短期イベントでも風営法許可が必要なケースを行政書士が解説

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コラム

目次

1.はじめに

最近人気が高まっているポーカー大会。実は風営法の規制対象となる可能性があり、開催に際しては許可が必要となるケースがあります。

これはポーカー大会に限らず、eスポーツや他のイベントにも当てはまり、1日限りのイベントであっても許可が必要となる場合があります。しかし、どんなケースで許可が必要になるのか、開催者として判断が難しい場合もあるでしょう。

そこで今回は、風営法におけるイベント開催の許可について詳しく解説します。特に、ポーカー大会を取り巻く現状や注意点、さらに短期許可制度についても触れていきます。ぜひ参考にしてください。

 

 

2.意外と知らない?風営法許可が必要なイベント事例

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、通称「風営法」は、公序良俗の維持と青少年の健全育成を目的として特定の営業を規制しています。

風営法の対象となる営業は多岐に渡り、短期のイベントに関連するものとしては「遊技場営業」等が挙げられます。

 

2-1.「遊技場営業」とは?規制対象となるイベント事例

遊技場営業とは風営法第4号または5号営業にあたる事業の形態で、パチンコや麻雀、スロットマシンや射的設備、クレーンゲームなどの遊技設備を設置し、不特定多数の客に提供する営業を指します。

遊技場営業のポイントは「射幸心をそそるおそれのある遊技設備により客に遊技させる営業」であり、「運や偶然による利益」を求めるギャンブル性を持つ遊技設備は風営法に規制され、事前の許可申請が必要です。

遊技場営業に該当する業種はさまざまですが、短期イベントでの事例は、麻雀大会、トランプを使用したポーカー大会などが挙げられます。

また、縁日での射的や輪投げの屋台がこの対象になるのかについては度々問題となりますが、風営法で規定するところの遊技施設は、ある程度の期間継続して使用できるものと解釈されます。よって、仮設的な露店形式では許可が必要ないと結論付けられるケースもあります。(温泉街の射的場などは常設店舗のため対象となります)

全国的に頻繁に開催されているeスポーツでも、使用するゲーム機(パソコン)が風営法に該当すると判断される場合は、短期許可の取得が必要となるかもしれません。

開催されるイベント営業が、ブームや時代の流れにより公序良俗の維持と青少年の健全育成の保護に必要だと判断されれば、これまでは許可なしで開催できていたとしても、短期の風営法許可を取得する必要があるという訳です。

 

 

2-2.イベント開催は賞品・賞金の違法性にも注意

大型イベントでは、優勝賞品や賞金が設けられている場合も少なくありません。しかし、ケースによっては賭博罪や風営法違反に該当してしまう可能性もあるため注意が必要です。

例えば、参加者が参加費を支払ったうえで、優勝者に賞金が支払われた場合、賞金のために「その得喪を争う」形式と判断され、参加者は「賭博罪」が、運営者は「賭博場開帳等図利罪」が成立する可能性があります。

また風営法23条2項おいても、遊技場営業では「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」と定められています。パチンコ店やゲームセンターのクレーンゲームなどは一定の要件を遵守することにより特例が認められていますが、そのほかの遊技場営業において入賞者へ物品やドリンクチケットなどを渡す行為は違法ですので注意してください。

 

2-3.ポーカー大会と風営法

世界的人気を誇るポーカーは、日本でもZ世代を中心にブームを呼び、現在の競技人口は100万人を超すといわれています。そんな背景もあり、ポーカーを扱うアミューズメントカジノ、ポーカーBARなどが増え、大規模なポーカー大会も盛んに開催されるようになってきました。

ポーカーは、技術と運の要素が絡み合うゲームです。風営法では顧客に射幸心をあおる営業を規制しており、ポーカー大会もこれに該当すると判断される可能性があります。

 

2-4.地域による規制の違い

ポーカー大会の開催に風営法の許可が必要かどうかは、地域差が大きいのが現状です。

例えば、5日以内であれば許可不要という地域もあれば、日数によらず許可が必要という地域もあります。

具体的な地域を挙げれば、現在、東京や福岡では許可が求められないのに対し、名古屋では許可の取得を求められます。しかし、時代背景の移り変わりに合わせて対応が強化され、短期イベントでも全国各地で許可が必要になる可能性は十分に考えられます。

