ポーカー大会に警察の強制捜査が入ったという報道
記事では風営法の無許可営業が問題になったとされていますが、公開されている情報だけでは、警察が実際にどの法令違反を中心に捜査しているのかまでは分かりません。風営法違反なのか、刑法上の賭博罪なのか、それとも両方なのか。
今回は、この報道をきっかけに、ポーカー大会における風営法と賭博罪、そしてプライズの問題について考えてみたいと思います。
兵庫の大型ポーカー大会、県警が強制捜査 ゲーム中断 風営許可なく開催…運営が謝罪「認識に相違」(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース
記事では「風営法の許可を得ずに開催していた」と報じられています。
一方で、主催者側からは、警察との事前協議に関する情報も発信されているようですが、その具体的な内容や事実関係は確認できていません。
そのため、公開されている情報だけでは、今回の捜索が風営法違反のみを被疑事実とするものなのか、それとも賭博に関する容疑を含んでいるのか。
私が気になったのは今回の事件に賭博容疑も含まれているのかです。

警察庁は、現金以外のチケットやコイン、WEBコインなどについても、賭博罪や風営法違反が問題となる可能性があると注意喚起しています。
風営法を専門に扱っている立場からすると、今回の記事で一番気になったのはプライズ(賞品)の内容です。
警察庁も「賭博は犯罪です」という啓発ポスターを公表しており、その中では、
- ○万円相当のチケット
- ○○円相当のコイン
- WEBコイン
- 現金以外なら大丈夫という誤解
などが例示されています。
つまり、現金以外であっても、財産的価値のあるものを賭けて偶然の勝敗を争えば、刑法上の賭博罪が問題となる可能性があります。
また、アミューズメントカジノなどのゲームセンター等営業では、遊技の結果に応じて賞品を提供すること自体が、風営法上禁止されています。
今回のニュースでも、仮に警察がプライズの内容や提供方法を問題視しているのであれば、風営法上の無許可営業とは別に、刑法上の賭博罪に関する捜査が行われている可能性も考えられます。
もちろん、これはあくまで一般論です。
「パチンコの三店方式と同じなら大丈夫」ではない
賞品やプライズの話になると、よく持ち出されるのが、パチンコのいわゆる「三店方式」です。
一般に三店方式とは、パチンコ店が客に特殊景品を提供し、客が店とは別の景品買取所にその景品を売却し、さらに別の卸業者を通じて景品がパチンコ店へ戻る仕組みを指します。
しかし、法律上「三店方式」という制度が明文で認められているわけではありません。
政府答弁でも、「三店方式」の意味は必ずしも明らかではないとしたうえで、パチンコ店については風営法による規制の範囲内で適正に行われる営業であれば、賭博罪には該当しないと説明されています。つまり、三店方式という名前の仕組みが一律に合法化されているわけではないということです。
したがって、ポーカー大会において第三者を介した交換や買取りの仕組みを設けたとしても、「パチンコの三店方式と同じだから問題ない」と直ちに評価されるものではありません。
主催者と交換先との関係、プライズの財産的価値や換金性、提供方法、運営の実態などを踏まえて、個別に判断されることになります。
通常営業と完全に区分された大会では、賞品提供が認められる場合もある
国家公安委員会は、5号営業の許可を受けた店舗で行われるポーカー大会について、通常営業と明確に区分され、一定の条件を満たす場合には、その大会は5号営業に該当せず、成績上位者への賞品提供も風営法第23条第2項の規制を受けないとする回答を公表しています。
こちらを参照してください。
ポーカー大会における賞品の提供について、国家公安委員会の回答
もっとも、その条件はかなり限定的です。
- ・店舗の営業日外に開催すること
- ・一般客向けの通常営業を行わないこと
- ・大会参加者に飲食物などを販売しないこと
- ・参加費は無料または大会運営費を超えない範囲にすること
- ・参加費を賞品原資にしないこと
- ・通常営業と大会の帳簿・日程・告知を明確に分けること
などと非常に厳しい条件が前提とされています。
また、大会に営利性が生じたり、通常営業との区分が失われたりした場合には、この取扱いは適用されないとされています。
したがって、通常のポーカールーム営業の延長として、広く賞品提供が認められたものではありません。
プロ契約やスポンサー契約による賞金は別の仕組み

ポーカー大会の参加費を原資とした賞金提供とみなされ賭博罪にあたるのか。運用実態によっては警察の摘発対象(賭博罪・風営法違反)となる可能性も?今後の警察の判断が注目されます。
なお、ポーカー大会によっては、優勝者や入賞者とプロ選手契約やスポンサー契約を締結し、契約料や活動報酬として金銭を支払う仕組みが採られているケースもあるようです。
このような方法は、賞品を第三者の買取所で現金化する三店方式とは、仕組みとしては異なります。
もっとも、「プロ契約」「スポンサー契約」「契約料」という名称を付ければ、当然に問題がなくなるわけではありません。
実際にどのような活動義務があるのか、報酬額が何を基準に決められているのか、大会の順位と金銭の支払いがどの程度結び付いているのかなど、契約内容と運用の実態を踏まえて判断されることになります。
今回の事件について、実際に警察が何を問題としているのかは、今後の捜査や公表を待たなければ分かりません。
このニュースを読んで改めて感じたのは、
「風営法」と「刑法の賭博罪」は全く別の法律であり、混同してはいけない
ということです。
私は今回のニュースを見て、今後はプライズの内容やWEBコインの運用についても、これまで以上に警察の判断が注目される可能性があると感じました。
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【著者情報】この記事は2026年7月に更新しました。
行政書士 西 俊之(にし としゆき)
ARUTO行政書士事務所 代表。
警察官時代は、主に捜査部門に従事していました。そういった経験を活かし、風営法・ナイトビジネス関連の許可申請を中心に行政書士業務を行う。
アミューズメントカジノ・ポーカーバーなど、風営法関連の相談・許可申請は年間300件以上サポートしています。ご相談はお気軽にしてください。


