飲食店開業に必要な『消防計画作成届出書』『消防計画』の作成について

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コラム

目次

1.『消防計画作成届出書』『消防計画』の作成についての概要

飲食店を開業するためには、飲食店営業許可申請を保健所に届ける必要があります。衛生面以外にも防火面の安全を守るために消防署に対しても届出が必要です。

 

消防署に対しては新たなテナントで営業を開始する際に必要な『防火対象物使用開始届出書』と、事業者の防火管理に関して『防火管理者選任届』と『消防計画作成届出書』『消防計画』を届出る義務があります。

 

「防火管理」とは、火災の発生を防止し、かつ、万一火災が発生した場合でも、その被害を最小限にとどめるため、必要な対策を立て、実行することです。ここでは事業者はお客様や従業員の安全を守って店舗を運営するために、作成しておくべき『消防計画』についてご案内します。

 

2.『管理権限者』と『防火管理者』について

 

事業者の防火管理遂行のために『管理権限者』(防火管理の最終責任者:建物の所有者・建物の賃借人など)が『防火管理者』を選任します。

 

『防火管理者』は防火管理業務の推進責任者として、防火管理に関する責務を行いますが、その中でも重要な業務が『消防計画』の作成と管理です。飲食店では調理などの際にコンロで火を扱うことになりますから、防火管理者だけではなく、調理する従業員やすべての従業員に火の扱い方や火災に対する知識が必要となります。

 

そのため、防火管理者による『消防計画』を義務付けしており、従業員に対して計画に基づいた防火防災教育の実施などが求められているのです。単に計画を立てて届出を行うだけではなく、日常的・定期的に自主的な検査や防災訓練などの実施を行わねばなりません

 

飲食店を開業するにあたって、「飲食店営業許可」と同様に防災意識も持っておくべきです。『消防計画』は、店舗やテナントの状況に沿った計画の提出を求められており、その規模によって「大規模」「中規模」「小規模」に分類されています。

 

ここでは収容人員がお客様と従業員合わせて30人未満である比較的規模の小さい飲食店が作成する「小規模用」消防計画作成届出書の書き方について詳しくお伝えしていきます。

 

3.『消防計画作成届出書』の作成

※参考:消防計画作成例(小規模用)記入要領

 

(1)『消防計画作成(変更)届出書』の活用・見出しの作成

『消防計画』申請時には『消防計画作成(変更)届出書』を一緒に提出します。『消防計画作成(変更)届出書』の「作成(変更)」のうち、不要の文字を―で抹消します。

 

(2)年月日の記入

管轄の消防署に対して届出書を提出する年月日を記入します。

 

(3)「宛名」は必ず管轄の消防署長に

上記の作成例については、「東京消防庁 ○○消防署長」となっていますが、この○○の中に管轄の消防署(例:赤坂、麻布、高輪など)を記入します。

 

また、その他の地域においては、「〇〇市中央消防署長」「〇〇市南消防署と記入する場合もあります。

 

市や区単位で管轄が統一されていないこともありますので、事前に店舗を管轄する消防署を

確認しておくといいでしょう。

 

(4)防火もしくは防災

防火、防災のうち、不要の文字を で抹消します。「防火管理者」の場合には、「防災」のように抹消しますが、同一の届出で防火管理に係る消防計画及び防災管理に係る消防計画の両方の届出を行う時はそのままにします。

 

(5)防火管理者の住所・名前

店舗に配置する防火管理者の名前と住所を記入します。住所は住民登録している住所になります。

 

(6)管理者権原の氏名

店舗を管理する権原の有するものの氏名(建物のオーナーなど)を記入します。個人の店舗であれば個人名を、法人の場合であれば法人名と代表者名を記入します。

 

(7)防火対象物又は建築物その他の工作物の所在地

届出をする店舗所在地を記入します。

 

(8)防火対象物又は建築物その他の工作物の名称

届出をする防火対象物(又は建築物その他の工作物)の名称を記入します。防火対象物(又は建築物その他の工作物)に入居して営業している店舗等の場合は、当該防火対象物(又は建築物その他の工作物)の名称を記入し、店舗の名称、入居する階を( )内に記入します。

 

(9)防火対象物又は建築物その他の工作物の用途

防火対象物に入居して営業している店舗等の場合は、当該防火対象物の用途を記入して入居している店舗等の用途を( )に記入します。飲食店が複数入っているビルでレストランや食堂、料理店など、飲食店を経営する場合であれば「特定用途の複合(飲食店)」と記入します。

 

