目次
- 1.AV新法とその問題
- 1-1.AV新法とは?
- 1-2.違反した場合の罰則
- 1-3.AV新法の問題点
- 2.AV新法と映像送信型性風俗特殊営業の関係
- 3.映像送信型性風俗特殊営業の注意点
- 3-1.アダルト映像配信は許可が必要
- 3-2.AV制作する際の契約書について
- 4.まとめ
1.AV新法とその問題
2023年からスタートしたAV新法は、AV出演者の被害防止と救済を目的に作られた法律です。
しかし、さまざまな問題が露見し、当事者からも批判が殺到する結果となりました。
批判が高まってしまった理由としては、制作者や出演者の活動をいちじるしく制限する制度設計が大きな要因のひとつと考えられます。
このAV新法、アダルト動画配信事業者への影響はあるのでしょうか?
今回は、アダルトサイトやアダルトライブチャットを利用したAV事業、すなわち映像送信型性風俗特殊営業をする方に向け、AV新法の関連性や営業の注意点をお伝えします。
今後もアダルト動画配信事業を確実に収益化していきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
1-1.AV新法とは?
AV新法(AV出演被害防止・救済法)とは、2023年6月23日に施行され、AV出演者の被害・拡大防止および救済を目的とした法律です。
2022年の民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられ、AV出演の被害拡大の懸念が高まったことを背景に、議員立法からわずか1ヶ月半という異例のスピードで成立しました。
AV新法において特に重要な点は以下の通りです。
- ・出演契約はAVごとに締結が必要(契約書等の交付義務あり)
- ・契約から1ヶ月間は撮影禁止
- ・出演者は契約後であっても嫌な撮影を拒否できる
- ・撮影終了から4ヶ月間は公表禁止
- ・公表から1年間(施行後2年間は経過措置として「2年間」)は、無条件で契約解除できる
- ・出演契約に基づくことなくAVの制作公表がされた場合や、出演契約の取消・解除をした場合は、公表の停止・予防及びこれに必要な行為を請求できる
また、AV新法の適用期間は施行日以降です。つまり2023年6月23日以降に締結された出演契約等であれば、無条件に出演契約を解除し、販売や配信といった公表を停止、動画削除を実現できる可能性があります。
1-2.違反した場合の罰則
AV映像の制作者に対する罰則は、個人・法人を問わず、出演者と出演契約を締結する者が対象です。
任意解除を妨害するために、不実告知や威迫・困惑させる行為をした場合には「3年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」が、法人に対しては「1億円以下の罰金」が科せされます。
契約書等の交付義務違反や説明義務違反に該当する場合には「6か月以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が設けられており、法人に対しても同額の罰金が科されます。
1-3.AV新法の問題点
異例のスピード立法で施行されたAV新法ですが、成立過程で制作事業者や出演者など現場サイドの意見聴取が行われておらず、実際には批判が相次ぐ結果となりました。
すでに業界から発せられている意見、今後の傾向をまとめると以下の点が挙げられます。
- ・予定していた撮影が無くなった
- ・出演が難しくなり収入が減った
- ・体調不良等による急な交代が難しい
- ・新人女優・男優の減少
- ・人材の流出による違法同人AV業者の増加
出演まで契約から1ヶ月、出演から公表まで4ヶ月という長いスパンでの期間確保が必要になったことから、撮影できる本数が絞り込まれ、急場の出演者交代ということも難しくなりました。
さらに、制作事業者は契約解除や公表中止等のリスクを避けるため、実績と信頼のある出演者と優先的に契約を結ぶことになるでしょう。新人が活躍しにくくなることは想像に難くありません。
現在は過渡期ともいえる期間のため、AV新法が浸透していけば上記のような意見や懸念も落ち着いていくと考えられます。
ただし、制作にかかわる事業者や出演者は法律の内容を熟知したうえで計画的に臨む姿勢が大切です。
