法改正で飲食店の事業承継が簡略化!M&Aのメリット・デメリットとは?

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コラム

目次

1.はじめに

令和5年中の法改正により、飲食店における営業許可を承継できるようになりました。

これまで事業譲渡を行う際には、保健所へ廃業届を提出し、新たに営業許可を取り直す必要があったため、非常に大きな変化と言えるでしょう。

この記事では、法改正の概要や飲食店で事業承継するメリット・デメリット、さらに風俗営業店における承継について解説します。

店舗の引継ぎや手続きについてお悩みの経営者の方は、ぜひ最後までお読みください。

 

 

2.飲食店営業許可の事業承継が可能に

東京都保険医療局のHPより抜粋

2-1.改正のポイント

これまでの食品衛生法では、事業譲渡によって飲食店の経営者が変わる際の名義変更は認められていませんでした。

既存のオーナー(譲渡人)が保健所へ廃業届を提出し、新しいオーナー(譲受人)が新規の営業許可申請または営業届出をすることで店舗の引継ぎを行うという、二重の手間を必要としていたのです。

しかし令和5年6月14日に法改正が交付され、同年12月13日以降からは「地位承継届」を届け出るだけで、営業者を変更できるようになりました。

簡単、そしてスピーディーに飲食店営業許可の引継ぎが可能になったことから、M&Aを行いやすい環境が整い、後継者問題の解決、雇用の安定、事業整理・強化といった目的も達しやすくなったと言えるでしょう。

 

参考:東京都保健医療局|事業譲渡による営業許可・届出の地位の承継が可能になりました

 

 

2-2.手続きの注意点とは?

手続きが簡略化され事業承継しやすい内容となった今回の法改正ですが、いくつかの注意点があります。主な要点について、くわしくチェックしていきましょう。

 

保健所へ事前相談が必要

事業譲渡による飲食業許可の引継ぎを行う際には、届出を出す前に保健所へ事前相談が必要です。

保健所から譲渡人を通じて衛生管理の方針等の確認が行われるため、譲渡人と譲受人が連携して対応することが求められます。

 

事業の一部譲渡は適用外

事業譲渡には、事業のすべてを譲渡する「全部譲渡」と一部門単位で譲渡する「一部譲渡」があります。

今回の法改正の内容が適用されるのは全部譲渡に限ります。

 

譲渡に関する証明書が必要

地位承継届を届け出る際に、営業の譲渡が行われたことを証する書類の添付が義務付けられています。譲渡契約書や覚書など、譲渡事実が確認できる書類の用意が必要です。

譲渡の書式は特に定められたものはありません。譲渡の書類コチラの様式をお使いください。

 

 

承継手続き後、保健所の調査あり

地位承継の届出が行われた際には、保健所による施設状況の調査が実施されます。

原則として立ち入り検査が行われるため、譲渡人が申請した当初の状況から変更がないことが重要です。

 

 

3.飲食店で事業承継(名義変更)を行うメリット・デメリット

 

今回の法改正により、飲食店の事業承継において煩雑な手続きを簡略化できるようになりました。

具体的にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ紹介していきます。

 

3-1.メリット① 簡易な手続きで店舗営業を継続できる

飲食店におけるこれまでの事業承継では経営者の名義変更ができなかったため、一度廃業する必要がありました。さらに新しく営業許可を取り直す必要があり、手続きが完了するまでは店舗営業を休止せざるを得なかったのです。

しかし、地位承継の届出だけで名義変更が可能になったことから、営業を継続しながらスピーディーな事業継承が可能になりました。

 

3-2.メリット② 手数料を節約できる

飲食店営業許可を申請する際には保健所への申請手数料が必要です。

東京都の場合183,000円の手数料が発生しますが、地位承継届によって事業承継する際はこの費用を節約できます。

また、行政書士に依頼する際も飲食店営業許可の場合3~6万円程度の報酬が相場となりますが、届出の提出程度であれば自身で行うことも十分に可能です。

さらに、休業期間がない点もコスト面において大きなメリットでしょう。無駄な賃料を払い続ける必要もなく、顧客やスタッフへの負担を最小限に抑えながら、利益を生み続けることができます。

 

3-3.デメリット 譲渡人の与信情報も引き継いでしまう恐れ

飲食店の名義変更で店舗を引き継ぐ際、譲受人は譲渡人の与信情報も引き継ぐことになります。

これまでの経営内容を含めた与信情報に問題点があり、ブラックだと判断された場合には大きなリスクになるでしょう。

例えば、経営用の銀行口座が開設できない、クレジットカードの審査が通らないといった問題が生じる恐れがあります。

事業承継を行う前に、与信情報を含めた経営内容の調査、開示を徹底することが重要です。

たとえ親族や旧知の仲であっても、万全を期して取引を進めましょう。

 

 

4.風俗営業許可は事業承継できる?

飲食店営業許可においては手続きが簡略化されましたが、風俗営業許可についてはこれまで通りの手続きが必要です。

キャバクラやバーなど風俗営業店舗の場合、原則、営業者が変わると引き続きの営業ができず、一度返納手続きをしたのちに新しく開業手続きをしなければなりません。(管轄の公安委員会による)

新たな許可が下りるまでは申請してから約2ヶ月という長い期間を要すため、賃料の支払いなど経営者の負担は少なくないでしょう。

ただし、法人同士の事業承継であれば合併・分割の手続きをすることにより、風俗営業の承継が可能になります。

※注意 管轄の公安委員会によって、引き続きの営業できるかが違いますので確認が必要です。東京都では原則不可となっています。

引き続き営業をしながら名義変更できる方法もありますので、次の章で解説します。

 

4-1.法人の場合の承継手続き

事業承継の相手が法人同士であれば、会社の合併・分割前に「合併(分割)申請書」を提出することで公安委員会から承認を得ることができます。

会社の合併・分割が完了してしまうと従前の風俗営業許可は失効してしまうため、それぞれがまだ経営している段階であらかじめ手続きすることが必要です。

 

【手続き全体の流れ】

  1. 1.「合併(分割)申請書」および必要書類を管轄の警察署へ提出
  2. 2.警察から承認に関する通知
  3. 3.法務局へ合併(分割)登記
  4. 4.登記完了
  5. 5.管轄の警察署へ「変更届出書」「許可証書換え申請書」を提出
  6. 6.新しい許可書の受け取り

 

店舗営業については、設立登記の日より譲受人名義の会社にて営業できます。それ以前は譲渡人名義の会社での営業が可能なため、営業休止のリスクがない点がメリットと言えるでしょう。

なお、会社分割・合併手続きについては、行政書士・税理士・司法書士による手続きが必要です。申請内容もさることながら、申請タイミングや与信情報を引き継いでしまうおそれもあるなどの考え方もあり、難しい手続きです。

早めの段階で専門家へ相談することをおすすめします。

警視庁様式:法人営業の分割・合併の承認申請・書式についてはコチラ

 

 

5.まとめ

令和5年に法改正があった飲食店の事業承継をメインに、制度内容や手続き方法を紹介しました。

これまでは簡単に名義変更ができなかった飲食店ですが、今後は「地位承継届」の提出によりさまざまな手続きを簡略化できることになりました。

ただし、風俗営業許可についてはこれまで通り許可の取り直しが必要です。

法人については「合併・分割」の手続きで風俗営業店の事業承継が可能になりますが、承認申請や登記の手続きを要しますので専門家によらなければ手続きは難しいです。

行政書士法人ARUTOでは、風俗営業に特化したナイトビジネス関連の申請に年間300件以上携わっています。

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