相席BAR・相席屋に必要な許可は?風営法1号・3号と深夜酒類の違いを実務経験から解説

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コラム
相席BARの1号・3号・深夜酒類の手続きを検討する経営者

1.相席BARは、どの営業許可を取ればいいのか?

「相席BARを開業したいのですが、風営法1号の許可が必要でしょうか?」

このような相談を受けることがあります。

相席BARや相席屋は、男女のお客さん同士が出会い、会話や飲食を楽しむお店です。

最近では、広い客席でマッチングした後、個室に移動して楽しむスタイルもあります。

1対1で利用する個室もあれば、複数人で利用する個室もある。通常のBARの中に、相席用の個室を設ける営業方法もあります。

私自身、お客様から新しい営業形態の相談を受けて、「なるほど、面白い営業方法だな」と感心することもあります。

ただし、相席BARの開業では、一つ注意してほしいことがあります。

相席屋という名前だけで、必要な営業許可が決まるわけではありません。

従業員がどこまで接客するのか。

個室はどのような構造なのか。

深夜まで営業するのか。

これらによって、風俗営業1号、風俗営業3号、深夜酒類提供飲食店営業の届出など、検討すべき手続きが変わってきます。

今回は、実際に警察本部と協議した経験も交えながら、相席BARの営業許可について解説したいと思います。

2.相席BARは風営法1号営業になるのか?

一般のお客様同士をマッチングし、スタッフが席へ案内するイメージ

相席BARの開業相談では、最初に営業方法を確認します。

特に私が確認するのは、店側が用意する、いわゆる「サクラ」がいるかどうかです。

一般のお客さん同士を相席させる営業と、店側が用意した従業員などが客の相手をする営業とでは、事情が異なるからです。

例えば、通常の相席BARでは、お客さんが広い客席でマッチングした後、スタッフが個室に案内します。

スタッフは個室への案内や飲み物の提供を行うだけで、会話に参加したり、お客さんを楽しませるための接待行為をしたりしません。

このような営業であれば、お客さん同士が楽しんでいるという理由だけで、直ちに風俗営業1号に該当するわけではありません。

一方で、店側が用意した人が特定のお客さんの相手をして、継続的に会話を盛り上げたり、一緒に飲食を楽しませたりしていれば、接待に該当する可能性があります。

相談の際に「サクラはいますか?」と聞くと、「いません」と回答されることがほとんどです。

もちろん、その回答だけで判断するわけにはいきません。

大切なのは、実際に誰が、どのような役割で、お客さんに接しているかです。

サクラがいるという事実だけで、自動的に1号営業になるわけではありません。

接待の有無を、営業実態に基づいて判断する必要があります。

3.相席BARの個室は、風営法3号営業になることがある

通路側に開口部がある席と見通しにくい区画の比較。扉の有無だけでは判断しない

相席BARで、もう一つ重要なのが個室の構造です。

風営法には、1号営業とは別に、3号営業という許可区分があります。

正式には「区画席飲食店」と呼ばれる営業です。

風営法第2条第1項第3号では、他から見通すことが困難で、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて客に飲食させる営業が規定されています。

