思います。
5号営業に台を転用することには、先ほど説明したように上記のような制約があることから、まずはどのような営業方法をするのかをまず検討する必要があります。
考えられる営業方法としては、
- ・メダルを使用するのかメダルレスでの営業にするのか
- ・メダルを購入してもらうシステムか、それとも時間制の打ち放題にするのか
だと思われます。
上記禁止事項では、ゲームセンター用のスロット台では「メダルを使用しないものは禁止」とありますが、紙幣等を挿入しないメダルレス機にしての打ち放題での営業であれば家庭用のゲーム機に近く、「4号から5号への転用」というガイドライン遵守を必要とする改造ゲーム機の対象外と解釈されています。
そのため、メダルレス機にして打ち放題制のゲームセンター「パチンコ・スロット専門店」の営業も可能という訳です。
メダルを使用しての営業形態であればメダルの預かり制にすることも可能です。※メダルの預かり制システムも可能ですが守るべきルールがあります。
また、ゲームセンター営業では、クレーン式遊技機(UFOキャッチャー)等では上限800円までの景品を認められていますが、ゲームセンターのパチンコ・スロット店ではメダルや得点で景品に交換することは一切禁止されています。
2-3.改造証明
「4号から5号への転用」する場合は、改造した作業の内容を説明文に写真を加えて、実施した業者の方にも協力してもらい作成する必要があります。
ビフォアー・アフターの写真を添付して、例えば「紙幣の投入口(サンド)を使用できないようにする過程」の写真を添付すれば、受理する警察官の方も分かりやすいでしょう。
改造できる業者をお探しの方は、アミューズメント産業協会においても改造できる業者の方は紹介してくれるようです。協会に属していない業者でも問題ありません。
改造には多額の費用を要します。
都道府県公安委員会によって運用ルールが若干違う場合もありますので、管轄の警察署で事前相談をしながら進めていくのが安全でしょう。
3.4号営業からの5号営業に移行するのに必要な手続き
ゲームセンターとしてのスロット専門館を新規で手続きするのであれば、通常の風営法の申請と変わりありません。
4号営業(パチンコ店)から5号営業(ゲームセンター等)に移行して営業する場合は複雑な手続きが必要になります。
その中でも一番複雑なケースである4号営業の一部をそのまま残して、4号で営業していた一部で5号営業する場合を例に説明いたします。
<手続きの流れ>
- 1.4号(パチンコ店)の変更承認申請(廃止)手続き
↧ 実査の日程調整
- 2.浄化協会による店舗実査(台を撤去しておく必要あり)
↧ 実査後、土日祝日を除いた10日以内に承認が下りる(標準処理期間)
- 3.承認連絡・その日から5号営業の申請が可能
↧
- 4.5号営業(ゲームセンター等)の申請
↧ 申請してから土日祝日を除いた55日以内に承認が下りる(標準処理期間)
- 5.浄化協会による店舗実査(台を設置して、営業できる状態にしなければいけない)
↧
- 6.許可連絡・その日から5号営業が可能
営業許可書の書き換えやなどの細かい手続きもありますが、概ねはこのような流れになります。
パチンコ店の一部をゲームセンターに移行しての営業する場合は、変更承認の手続きが必要になるケースが多く、営業できない期間も出てきますので、事前に綿密なスケジュールを立てて申請することを推奨します。
4.まとめ
パチンコのCR機、パチスロの5号機が撤去されたということで、パチンコ・スロット業界はこれまで以上に厳しい状況に陥ることが予想されます。
しかし、娯楽が世の中からなくなること絶対にはありません。パチンコ・スロットは歴史も長く、日本文化とも言え、根強い人気があるのは周知の事実です。
来日観光客・外国人の方がパチンコ・スロットで打って楽しんでもらうのも新鮮で面白いと感じてもらえるのではないでしょうか。生き残りをかけて業態転換を検討するのも1つの手段ではないかと考えます。
2016年(平成28)12月にはIR法「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」が公布・施行され、カジノの解禁も迫ってきています。
ここ最近では、カジノの解禁も見据えてなのかアミューズメントのポーカーバーの出店のご依頼も多く、時代の流れを感じます。
弊所では、年間100件以上の風営法にかかる申請に携わっています。
5号転用のパチンコ・スロット台の申請は専門性があり警察相談も必要になることから、非常に難易度が高いものとなっています。
出張を伴う申請についても対応致します。
ご相談だけでも喜んで承りますので、お気軽に問い合わせください。
【参考になる記事】
ゲームセンター(風営法5号)の 許可申請について~要件と許可申請のための手順について~
アミューズメントカジノ (風営法5号)の許可申請について~要件と許可申請のポイントについて~