(10)令別表第1( )項

飲食店の場合であれば「(3)項ロ」と記入します。

この区分は防火対象物の用途区分表(消防法施行令別表第1)に記載されています。

 

(11)その他必要な事項

当該事務所の防火・防災管理者の連絡先の電話番号や当該事業所の従業員数を記入します。 変更届出の場合は主な変更理由を記載します。

 

4.小規模用『消防計画作成届出書』の作成を徹底解説

※参考:消防計画作成例(小規模用)記入要領

 

①名称

「〇〇レストラン」「キッチン〇〇」など届出をする店舗の名称を記入します。

 

②防火管理業務の一部委託

防火管理業務の一部を委託しているのであれば「該当」にチェック、していないのであれば「非該当」にチェックします。

 

③消防機関との連絡等「防火対象物定期点検報告

  • 収容人員が300人以上
  • 収容人員30人以上300人未満で避難階以外の階に特定用途に供される部分が存するものなど

 

上記の通りであれば「該当」にチェック、該当していないのであれば「非該当」にチェックします。

 

④消防機関との連絡等「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告」

特定防火対象物の場合は「1年」にチェック、非特定防火対象物の場合は「3年」にチェックします。

⑤日常の火災予防の組織

火災予防のために防火管理者だけではなく、その補佐役として「防火担当責任者」「火元責任者」を定める場合には、例の通り、担当者名を記入しておきます。

 

⑥消防用設備等の法定点検

消防用設備等の法定点検を委託している場合には、「委託業者」の欄に「委託業者の名称」「電話番号」を記入します。

⑦自衛消防の組織

火災などが発生した場合のために、積極的な自衛消防活動ができるように「自衛消防隊長」をはじめとして、「通報連絡担当」「初期消火担当」「避難誘導担当」を定めておきます。

⑧震災対策(避難場所

震災時の対策として避難して安全が確保できるような敷地内の駐車場や、店舗が存在する地域において定められている広域避難場所などを記入します。

 

⑨震災対策(その他必要な事項)

震災対策として、地域や周辺店舗などでの取り組みなど、必要な事項がある場合に記入しておきます。

 

⑩⑪⑫訓練及び教育(実施時期、消火訓練・避難訓練・通報訓練:回数/年)

消防訓練の実施する時期を明記しておきます。消火訓練と避難訓練については、特定防火対象物の場合、年に2回以上、非特定防火対象物の場合であれば年に1回以上必要になります

 

通報訓練については、特定防火対象物・非特定防火対象物ともに年に1回以上必要です。

 

⑬統括防火管理者への報告

統括防火管理者への報告事項がある場合には該当にチェックし、ない場合には非該当にチェックします。

 

また、上記の例の通り、「防火管理者の選任や解任」「消防計画の作成や変更」「統括防火管理者からの命令に対する結果」などについて記載しておくといいでしょう。

 

⑭その他必要な事項

その他必要な事項があれば記載しておきます。実際に火災が発生した場合に、周辺の店舗などと協力することや、厨房設備の清掃などについて明記しておくといいでしょう。

 

・「自主検査記録表」「消防用設備等自主検査記録表」について

「自主検査記録表」「消防用設備等自主検査記録表」については、上記の通り、「〇:良」「×:不備・欠陥」「△:即時改修」として記録していきます。

 

⑮⑯避難経路図・広域避難場所までの経路

「別紙参照」として、上記の通りに建物の図面や地図などを添付しておくことが可能です。

 

4.まとめ

飲食店の開業には飲食店営業許可の他に、消防に関する届出として今回ご案内した『消防計画作成届出書』『消防計画』も作成が必要です。

 

その他に、飲食店の店舗を使用開始するにあたって『防火対象物使用開始届出書』、工事をする場合は『防火対象物工事等計画届出書』、そして店舗の防災管理を行う責任者の選任を届出る『防火防災管理者選任届』も必要です。さらに、店舗の広さや収容人員、その他要件によって管轄消防署の立会検査も実施されます。

 

飲食店の営業を開始するにあたっては、これらの消防の届出の他に、保険所の飲食店営業許可申請、営業形態によっては警察への届出と同時に進めていくことになります。開店準備で多忙な時期ではありますが、消防に関する届出はお客様と従業員の命や店舗の財産を守ることに直結するので怠ることはできません。これら全ての申請について営業者ご自身での手続が難しいとお考えの場合は、行政書士事務所にご相談下さい。

 

安全な店舗運営のために数々取扱ってきた事例を踏まえて対応いたします。

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