現在は各地域の公安委員会の判断基準は必ずしも明確ではないため、大会の規模にかかわらず、イベント開催前の余裕がある時期に管轄の警察署に相談することが重要となります。

風営法の解釈は複雑であり、個別のケースによって判断が異なる場合があります。事前相談によって、必要な手続きや許可の要否を明確にできるでしょう。

 

 

3.1日のみのイベントでも許可は必要?短期開催の注意点

イベントが1日限りであっても、地域によっては風営法の許可が必要となる場合があります。短期開催のイベントに必要な「短期許可」について解説します。

 

3-1.短期許可(3ヶ月以内)の概要

風営法には、3ヶ月以内の短期営業を対象とした「短期許可」があります。

短期許可は、申請料金が通常の24,000円から14,000円になるというもの。さらに短期許可では、現地を検査員が立ち入り調査する「実査」が行われません。

ただし、提出書類の内容や、場所・設備・管理者に関する要件は通常の風俗営業許可申請と変わりません。申請してから許可が出るまでの処理期間も標準通りの55日以内で、短期許可だからと期間が短くなるわけではありません。不備があれば申請が受理されないと言う可能性もあるため、準備期間は余裕を持って進めることが大切です。

また許可取得後のイベント営業でも、

  1. 風営法許可証の掲示
  2. 従業者名簿の備え付け

も通常の許可と同じ対応が必要となります。イベント開催中に警察官に見回りもありますので、違反と指摘されないようにしてください。

 

3-2.風営法の許可申請に必要な手続きと書類

風営法の許可申請は、複雑な手続きと書類作成が必要です。主な流れは以下の通りです。

 

  1. 管轄警察署への事前相談
  2. 申請書類の準備(申請書、図面、設備の概要、従業者名簿、使用承諾書など)
  3. 申請書類の提出
  4. 書類審査
  5. 実地調査(短期許可の場合なし)
  6. 許可証の交付

 

申請書類の作成には専門的な知識が必要です。特に、図面や設備の概要など、技術的な書類の作成は難易度が高く、個人で進める場合は難航することが予想されます。

短期許可の場合は、会場を抑える時間的リミットが限られていることがほとんどです。手続きに不安があれば、行政書士などの専門家へ依頼することでスムーズな申請を進めることができるでしょう。

 

 

4.まとめ|イベント開催のご相談は行政書士法人ARUTOまで

風営法は、短期のイベント開催にも適用される可能性があることはご理解得られましたでしょうか。

1日限りのイベントでも、地域によっては許可が必要となるケースがありますので、必ず開催前には時間的余裕を持って管轄の警察署へ相談し、必要な手続きを確認しましょう。

前回の大会では、許可が必要なかったが、今後は許可が必要となることも予想されますので、必ず管轄警察署とは事前相談をするようにしてください。

もし、許可が必要となる場合、許可申請には専門的な知識が必要となるため、行政書士などの専門家への相談も有効です。

またポーカー大会などの開催では大きな会場を使用することが多いため、建物オーナーが大手企業となり、使用承諾書の手配にも時間がかかることが予想されます。また会場が大きなホールとなると、その図面を作成できる行政書士も限られるでしょう。

行政書士法人ARUTO は、風営法に関するビジネスを専門としています。ポーカー大会のような大規模イベントでも数多くの許可取得の実績を持ち、複雑な申請手続きを代行し、お客様のスムーズな事業開始をサポートいたします。

風営法に関するご相談、イベント開催に関する許可申請は、行政書士法人 ARUTO までお気軽にお問い合わせください。

 

 

5.風営法許可を取得して開催されたポーカー大会の例

NIPPON  SERIES  NAGOYA 2024年12月27日~12月31日31日まで

P1 CIRCUIT in  NAGOYA 中日ホール 2025年1月2日~1月5日まで

 

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