風営法(深夜酒類提供飲食店)における外国人雇用の注意点について

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コラム

目次

 

1.外国人を雇用する際の注意点

この記事にたどり着いたということは、風営法許可(深夜酒類提供飲食店を含む)を取得している飲食店の経営者またはアルバイトを探している外国人の方ではないでしょうか。

 

外国人は在留資格によって働くことができないお店というのが法律で定められていますので、最低限の知識は理解しておかないとお互いが不幸になってしまいますので注意してください。

 

この記事では、在留外国人が働くことができないお店について解説していきます。

 

1-1.雇用主が該当する罪

外国人を雇用する際は、必ず、在留カードで資格を確認

「就労制限なし」と記載してあれば,キャバクラでも性風俗店でも働くことが可能

 

風営法を取得している経営者の方が本来、雇用してはいけない外国人を雇用した際に問われる罪として、出入国管理法には、不法就労助長罪が定められており、

  1. 1.   事業活動に関し、外国人を雇用するなどして不法就労活動をさせる行為
  2. 2.外国人に不法就労活動をさせるために、自己の支配下に置く行為
  3. 3.業として、外国人に不法就労活動をさせる行為、又は(2)の行為に関しあっ旋する行為

 

を処罰の対象とし、これらに該当した者については、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科すると定められています。

 

これは風営法の無許可営業(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)よりも厳しい処分となっています。「知らなかった」では済みません。逮捕されて勾留されるおそれが非常に高い犯罪です。

 

1-2.雇用されている外国人が該当する違反

「風俗営業等の従事を除く」と記載あり

 

日本に在留している外国人が本来の在留資格では許可されていない活動(就労)を行うには、資格外活動の許可を入国管理局に申請して許可を得る必要があります。

 

ただし、資格外活動許可を取得していたとしても、風営法に分類されている店舗では就労できない決まりとなっています。

 

もし、資格外活動違反で就労していたことが入国管理局にバレてしまったら当外国人ビザの更新ができないどころか、最悪は強制送還となってしまいます。

 

店舗側も前記不法就労助長罪を問われます。

 

資格外活動違反は出入国管理法第70条に記載されているとおり、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその懲役若しくは禁固及び罰金を併科される犯罪であることを知ってください。

 

2.風営法と外国人

そもそも、なぜ風営法関連のお店では外国人の雇用制限があるのかを考えてみましょう。

 

留学ビザを取得している外国人を例に説明していきます。

 

外国人留学生は日本で勉強するために来ています。留学ビザを取得している外国人は、日本で学校に通いながら暮らしていける資力もあるとみなされたから在留許可が下りているのです。

 

一方、風営法は青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために定められている法律ですので、風営法に該当する店舗は営業時間や営業区域、または営業者の欠格事項なども定められています。

 

そういった制限を受ける風営法関連のお店で、時給が高いからと言って、外国人留学生がキャバクラや性風俗で働くというのは、外国人留学生にとって本業にも支障が出かねないというのは理解できるかと思います。

 

では、風営法4号許可で営業している健全営業の健康マージャン店で働くことが必ずしも外国人にとって有害なのかと言われたら難しいところはあるのですが。。。

 

3.雇用してもいい在留資格とは

風営法関連のお店で働くことができるビザの種類は、下記の5種類になります。

  • 永住者
  • 特別永住者
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等

上記5つの資格を持つビザであれば、風営法関連の店舗で働くことができますし、風営法店舗の管理者にもなることができます。

 

3-1.申請者になれる在留資格

上記5つの在留資格を持つ外国人は、風営法における制限は受けませんので、営業者にもなることができます。

 

また、就労ビザの「経営・管理」は営業者にはなれますが、風営法店舗で雇用されることはできませんし、自分が経営する店舗であっても管理者になることはできません。別の者を管理者にする必要があります。

 

3-2.ビザの更新時期に注意

上記5つの在留資格の方で風営法関連の店舗を警察署に申請(届出)する場合は、ビザの更新時期にも注意しなければいけません。

 

上記5つの在留資格及び「経営・管理」ビザを持つ外国人の方で在留資格の更新期間が切れてしまい、更新手続き中である場合には、更新手続きが完了しないと風営法の申請(届出)することができません

 

ビザの更新手続きは3か月前から申請できますので、計画的に行うようにしてください。

 

4.風俗営業とは具体的にどんなお店? 深夜酒類提供飲食店の位置づけは?

 

「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(略して、風営法)」に記載されているお店が風営法に分類されるお店と理解されます。

 

風営法第2条において、「風俗営業」とは具体的に下記の店舗の営業形態が記載されているのですが、深夜における酒類提供飲食店営業は風俗営業には含まれていません

 

これまで風営法関連のお店として説明してきましたが、実際、風俗営業とは具体的にどのようなお店であるか順番に説明していきます。

 

4-1.風俗営業(風営法第2条1項)

  • 第1号営業 キャバレー/社交飲食店/料理店/バー/クラブ等
  • 第2号営業 低照度飲食店
  • 第3号営業 区画席飲食店
  • 第4号営業 マージャン店、パチンコ店等
  • 第5号営業 ゲームセンター等

キャバクラや麻雀店、パチンコ店、ゲームセンターは風俗営業です。

 

