飲食店経営のために最低限必要になる資格と届出・手続きについて

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コラム

目次

1.飲食店経営に必要な資格と手続きについて

飲食店経営を始めるにあたって、最低限、必要になる資格があります。その資格とは「食品衛生責任者」「防火管理者」。

 

また上記2種類の資格取得と同時に、保健所や消防署、警察署、税務署などに対して、さまざまな届出や手続きが必要となっています。ここでは飲食店経営に最低限必要となる資格と届出、手続きを説明していきます。これから飲食店を始めたいという方であれば、しっかりチャックしておいて万全な体制で開業できるようにしておきましょう。

 

2.飲食店経営に必須な資格「食品衛生責任者」「防火管理者」とは

飲食店経営に必要最低限、必要になる資格として「食品衛生責任者」「防火管理者」があります。いずれも1日~2日程度の講習のみで、容易に取得できる資格となっています

 

ただし各店舗度ごとに必要になる資格であり、事前申し込みが必要となることがありますので、早めにチェックしておいて開店に間に合うように取得しておかねばなりません。ではどのような資格で、どうすれば取得できるのか、その概要についてご説明していきましょう。

 

2-1.「食品衛生責任者」資格の概要と資格の取得について

「食品衛生責任者」とは、飲食店でも食品衛生の管理のために必要となる資格であり、講習を受講することによって取得することができます。店舗ごとに資格取得者を事業所の食品衛生責任者として定めておく必要があり店舗展開する際には新たに資格取得者を選任しておかねばなりません

 

17歳以上(自治体によっては高校生の取得不可)であれば学歴関係なく申し込みが可能であり、各都道府県にある食品衛生協会が「食品衛生責任者養成講習」を開催しています講習内容は「衛生法規(2時間)」「公衆衛生学(1時間)」「食品衛生学(3時間)」の計6時間であり、1日で終了します。講習後には簡単な確認テストがありますが、講義を聞いていれば答えられる簡単なものですから、心配する必要はありません。

 

受講に必要な料金は自治体によっても異なりますが10,000円前後となっています。有効期限はありませんから、飲食店経営を始めたいと考えたのであれば、とりあえず取得しておいてもいいでしょう。すでに食品衛生の知識があると考えられる調理師や栄養士の資格を所有している方などであれば、受講が免除されています。

 

2-2.「防火管理者」資格の概要と資格の取得について

飲食店経営に必要な資格として防火管理者」があります。防火管理者とは、店舗の火災を防止し、火災が発生した際に適切に対処するために、不特定多数の人が出入りする店舗に対して必要とされているものです。該当する店舗には、資格を取得した者を選任しておかねばなりません。

 

防火管理者資格は誰でも取得可能で、1日~2日程度の講習を受講することによって得られます。講習は都道府県知事や市町村の消防庁、総務大臣登録講習機関が実施しており、インターネットやFAXなどで事前申し込みが必要となっています。

 

なお「自衛消防業務講習修了者」「消防設備点検資格者」については、講習科目の一部が免除されることになっています。「防火管理者」資格には、店舗の規模に応じた2種類が用意されています。店舗収容人数と規模によって、必要とされる種類が異なります。その概要については次の通りです。

 

2-2-1.甲種防火管理講習

・収容人員が30人以上(従業員を含む)
・延べ床面積が300平方メートル以上
※テナントの場合においては、ビル全体の収容人員が30人以上であれば必要となりますので注意しましょう。

 

・受講期間2日(おおむね10時間)
・受講費用:8,000円
・5年以内に再講習が必要

 

2-2-2.乙種防火管理講習

・収容人員が30人未満
・延べ床面積が300平方メートル未満
・受講期間1日(おおむね5時間)
・受講費用:7,000円

 

2-3.「調理師免許」は必要ないの?

飲食店経営に調理師資格が必要になるようなイメージがありますが、必ずしも必要な資格ではありません。ただし調理のスペシャリストですから、所有していることで大きなメリットになるのではないでしょうか。また食品衛生の知識があると考えられますので、食品衛生責任者の受講は免除されています。

 

3.飲食店経営のために最低限必要になる申請手続きは

飲食店経営を行うためには、店舗の最寄りにある各所にさまざまな届出や手続きが必要となっています。ここでは最低限必要になる申請手続きについて掲載してみました。

 

3-1.保健所・保健センター

「食品営業許可申請」を自治体にある保健所・保健センターに届出しなければなりません複数店舗がある場合には全店舗において提出が必要となります。店舗が完成する10日前までには計画図面も含めて届出しておくようにしましょう。手数料は業種によって異なりますが、1万円から2万円前後となっています。

 

3-2.消防署

消防署に対しては、「防火管理者選任届」「防火対象設備使用開始届」「火を使用する設備等の設置届」を届出しておかねばなりません。防火管理者選任届を提出するためには、営業開始までに防火管理講習を済ませておく必要があります。

 

防火対象設備使用開始届については、建物を新たに使用し始める際に必要な届けであり、飲食店の場合であれば内装業者が届けることが多くなっています。火を使用する設備等の設置届については調理などで火を使用する際に必要な届けであり、設備を設置する前には届けが必要となります。

 

3-3.警察署

警察署には、必要に応じて「 深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」「風俗営業許可申請」を届けておく必要があります。深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書については深夜0時を超えてお酒を提供する場合に必要となり、営業開始の10日前までには届けておかねばなりません風俗営業許可については、スナックやキャバクラなど客に対して接待行為を行う場合に、営業開始の約2か月前には届出が必要となります。

 

3-4.税務署

税務署には、個人事業の飲食店の場合に「個人事業の開廃業等届出書」を届けておく必要があります開業してから1か月以内に届けを提出すればいいのですが、忘れないようにしておきましょう。

 

3-5.労働基準監督署

労働基準監督署には、従業員を雇用する場合に「労災保険の加入手続き」をしておかねばなりません雇用日の翌日から10日以内に届ける必要があります。正社員だけではなくアルバイトであっても必要となるものですから、忘れずに手続きしておくようにしてください。

 

3-6.公共職業安定所(ハローワーク)

ハローワークには、従業員を雇用する際に「雇用保険の加入手続き」が必要となります。適用基準として31日以上引き続き雇用することが見込まれる者で、労働時間が1週間に20時間以上となる場合には、被保険者となった日の翌月10日までに提出しなければなりません。

 

3-7.年金事務所

年金事務所には、従業員の健康保険・厚生年金に関する手続きを行わねばなりません法人の場合には強制加入となっており、個人事業主であっても従業員が5人以上になると社会保険の適用事業所とみなされることになります。

 

4.まとめ

飲食店経営には最低限2つの資格が必要となり、店舗の最寄りの各所にさまざまな届出や手続きが必要となっています。ここでは最低限必要となるものを掲載してみましたが、かなり多くの届出や手続きが必要となることがお分かりになるのではないでしょうか。

 

これから飲食店経営に取り組みたいという方であれば、店舗の開店準備と共にこれらの手続きすべてを進めていくことはとても難しいことが理解できるでしょう。開店に向けて集中して取り組むためにも、許可申請に精通した行政書士に依頼することをおすすめします。

 

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