ラウンジを開業する際の注意点と必要な営業許可を解説

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コラム

目次

1.物件契約時の注意点

ラウンジとは、「社交場」という意味を持ちます。

 

ラウンジを開業する場合は、キャストがお客さんの隣に座って一緒にお酒を飲んだりと接待を伴うのが通常だと思いますので、風営法の許可を取得する必要があります。

 

一方、バーは「カウンター越しにお酒を提供するお店」というのが定義としてありますので、バーテンダーがドリンクを作って単に提供する場合であれば、風俗営業の許可は必要ありません。

 

ラウンジ営業で風営法を取得する場合には、いくつか注意点がありますので順番に解説していきます。

 

1―1.風営法許可を申請できない場所がある

ラウンジを開業する際に必要な風俗営業1号(社交飲食店)の許可は、

      • 用途地域(主に商業地域・近隣商業地域)
      • 保全対象施設(学校や保育園、病院など)

の制限を受けます。

 

都道府県の公安委員会によって、若干基準が異なるのですが、営業所の半径〇メートル以内に保育園や病院などがあったら風営法を申請できないことがありますので、物件契約前には必ず、風営法専門の行政書士に確認をしてもらってから物件契約をするようにしてください。

 

弊社でもせっかくご依頼を頂いて営業所の現地調査をした結果、保全対象施設が営業所の近くにあって申請できなかったというのが年に数回はあるものです。

 

物件契約前に気づけばいいのですが、物件契約後だと大きな損害が出ますので注意が必要です。

 

 

1-2.客室が2室以上ある場合は注意

まずは、客室を分ける必要がある場合についてですが、個室がある場合や客室の見通しを考えて1室とは言えない場合は、客室を分けて申請する必要があります。

 

その場合、それぞれの客室の大きさが基準(16.5㎡以上)を満たしている必要があります。

※和室の場合は、1室9.5㎡以上

※客室が1室しかない場合は、客室の大きさに基準はありません。

 

客室の計測方法はお客さんが通常使用するスペースで測ります。風営法許可の取得には現地調査がありますので誤魔化しはできません。

 

 

1-3.見通しを遮る構造(段差)に注意

上記の客室が2室以上ある場合は、それぞれの客室が16.5㎡以上ないといけないという基準に付随するのですが、段差がある客室の場合も注意が必要です。

 

風営法では、高さが1メートル以上あるものについては、見通しを遮る物に該当するケースが多々あります。

 

段差がある客室の場合、当然、ソファの背もたれの高さは段差が低い方と高い方では、計測方法によっては高さが異なります。段差が低い方から計測すると高さが1メートルを超えてしまうということがあります。

 

そういった場合は、風営法専門の行政書士に現地確認してもらいましょう。

 

1-4.契約名義人について

風営法の申請を行うには、建物オーナーからの使用承諾が必要になります。

 

使用承諾とは、建物オーナーから申請者が風俗営業をすることを承認してもらうということです。

 

私たち風営法専門の行政書士がよく経験するのが、建物契約人と風営法の申請者が違うために建物オーナーから使用承諾を得られないということがよくあります。

 

物件契約には多大な費用と物件の審査があるため、支援者となる方も必要になります。

 

支援者の方が物件契約者となって、別の方が申請者となる場合には、契約を結ぶ前に必ず、不動産屋に使用承諾がオーナーから頂けるかを確認してください。

 

 

2.ラウンジ営業に必要な許可と費用について

2-1.食品衛生法の飲食店営業許可

営業所がある管轄の保健所にて、飲食店営業許可を取得します。

 

飲食店営業許可は、お店で作ったドリンクや料理をお客さんに提供するのに必要な許可です。

 

      • ・申請手数料(16,000~18,330円)の納付(自治体によって異なります。)
      • ・食品衛生責任者等の資格(猶予期間がありますので、資格がなくてもオープンには支障ありません。)
      • ・施設の構造と設備が食品衛生法の基準を満たすこと
      • ・HACCAPに基づく衛生管理を行うこと

ことを条件に保健所職員による営業所の現地調査に合格すれば、営業許可が下ります。

 

