目次
1.食品衛生責任者の取得方法~飲食店に求められているHACCP(ハサップ)とは
飲食店を営業しようと考えているのであれば、「食品衛生責任者」の資格を取得しておかねばなりません。店舗に必ず一人は配置しておくように定められています。
また2020年から飲食店ではHACCP(ハサップ)の導入がスタートしました。HACCP(ハサップ)とは、国際的な規格に準ずる衛生管理の手法であり、食品衛生管理を『7原則12手順』の通りに進めていくものとなっています。
2021年6月からすべての飲食店でHASSAP(ハサップ)の導入が義務付けられました。
これから飲食店を始めようと考えている方であれば、「食品衛生責任者」と共にHACCP(ハサップ)の取り組みも必要となります。ここでは、食品衛生責任者の資格取得と共に、HACCP(ハサップ)の情報についても詳しくお伝えしていきます。
2.食品衛生責任者の資格を取得するには
飲食店を営業するためには、各店舗に必ず食品衛生責任者を配置しておかねばならず、その資格を取得するためには必要な講習会を受講しなければなりません。
またHACCP(ハサップ)と呼ばれる衛生管理の手法を導入し、取り組んでおかなければ今後は法律違反となってしまいますので注意が必要です。
2-1.食品衛生責任者の取得方法
レストランやカフェなど、飲食店を営業するためには、「食品衛生責任者」と呼ばれる資格を取得しておかねばなりません。各店舗に1名以上の配置が義務付けされています。食品衛生責任者の資格を取得するには、食品衛生責任者養成講習会の受講が必要です。
ただし栄養士や調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者などの資格を保有していれば講習は免除されます。外国人についても、日本語が理解でき、在留カードや永住者証明書を所有していれば受講可能です。
講習は「食品衛生学(2.5時間)」「食品衛生法(3時間)」「公衆衛生学(0.5時間)」の計6時間となっています。1日で終了し、その日のうちに受講修了証(食品衛生責任者手帳)を受け取ることができます。
更新の必要のない資格ではありますが、都道府県によっては取得から年数が経過している場合には実務講習会の受講が必要になることがあります。実務講習会とはフォローアップを目的として行われている講習で、2時間程度で終了する講習となっています。
受講の申し込みは郵送やインターネットで可能で、受講料(1万円程度)は当日受付で支払うことが可能な場合が多いです。郵送の場合、保健所に常備されている申込書の送付が必要な場合がありますので、受講に関する案内をよく読んでおくようにしましょう。
2-2.飲食店に求められているHACCP(ハサップ)の取り組み
HACCP(ハサップ)とは、冒頭にもお伝えした通り、2018年6月に定められた衛生管理の手法であり、国際的な規格に準ずるものとなっています。2020年6月からはすべての飲食店においてHACCP(ハサップ)の手法に取り組んでいくことが義務付けられました。
ただし1年間の猶予期間が設けられているために、この間にHACCP(ハサップ)の衛生管理を導入しておかねばならないのです。
HACCP(ハサップ)とは、食品衛生管理を『7原則12手順』の通りに進めていくことを言います。「食品衛生責任者」といった資格の取得や「飲食店営業許可」のような許可の取得ではありません。
『7原則12手順』とは衛生管理のガイドラインのことを指しており、このガイドラインに沿った衛生管理をしておかねば今後は法律違反となっていますので注意が必要です。
3.HACCP(ハサップ)とは~導入の必要性
HACCP(ハサップ)とはもともと宇宙食の安全性を確保するための手法として考案したものを、食品衛生の分野で活用するようになり世界で導入されだしたものです。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格委員会においてはHACCP(ハサップ)のガイドラインも示されており、先進国を中心に義務化または奨励している国が増えています。わが国においては、食中毒の多くが飲食店で発生している状況から、HACCP(ハサップ)が導入されることになったのです。
3-1.HACCP(ハサップ)とは?
厚生労働省のホームページには、HACCP(ハサップ)についてこのように説明されています。
「食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。」
飲食店営業を行う店舗では、食中毒や異物混入などの事故が起きないように取り組んでいることは当たり前のことですが、それでも食中毒関連の事故が数多く発生しています。
厚生労働省では、「総合衛生管理製造過程」と呼ばれる食品安全管理の認証制度を設けていましたが、認証を受けた店舗においても食中毒の事例が起きています。これは、飲食店の一部のみが対象となっているだけで、しかもHACCP(ハサップ)の基準には達していない内容だったからだと考えられています。
そのため、この「総合衛生管理製造過程」を廃止し、改めてHACCP(ハサップ)の手法を規定されることになったのです。
3-2.国内の食中毒の現状は?
厚生労働省が発表している平成27年度の食中毒発生状況によりますと、食中毒の発生全体から飲食店が占める割合は6割を超えることが分かっており、全体の患者数の半数以上は飲食店からのものとなっています。
食中毒が発生した飲食店の状況を調べてみると、「食品の加熱不足」「設備の洗浄や消毒」「食品の温度管理」「従業者の健康管理」などさまざまなものが考えられます。
つまり今までのように食中毒菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」といった取り組みで対策が可能です。それらを実行できるようにするには、衛生管理の「見える化」が大切だと考えられており、HACCP(ハサップ)の手法が必要になると考えられているのです。
3-3.HACCP(ハサップ)の手順
HACCP(ハサップ)は、食品規格委員会が定めている「7原則12手順」に沿って進めていくことになります。飲食店に関わる従業員すべてが一丸となって取り組む必要があります。提供している飲食物にどのようなものがあり、どうやって食べるのか、誰が食べるのか、どうやって作るのか、正しい製造工程を守っているかなどを書き出していきます。
その中で、どの部分に危害要因となるものがあるのか明らかにし、注意しなければならない工程、基準に達しているかの確認方法、問題点を見つけた場合の改善方法などを決めて記録していきます。今までは、従業員自身が飲食物に対する衛生管理を確認してきたことから、衛生に関する意識に従業員の差が生じることがありました。
しかし、このHACCP(ハサップ)を手順通りに取り組んでいけば、今までの作業工程が客観的に見えるようになりますので、従業員全員が同じ意識を持って衛生管理に取り組めるようになるのです。
食品衛生管理の手引きはこちらからダウンロードしてください。
記入用紙の見本はこちらからダウンロードしてください。
4.まとめ
これから飲食店経営を行うには、食品衛生責任者の資格と共に、HACCP(ハサップ)を導入し取り組んでいかねばなりません。
また飲食店営業には「飲食店営業許可」が必要となりますし、深夜にお酒を提供するのであれば「深夜酒類提供飲食店営業許可」が必要となります。接待などを行う場合には「風営法」の許可申請も検討しておかねばなりません。
つまり、飲食店の営業に対する取り組みと同時に、多くの届出や手続きも同時に必要になるのです。店舗の開店準備や営業上での取り組みと共に、これらの手続きすべてを進めていくことはとても難しいことが理解できるでしょう。開店に向けて集中して取り組むためにも、飲食店営業や風営法の許可申請に精通した行政書士に依頼することをおすすめします。
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