ただし、デパート内にあるようなゲームセンターは風俗営業許可が必要ないケースが多いです。そのようなお店で資格外活動許可を取得している外国人がアルバイトすることは問題ありません。

 

4-2.特定遊興飲食店(風営法第2条11項)

  • 例)ナイトクラブ、ライブハウス

深夜帯にお酒を提供して、お客にダンスを躍らせたり、歌を聞かせたりするようなナイトクラブやライブハウスは風俗営業です。

4-3.性風俗特殊営業(風営法第2条5項)

  • 第1号営業 ソープランド
  • 第2号営業 店舗型ファッションヘルス
  • 第3号営業 ヌードスタジオ/個室ビデオ/のぞき部屋/ストリップ劇場
  • 第4号営業 ラブホテル/モーテル/レンタルルーム
  • 第5号営業 アダルトショップ/大人のおもちゃ屋等
  • 第6号営業 出会い系喫茶営業
  • 無店舗型性風俗特殊営業 派遣型ファッションヘルス等/アダルトビデオ等利用のアダルト画像送信営業
  • 映像送信型性風俗特殊営業 インターネット等利用のアダルト画像送信営業
  • 店舗型電話異性紹介営業 テレホンクラブ(入店型)
  • 無店舗型電話異性紹介営業 ツーショットダイヤル/伝言ダイヤル等(無店舗型テレクラ)

上記は、風俗営業です。

 

4-4.深夜における酒類提供飲食店営業

先に述べたように、「深夜における酒類提供飲食店営業」は風俗営業には該当しません。

 

深夜帯に営業を行う大衆居酒屋などのお店でしたら、資格外活動許可(週28時間以内)を持つ外国人を雇用するのことに問題ありません。

 

ただし、来日目的がある外国人の本業に害するような深夜帯に働いていることが多い場合などには、入国管理局に悪い印象を与えかねませんので、雇用主側も雇用している外国人が不幸にならないように管理してあげてください。

 

深夜帯の労働が多い場合、在留外国人のビザの更新許可が下りなかったということも大いにあることです。

 

ガールズバーやコンセプトカフェ・メイドカフェなどで、外国人(留学ビザ・就労ビザ)が働くことは絶対に止めてください。

 

ガールズバーなどは深夜酒類提供飲食店として管轄の警察署に届出を行っている店舗が多いという実情がありますが、実際のところ、一緒にお客とカラオケをデュエットしたりお酌をしたりなどと「接待行為」をしているお店が多々あります。

 

そういったお店は、本来、風俗営業第1号(社交飲食店)の許可を取得しなければなりません。

 

ここ最近、全国的にみてもガールズバーなどは接待行為をしているとして、風営法の無許可営業違反で摘発されることが非常に多くなっています。カウンター越しの接客だから大丈夫とは思わないでください。

 

もし、摘発を受けた場合、働いていた外国人が強制送還なることはもちろん、雇用主側も風営法違反に加えて、不法就労(助長)罪で逮捕されてしまうおそれがあります。

 

4-5.接客業務受託営業(風営法第2条13項)

下記の営業主から委託を受けて客に接する業務の一部を行うこと。

  • 接待飲食店営業
  • 店舗型性風俗特殊営業
  • 飲食店営業(「酒類提供飲食店営業」において、午前6時から午後10時までの時間に営む以外のもの)

例)コンパニオン、芸者の派遣など

コンパニオンなどの形態も風俗営業にあたります。

 

5.まとめ

以上のとおり、風俗営業に関わるお店における営業者側と雇用される外国人側の目線から解説してきました。

 

働くことができない外国人を採用してしまうとお互いが不幸になってしまいます。

 

外国人を採用する際は、必ず、在留カードで本人確認をするようにしてください。

 

また、風営法関連のお店(深夜酒類提供飲食店を含む)では、従業者名簿を備え付ける義務があります。

 

警察官による立ち入りがあった場合は、必ず、チェックされるものになりますので、もしこの記事を読んで従業者名簿を備え付けていない場合は備え付けるようにしてください。

 

従業者名簿 の書式

 

従業者名簿の設置義務違反は、50万円以下の罰金となっています。

 

この記事を読んで分からないことがあれば、お気軽に弊所にお問い合わせいただければと思います。

 

外国人のビザ申請(更新)についても承ります。

 

 

<業務対応地域>

東京都全域・港区、新宿区、渋谷区、目黒区、、品川区、千代田区、大田区、豊島区、文京区、杉並区、世田谷区、足立区、墨田区、江戸川区、台東区、北区、葛飾区、荒川区、中央区、板橋区、練馬区、中野区、江東区、武蔵野市、八王子市、小金井市、西東京市、調布市、稲城市、府中市、多摩市、町田市、立川市、清瀬市、国分寺市、国立市、武蔵村山市など

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千葉県のうち東京都近郊の地域・船橋市、千葉市、市川市、松戸市、浦安市、習志野市、八千代市、柏市など

埼玉県の内東京都近郊の地域・さいたま市、春日部市、所沢市、ふじみ野市、入間市、飯能市、川越市、川口市、蕨市、坂戸市、鶴瀬市、朝霞市、新座市、和光市、富士見市、戸田市、草加市など

 

 

 

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