※食品衛生責任者の講習には、各自治体がオンライン講習(東京都)に対応していますので負担が少なくなりました。(受講料1万円程度)

食品衛生法に関する記事はコチラを参考にしてください。

 

食品衛生法の営業許可申請については、難易度はそれほど高くありませんので、ご自身で行えば経費を節約することができます。

 

行政書士に依頼すると、報酬は5万円くらいが相場となっています。

 

 

2-2.風営法1号(社交飲食店)の許可

食品衛生法の許可とは別に、「接待行為」を行う営業をする場合には、風俗営業1号(社交飲食店)の許可が必要です。

 

営業所がある管轄の警察署(生活安全課保安係)で申請を行います。

 

営業者の方が風俗営業の許可で一番気にされるのが許可が下りるまでの期間です。

 

風営法の申請を行った翌日から起算して、土日祝日を除いた55日以内(標準処理期間)に許可が下ります。

 

風営法の許可が下りるまで、申請してから約2か月は時間を要します。

 

営業者の方はできるだけ空家賃を防ぎたいと思われますので、

      • 1.物件契約
      • 2.内装工事
      • 3.食品衛生法の飲食店営業許可の取得
      • 4.風営法の申請

と無駄な期間ができないように手続きを進めていくのが、少しでも早く許可を取得するコツになります。

 

そのためには、なるべく早い段階で風営法専門の行政書士に依頼することです。

 

風営法の申請では、営業所の現地実査があります。

 

営業ができる状態で実査を受ける必要がありますので、スケジュールを内装業者やカラオケ業者とも調整することが必要になりますので、風営法を専門としている行政書士に依頼するようにしてください。

 

風営法の申請にかかる費用は、

      • ・申請手数料24,000円(公安委員会)
      • ・行政書士の報酬は、20~30万円が相場

となっています。

※行政書士の報酬ですが、店舗の大きさや構造の複雑さによって、金額が上乗せされるのが一般的です。

 

風営法の申請は専門性が高いので、ご自身で申請されるのは至難の業です。

 

 

2-3.消防手続き

火災や地震に備えて従業員とお客さんの命を守るためにも、経営者は消防手続きも済ませておかなければいけません。

 

消防手続きについては、下記3つ手続きを行う必要があります。

      • 1.防火使用開始届
      • 2.防火管理者選任届(甲種または乙種の講習を受講する必要がある)
      • 3.消防計画

を営業開始までに管轄の消防署に手続きを行います。消防手続きには申請手数料などはかかりません。

※防火管理者講習についてはコチラ

 

消防手続きについては、行政書士でも苦手とする人が多い手続きです。

 

しかし、お店をオープンする上では必要な手続きとなりますので、必ず、手続きを行うようにしましょう。

 

もし、火災や地震があって人命に関わることがあって、手続きを怠っていたとしたら重過失責任を問われてしまいます。

 

消防手続きについては、申請手数料などはありませんが、防火管理者の講習料が7,000~8,000円程度かかります。

 

消防手続きについては、詳しくはコチラ(防火使用開始届防火管理者消防計画)の記事を参考にしてください。

 

3.まとめ

先ほどにも申し上げたとおり、ラウンジ営業には、風俗営業1号(社交飲食店)の許可を取得しなければいけません。

 

風営法の許可が下りるには、申請してから約2か月を要します。

 

物件契約から内装工事などをしてとなると、どんなに早くても3か月はかかってしまいます。

 

空家賃を防ぐには、早い段階で風営法専門の行政書士に依頼してください。

 

経営者は、従業員の募集・教育など他にやるべきことがたくさんあります。許可の手続き関連は行政書士に丸投げして、オープン準備に専念していただけたらと思います。

 

弊社では、年間100件以上の風営法関連の手続きに携わっており、イレギュラーな案件もお手伝いさせて頂いています。

 

風営法関連の手続きのみならず、消防手続きも弊社で承っております。

 

お店を開業したいと独立しようか検討している、なかなかいい物件が見つからないなど、弊社ではそのような段階からご相談に対応しております。相談料は頂いておりませんのでお気軽にご相談いただけたらと思います。

 

 

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