目次
1.客引き行為の問題点
客引き(キャッチ)とは、路上にたむろして歩行者を待ち受けて、しつこくつきまとったり、立ちふさがるなどして、顧客として自分たちの店に勧誘することを言います。
ぼったくり店舗への誘導も多く、路上でのキャッチ行為は、違法行為として風営法・条例違反として処罰の対象となっています。また、風俗店などへの路上勧誘行為はスカウトと言われ、これも同様に処罰の対象となっています 。
歌舞伎町などの歓楽街を歩いていると、「客引き行為は違反です、ただちに止めなさい。」という自動ガイダンスが流れているのを聞いたことがあるかと思います。
ぼったくり被害や芸能事務所のスカウトと称して、AV出演への強要問題などが相次いていることから勧誘街を歩く歩行者が不安を感じることがないように、客引き行為そのものを禁止したりするなどして街の景観やイメージが損なわれることがないように、迷惑防止条例などの法律で規制しているという訳です。
また客引きを行う者の中には、高校生や大学生など若年層の割合が高く、アルバイト感覚で犯罪行為に手を染めているというのも問題にもなっています。
各自治体では、客引き行為等の禁止に関する条例が改正されて、客引き行為等を行った者の氏名等の公表ができるようになりました。氏名がネット社会に晒されることになればその不利益は計り知れないことから絶対に闇バイトに手を染めることはしてはいけません。
2.違反となる客引き行為とは
客引き行為は、通称『キャッチ』とも呼ばれており、相手方を特定して風俗店などの営業所の客となるように勧誘することを言います。
具体的には、相手方の進路に立ちふさがることをしたり、つきまとう行為をするなどをして、執拗に勧誘することを言います。
客引き行為を取り締まる法律は、
- ・風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)による客引き行為の禁止
- ・自治体による迷惑防止条例による客引き行為の禁止
が制定されています。
東京都の場合、迷惑防止条例によって、キャバクラやホストクラブ、性風俗店、AV販売店のほか、居酒屋などの飲食店も対象となります。
罰則については、客引きを行った者が『50万円以下の罰金拘留もしくは科料』、客引きを使用させた者(店舗側)は、『100万円以下の罰金』と使用者責任の方が重く制定されています。
風営法による客引き違反を適用された場合は、『6か月以下の懲役、100万円以下の罰金』に処されます。
3.違反にならない集客行為について
3-1.呼び込み行為
店舗の敷地内において、単に通行人に対して
- ・看板を見せる行為
- 『いらっしゃい、いらっしゃい』などと呼びかける行為
は、客引き行為には該当しません。
ただし、通行人と目を合わせて手招きをしたり、大声を出して通行人を呼び止めたりする積極的な行為がある場合は、客引き行為に該当することがあるので注意が必要です。
よくガールズバーで働く女の子が店近くの路上で看板(メニュー表)を首から下げて立ってる様子を見かけることがありますが、あの行為も通行人に対して声をかけるなどの積極的な行為をしてしまうと客引き行為に該当してしまうおそれがあります。
3-2.道路使用許可を得たビラ配り
路上において、道路使用許可を取得した上で、不特定多数の通行人に対して、お店のビラ(ティッシュ)を配布することは可能です。
ただし、ビラ配り行為も興味のある通行人をお店まで誘導したりしてはいけません。
通行人自身がお店に電話をかけるなどして、通行人が自らの意思でお店に赴くという外形的な意思表示が明らかでないと客引き行為に該当してしまうおそれがあるので注意が必要です。
また、風俗営業を取得している営業所についても道路使用許可を取得してビラ配りすることは可能です。ただし、その場合18歳未満の青少年の目に触れる可能性もあることから卑猥と判断されるビラの配布は禁止されています。
ピンクチラシに該当するようなチラシは、道路使用許可を取得しても配布することはできません。
3-3.風俗案内所・ネット広告の利用
風俗案内所を利用するのであれば性風俗店であっても掲載(正しくは、案内所に設置するパソコンによる検索)することができます。
キャバクラ、ホスト、ガールズバーなど風俗案内所の店舗内に広告を掲載することができます。
客としての風俗案内所の立ち入りは18歳以上と定められていますので、青少年の立ち入りを防ぐことができます。
また、ネット広告も有効な集客方法の一つです。ネット広告を掲載するには、性風俗店であれば『届出確認済証』、キャバクラやホストクラブであれば『風俗営業許可証』を広告運用会社に提出する必要があります。
最近、広告業界でも立ち位置が難しいのがメンズエステ店です。
性的サービスのあるメンズエステ店は性風俗店にあたるため店舗型の新規出店は、現在できないことになっています。マンションの一室を利用したような店舗型のメンズエステ店などは必要な許可というものがそもそも取得できませんのでこれからメンズエステを経営したいという方は注意してください。
4.まとめ
以上のとおり、客引き行為と集客方法について解説してきました。
警察が客引き行為を事件として捜査に着手するかはいくつかの引き金があるかと思います。
- ・ぼったくり被害の相談・苦情
- ・酔っ払いトラブルなどによる110番通報による現場臨場
- ・商店街組合からの苦情
- ・店舗が未成年を働かせている場合
- ・その他一斉取り締まりなどで発覚するケース
警察も人員が限られている以上、事件着手するとなると優先順位があるはずです。
末永くお店を経営していきたいと考えるのであれば違反行為は絶対してはいけません。
もし、警察の捜査が入ってしまったら、お店にガサは入られますし、関係者は逮捕されるなどして、キャストさんなどの従業員さんも一斉に辞めていってしまいます。
客引き行為は夜の街で商売する経営者であればすごく身近な犯罪です。お店の売り上げが厳しい時に、キャッチを雇いませんかという誘いがあったとしても絶対に断ってください。
時間はかかるかもしれませんが、道路使用許可を得たビラ配布な有効な広告をすることによって集客していただき、来店していただいたお客さんの口コミによってさらにお客さんを集客できるように頑張って頂けたらと思います。
最後までこの記事を読んでいただきありがとうございました。ご相談は無料で対応していますので、ご不明点などありましたらお気軽にお問合せください。