つまり、問題になるのは主に次の2点です。

  • 他から見通すことが困難な客席か
  • その客席の広さが5平方メートル以下か

ここで注意したいのは、単に個室があるだけで3号営業になるわけではないということです。

例えば、小さな個室であっても、通路から内部を見通せる構造であれば、3号営業の要件に該当しない場合があります。

反対に、扉がなくても、壁の配置や開口部の位置によって内部の見通しが困難であれば、3号営業の問題が生じる可能性があります。

扉の有無だけで判断できるものではありません。

また、面積の判断では「客席」の範囲を正しく確認する必要があります。

平面図を見て単純に5平方メートル以下かどうかを判断するだけではなく、実際の客席の構造を確認することが重要です。

4.警察本部と協議し、実査まで終わったのに許可不要になった経験

個室の開口部や見通しについて、図面を示して担当者と協議するイメージ

以前、相席BARの個室について、風営法3号営業の許可申請を進めたことがあります。

個室は壁で区切られていましたが、一か所だけ開口部がありました。

角度によっては、通路から個室の内部を見ることができる構造です。

問題は、これが風営法3号営業の「他から見通すことが困難」に該当するかどうかでした。

3号営業の許可申請は、私たちが扱う風俗営業許可の中でも、特に判断が難しい案件の一つです。

この案件では、事前に図面を示して警察署と相談し、警察本部とも協議しました。

そのうえで許可申請を進め、店舗の実査まで終わりました。

ところが、最終的には、その個室の構造について3号営業の許可は不要との判断になったのです。

結果として、許可申請を取り下げることになりました。

事前に図面相談を行い、警察本部とも協議して、実査まで終わっていたわけですから、行政書士としては複雑な気持ちでした。

ただ、それだけ3号営業の判断は難しいということでもあります。

実際、この案件では個室の構造を変更することなく、そのまま営業することになりました。

なお、このお店は深夜営業を行わない営業形態で、最終的に必要な飲食店営業許可のもとで営業しています。

ここで誤解してほしくないのは、「個室に扉がなければ3号営業の許可は不要」という話ではないことです。

その店舗の開口部の位置や見通し、個室全体の構造などを踏まえた個別の判断です。

同じように見える間取りでも、構造が異なれば判断が変わることがあります。

5.深夜営業する相席BARでは、9.5平方メートルの基準に注意

深夜営業を考える相席BARで、個室の面積と図面を確認するイメージ

相席BARを深夜まで営業したいという相談もあります。

午前0時以降に酒類を提供する営業では、営業実態に応じて、深夜における酒類提供飲食店営業開始届出を検討する必要があります。

ただし、深夜酒類提供飲食店営業にも、営業所の構造・設備に関する基準があります。

その一つが、客室の床面積です。

風営法施行規則第99条では、客室1室の床面積を9.5平方メートル以上とする基準が定められています。

ただし、客室の数が1室のみの場合には、この面積基準は適用されません。

相席BARの場合、ここが問題になることがあります。

例えば、広い客室とは別に、2人用や4人用の小さな個室を複数設ける営業形態です。

それぞれが独立した客室と判断される場合、1室ごとに9.5平方メートル以上の床面積が必要になります。

風営法3号営業の「5平方メートル以下の客席」と、深夜酒類の「9.5平方メートル以上の客室」は、別の基準です。

この二つを混同してはいけません。

また、深夜酒類提供飲食店営業では、客室内の見通しを妨げる設備や、客室出入口の施錠設備、照度などにも基準があります。

客室の構造を確認せずに内装工事を進めてしまうと、完成後に問題が発覚することがあります。

6.間仕切りは直せても、面積が足りなければどうにもならない

実務で特に注意しているのが、内装工事のタイミングです。

例えば、客室の見通しを妨げる設備があった場合、間仕切りを撤去するなどの方法で改善できることがあります。

しかし、客室そのものの床面積が足りない場合は、話が違います。

壁や柱、建物の構造によって、必要な面積を確保できないことがあるからです。

間仕切りを取り除いて客室を広げられるのであれば、対応できる場合もあります。

しかし、建物の構造上、どうしても9.5平方メートルを確保できないのであれば、その客室を深夜酒類の基準に適合させることはできません。

もちろん、個室の配置を変更したり、複数の客室を一体化したりすることで解決できる場合もあります。

ただ、それが可能かどうかは物件次第です。

内装が完成してから問題が発覚すると、再工事が必要になったり、予定していた営業方法を変更しなければならなくなったりします。

私が相席BARの開業を考えている方に伝えたいのは、工事が始まる前に相談してほしいということです。

7.行政書士の仕事は、書類を作ることだけではない

内装工事前に経営者と専門家が図面で個室や間取りを相談するイメージ

相席BARの開業では、お客様から新しい営業方法を提案されることがあります。

広いスペースで男女をマッチングさせる。

気の合ったお客さん同士が個室に移動して会話を楽しむ。

1対1で利用する個室もあれば、複数人で利用する個室もある。

経営者の方は、さまざまなアイデアを考えています。

私たち行政書士の仕事は、そのアイデアに対して、法律上できるか、できないかを伝えるだけではないと思っています。

お客様がやりたい営業を、どうすれば法令に適合した形で実現できるのか。

そこまで考えることが大切です。

例えば、図面の段階で客室面積が不足していることが分かれば、内装業者と協議して間取りを変更することもできます。

見通しに問題があるのであれば、仕切りの位置や構造を調整することも検討できます。

こうした協議を工事前に行うことで、お客様の余計な工事費用や時間の負担を防げる場合があります。

実際、私は内装工事前の段階から、業者の方と相談しながら進めることがあります。

許可申請の書類を作成するだけが仕事ではありません。

開業計画と法律上の規制をすり合わせることも、私たちの大切な仕事だと思っています。

8.相席BARの開業では、最初に何を確認すればいいのか

相席BARの開業前に、営業方法や個室、営業時間、立地の確認事項を整理するイメージ

相席BARの開業を考えている方には、少なくとも次の点を確認してほしいと思います。

営業方法

一般客同士を相席させるだけなのか。店側が用意した従業員などが、特定のお客さんを接待する営業なのか。

個室の構造

5平方メートル以下の客席がある場合、他から見通すことが困難な構造になっていないか。

深夜営業の有無

午前0時以降も酒類を提供するのか。深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要な営業形態なのか。

客室面積と設備

複数の客室がある場合、1室9.5平方メートル以上の床面積を確保できるか。見通しや照度などの設備基準に適合しているか。

営業場所

風俗営業の許可が必要になる場合、用途地域や保全対象施設との距離など、立地の問題がないか。

これらを、物件契約や内装工事の前に確認することが重要です。

なお、実際に必要となる許可・届出は、営業方法、営業時間、構造、立地などを総合して判断する必要があります。

9.まとめ|相席BARは工事前の相談が重要

相席BARは、お客さん同士の交流を楽しむ営業です。

そのため、一般的なガールズバーや接待を伴うラウンジとは、営業の仕組みが異なります。

しかし、接待を行わないからといって、風営法の問題がすべてなくなるわけではありません。

小さな個室を設ける場合には3号営業の問題が生じることがあります。

深夜まで酒類を提供する場合には、深夜酒類の届出や客室面積の基準も確認しなければなりません。

そして、実際の許認可判断では、図面だけでは判断できない問題が生じることもあります。

私自身、警察本部との協議を経て、許可申請と実査まで進んだ後に、最終的に許可不要と判断された経験があります。

こうした経験からも、相席BARの許認可は、営業方法と個室の構造を丁寧に確認することが重要だと感じています。

せっかく面白い営業方法を考えたのに、工事が完成してから法律上の問題が見つかる。

それは、経営者にとって大きな負担になります。

だからこそ、相席BARや相席屋の開業を考えている方には、物件契約前、少なくとも内装工事前の段階で相談してほしいと思っています。

行政書士法人ARUTOでは、風俗営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の手続きだけでなく、物件調査や内装業者との協議にも対応しています。

相席BARの営業許可や個室の構造についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

初回公開:2023年8月14日 / 更新:2026年11月6日

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