2.AV新法と映像送信型性風俗特殊営業の関係
AV新法が与える影響とは
有料アダルトサイトやアダルトライブチャットなどのアダルト映像配信事業は、風営法において「映像送信型性風俗特殊営業」と定められ、警察署への届出により許可される風俗営業です。
AV新法は制作側を規制する法律であるために、アダルト配信事業者への直接的な影響はないと思われます。
しかし、映像送信型性風俗特殊営業の手続きをする事業者はAV制作者であるケースが多く見られます。この場合では、制作に関するリスクがサイト利用料やアフィリエイトなど、動画配信事業の収入へダイレクトに影響していくことになるでしょう。
映像送信型性風俗特殊営業をして制作にも関わる事業者は、出演契約の内容適正化やスケジュール計画など、AV新法への柔軟な対応が必要です。
3.映像送信型性風俗特殊営業の注意点
3-1.アダルト映像配信は許可が必要
前項でも伝えましたが、映像送信型性風俗特殊営業を行おうとする事業者は管轄の警察署へ届出が必要です。
有料アダルトサイト(サブスク型、アフィリエイト型を含む)やアダルトライブチャットを運営する際には、個人・法人に関わらず風営法の規制対象となるため届出がなければ営業できません。
AV新法の対象であるAV動画制作者においても、公表先のサイト運営や配信を行うのであれば届出が必須です。
賃貸物件に事務所を構える際の注意ポイントとして、届出時にオーナーによる「使用承諾書」の添付が必要である点が挙げられます。使用承諾書は一般的に賃貸契約時に交わされる書類のため、使用許可が下りる物件であるかどうかを契約前にしっかりと確認することが重要です。
3-2.AV制作する際の契約書について
映像送信型性風俗特殊営業においてAV制作を行うとする際には、AV新法に則った出演契約書が必須となります。
法規をきちんと理解したうえで条項を記載し、要項漏れのない内容とするのが基本です。出演者に不平等を感じさせることなく、制作者が不利益を被ることのない内容作りが望ましいでしょう。
各自の経営内容や規模によっても必要な文言が異なってくるため、ネット上のテンプレートをそのまま利用する…というのは避けたいところ。
記載する内容や言い回しによっては大きな損害を招くリスクにもつながるため、可能であれば専門家によるリーガルチェックを実施しましょう。
AV新法については、政府広報オンラインでも広報されていますので、コチラのホームページもご覧ください。
被害に遭われて困っている方のために性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)を運営する男女共同参画局のホームページはコチラです。
4.まとめ
AV新法はAV出演者を守るための法律であるため、主にAV制作事業者を規制する法律です。
しかし、アダルト映像配信の事業者は制作を兼ねている場合も多く、AV新法への適正化が必要な事業者は少なくないでしょう。
映像送信型性風俗特殊営業の届出は、スナックやキャバクラといった風俗営業店舗の申請ほど困難なものではありません。しかし、使用承諾書をもらえる事務所物件探しや法規制に則った契約書面の作成など、独自の手間があるのも事実です。
映像送信型性風俗特殊営業の届出を行政書士に依頼すれば、面倒な書類作成の手間が省けるのはもちろん、委任状を書くことで警察署へ赴く必要もありません。
今後少なからずリスクをはらんでいく出演契約書の作成もプロに任せれば、大きな安心につながるでしょう。
当事務所はナイトビジネス専門の行政書士事務所として、映像送信型性風俗特殊営業の届出にも数多くの実績を持ちます。
映像送信型性風俗特殊営業ではドメインごとに届出が必要となり、行政書士事務所に一任する際には高額な報酬となるケースも少なくありません。
当事務所の場合は、同一依頼者からの多数届出はディスカウント対象とし、はじめてご利用の際も相場より安い価格でサービスを提供いたします。AV新法に則った出演契約書の作成もお任せください。
映像送信型性風俗特殊営業をご検討の方、物件探しが難航している方、AV新法への対応にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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