1.プレオープンとは

無料でも「営業」に当たる場合があります
「風俗営業の許可が下りる前に、プレオープンしてもいいですか?」
これは実務でよく聞かれる質問です。
プレオープンとは、正式オープン前に、接客やオペレーションの確認などを目的として行う試験的な営業のことです。飲食店などでもよく行われています。
ただし、「お金を取らない=許可なしで営業してもいい」ではありません。
例えば、飲食店営業許可が下りる前に、一般のお客様や多数の招待客を呼んで、店の厨房で料理を作って提供する場合です。
食品衛生法上、「販売」には不特定または多数の者への無償の授与も含まれます。また、飲食店営業は、食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業とされています。
そのため、通常営業と同じように料理を提供するのであれば、無料のプレオープンであっても、飲食店営業許可を取得してから行うべきです。
一方で、家族やごく身近な関係者だけで、厨房設備の確認や料理の試作をして一緒に食べる程度であれば、通常の飲食店営業とは性質が異なります。
ここで重要なのは、実態が営業なのか、それとも単なる内部の試作・研修なのかという点です。
また、仮に身内だけで料理を提供していたとしても、食品衛生上の責任がなくなるわけではありません。実際に食中毒が発生すれば、保健所による調査の対象となります。
さらに、その実態が「店として客を招いて料理を提供していた」と判断されれば、食中毒の問題とは別に、無許可で飲食店営業をしていたのではないかという問題も生じます。
このように、プレオープンでは「無料か有料か」だけで判断することはできません。
それでは、風俗営業の許可が下りる前のプレオープンの場合はどうなるのか、具体的に見ていきましょう。
2.風俗営業の許可前にプレオープンしてもいい?

許可前でも、開業準備としての研修や練習まで禁止されるわけではありません
結論からいうと、開業前の研修やオペレーション確認まで、すべて禁止されるわけではありません。
例えば、ポーカーバーであれば、
- 家族や友人に客役をお願いして、ディーラーの進行を練習する
- チップの受け渡しやゲーム進行を確認する
- スタッフ同士で接客の流れを確認する
といった内容です。
このように、一般のお客様を集客するのではなく、開業準備として身近な人に協力してもらい、研修や練習をしているだけであれば、通常は「風俗営業を営んでいる」とは考えにくいでしょう。
一方で、一般のお客様を招いて通常営業と同じようにポーカーを楽しんでもらったり、SNSで「無料プレオープン」「参加者募集」などと広く募集したりすると、話は変わります。
料金を取っていなくても、店舗の宣伝や集客を目的として、実際の営業と同じサービスを提供しているのであれば、営業の一環と判断されるおそれがあります。
つまり、ポイントは、
「お金を取ったか」ではなく、「開業前の研修なのか、それとも実質的な営業なのか」
という点です。
3.よくあるケースQ&A

「無料なら?」「知人だけなら?」「SNS募集は?」よくある質問を整理
Q1.お金を取らなければ大丈夫ですか?
無料だから大丈夫、というわけではありません。
一般のお客様を招いて通常営業と同じようにサービスを提供しているのであれば、料金を取っていなくても営業の一環と判断されるおそれがあります。
Q2.友人や知人だけを呼ぶなら大丈夫ですか?
「知り合いだから大丈夫」という基準ではありません。
家族や友人に客役をお願いして、ディーラーの練習や接客の確認をするだけであれば、開業前の研修と考えやすいです。
一方、知人を多数招待して通常営業と同じように楽しんでもらう場合は、営業との区別がつきにくくなります。
Q3.SNSで「無料プレオープン」と募集しても大丈夫ですか?
おすすめできません。
SNSで広く参加者を募集すると、集客や店舗PRの意味合いが強くなります。
無料であっても、一般のお客様を集めて実際の営業と同じサービスを提供しているのであれば、営業の一環と判断される可能性があります。
Q4.許可前のプレオープンを警察に見つかったらどうなりますか?
許可前に実質的な風俗営業をしていたと判断された場合、無許可営業として問題になる可能性が多大にあります。
また、すでに風俗営業許可を申請中であれば、実務上、警察から事情確認を受けたうえで、申請の取り下げを求められることも考えられます。
「申請は出しているから大丈夫」「もうすぐ許可が下りるから大丈夫」ということにはなりません。
許可が下りるまでは、一般のお客様を相手に実質的な営業を始めず、ディーラー練習やスタッフ研修など、開業準備の範囲にとどめておくことが重要です。
迷ったときは、「これは本当に研修なのか、それとも実質的にお客様を相手に営業しているのか」で考えると分かりやすいです。
4.まとめ

大切なのは、名称ではなく「実質的な営業かどうか」
風俗営業の許可前であっても、開業準備として行う研修やオペレーション確認まで、すべて禁止されるわけではありません。
家族や友人に客役をお願いして、ディーラーの練習や接客の確認をするのであれば、通常の営業とは性質が異なります。
一方で、一般のお客様を集めて通常営業と同じサービスを提供したり、SNSで参加者を募集したりすれば、無料であっても営業の一環と判断されるおそれがあります。
大切なのは、「プレオープン」という名前や、料金を取るかどうかではなく、実際に何を目的として、誰を相手に、どのようなことをしているのかです。
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【著者情報】この記事は2026年9月に更新しました。
行政書士 西 俊之(にし としゆき)
ARUTO行政書士事務所 代表。
警察官時代は、主に捜査部門に従事していました。そういった経験を活かし、風営法・ナイトビジネス関連の許可申請を中心に行政書士業務を行う。
スナック、ラウンジ、アミューズメントカジノ・ポーカーバーなど、風営法関連の相談・許可申請は年間300件以上サポートしています。ご相談はお気軽にしてください。


