目次
- 1.飲食店営業許可とは~飲食店を開業するための第一歩
- 1-1. 飲食店営業許可は保健所への事前相談から
- 1-2. さまざまな種類がある食品関連の許可
- 1-3. 欠格事項に注意しておきましょう
- 2.飲食店営業許可申請から許可までの流れ
- 2-1. 食品衛生責任者の配属
- 2-2. 飲食店営業許可を取得するための設備の要件
- 2-3. 飲食店営業許可に必要な書類・図面
- 2-4. 保健所の現地検査
- 3.飲食店営業許可申請に行政書士を利用するメリット
- 3-1. 飲食店営業許可申請において行政書士が代理できる業務
- 3-2. 飲食店営業許可を行政書士に依頼した際の費用
- 4.まとめ
1. 飲食店営業許可とは~飲食店を開業するための第一歩
レストランやカフェなど、一般的な飲食店を営業するためには「飲食店営業許可」の手続きが必要となります。
営業許可が下りるまではお店の営業はできませんので注意しておきましょう。
この飲食店営業許可とは食品衛生法に基づくもので、保健所に事前相談を行い、営業許可申請を行ったのちに許可書が交付され、営業開始できるといった流れになります。
まずはお店を管轄している保健所への事前相談から取り組んでいくことになります。
1-1. 飲食店営業許可は保健所への事前相談から
飲食店を営業するためには必ず店の所在地を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を取得しておかねばなりません。いきなり許可申請をすることもできますが、地域によっては基準が異なる点もあることから店舗の工事着工前に事前相談をしておくことをおすすめします。
許可申請をする際には各種書類や図面などを揃えておく必要がありますので、申請時点では基準に合っている店舗にしておかなければなりません。厨房やトイレなどの設備が基準に適合していないことが判明してしまうと、修繕のため無駄なコストや時間を費やしてしまうことになります。
事前相談は、まったく図面がない状態でこれから店舗改装を行っていくという段階でもまったく問題ありません。丁寧にアドバイスをもらうことができますから、その結果を持って店舗づくりを行い、営業許可申請に繋げていくといいでしょう。
1-2. さまざまな種類がある食品関連の許可
保健所で許可が必要な飲食関連の許可については、さまざまな種類があり、営業したい形態によって必要な手続きが変わってきます。実際どの許可を取得すればいいのか分かりにくいので、事前相談で保健所に問い合わせてみるといいでしょう。
一般的な食事やお酒を含む飲み物の提供の場合であれば、「飲食店営業」になります。
また店内でアイスクリームやお惣菜などをつくる場合においては、飲食店営業許可だけではなく「製品の製造許可」をあわせて取得しておく必要がありますから注意が必要です。あわせて、食事よりもお酒の提供がメインで、深夜0時以降にも営業するような場合には「深夜における酒類提供飲食店営業開始届」が必要になります。
1-3. 欠格事項に注意しておきましょう
「欠格事項」とは食品衛生法第52条2項に定められているもので、当てはまる人であれば営業許可を受けることができない可能性があります。
1、食品衛生法に違反して処罰され2年が経過していない
2、飲食店営業許可を取り消されて2年が経過していない
3、法人役員内にそれらいずれかに該当する人がいる場合
もちろん新規の営業許可の場合では、該当することはありませんから、問題なく許可を受けることができるでしょう。
2. 飲食店営業許可申請から許可までの流れ
1、事前相談:営業を始めるための相談
2、営業許可申請:必要書類の提出・施設検査日の決定
3、施設検査:食品衛生監視員による施設基準の検査
4、営業許可書交付:施設検査後1週間程度で交付
5、営業開始:店舗内の見える位置に掲示
一般的には上記の流れに沿って進められていくことになります。費用は保健所によって若干異なりますが、おおむね15,000円~19,000円程度になります。ここでは流れの中で必要となるポイントをご紹介していきます。
2-1. 食品衛生責任者の設置
飲食店営業許可を取得するためには、必ず「食品衛生責任者」を設置しなければなりません。栄養士や調理師免許の資格を取得していれば食品衛生責任者となることができますが、取得していなければ食品衛生責任者講習を受講する必要があります。
地域によっては講習会が常に行われている訳ではありませんから、必ず早めに受講し、許可申請の際には取得しておくようにしましょう。食品衛生責任者の講習が未受講でも飲食店営業許可を取得することは可能です。許可申請時に間に合わない場合には、誓約書を提出し、申請から3か月以内に配属させる必要があります。
2-2. 飲食店営業許可を取得するための設備の要件
- 厨房は仕切られた区画で水はけがよく清掃しやすくなっている
- 厨房内とトイレ内には基準以上の手洗い器が設置されている
- 厨房内に冷蔵庫や食洗器などの厨房機器が収まっている
- 冷蔵庫には必ず温度計が設置されている
- 厨房内にあるゴミ箱は必ず蓋が付いている
- 調理場の手洗器の基準
地域によっても設備要件には差がありますが、一般的にはこのような内容がチェックされることになります。厨房やトイレといった水回りがチェックポイントになりますので、必ず事前相談においてアドバイスを受けるようにし、間違いのないように工事を着工することが大事です。
2021年6月食品衛生法が改正されたことにより、調理場の手洗器は手や指で触れるタイプが禁止され、レバー式またはセンサー式の仕様でないといけなくなりました。そのため、特に居抜き物件を契約する場合には手洗器の蛇口を取り換えなければいけません。
2-3. 飲食店営業許可に必要な書類・図面
- 飲食店営業許可申請書
- 平面図
- 見取り図(店舗の場所を記したもの)
- 登記事項証明書(法人の場合:法人番号だけでも可です。)
- 水質検査証の写し(貯水槽の場合:1年以内に発行されたもの)
- 食品衛生責任者の資格を有することを証するもの
一般的には上記に掲げている書類や図面が必要となります。保健所によっては、この他にも必要な書類を求められることがありますので、各保健所に確認するようにしましょう。保健所の事前申請において「飲食店営業許可申請書」「店内見取図」の用紙をもらっておくようにします。管轄する保健所のホームページでダウンロードが可能ですので、あらかじめ記入していくとよいでしょう。
平面図は手書きのものでも受け付けてもらえます。店舗内のカウンターやテーブル、トイレ、厨房機器などを分かりやすく記しておきます。水質検査証の写しについては、貯水槽や井戸水を利用する場合に必要になります。通常は管理会社などに伝えればもらうことができます。水道直結であれば水質検査証は不要です。
2-4. 保健所の現地検査
保健所に飲食店営業許可の申請を行ったのち、保健所の担当者が概ね1週間以内には検査のために店舗に来て営業できる状態かを検査をします。日程については許可申請時に調整することになりますので、日程がかなり早くなる場合やずれ込んでしまうことがありますので注意が必要です。
営業所の現地検査の際、クリアしなければいけないポイントを解説します。
保健所の現地検査は営業ができる状態で受けなければいけません。そのため、調理場やトイレなどの水回りは完成している必要があります。ただし、客室内のテーブルや椅子を搬入する前の段階でも検査は受けられます。地域によって多少異なるところもありますが、概ねの検査ポイントは下記のとおりです。
1 シンクの蛇口からお湯が出るようにする(電気・ガスなどの開栓手配)
物件の契約日は決まっていることだと思いますので、電気・ガスの契約をあらかじめ手配しておき、物件契約日に合わせて開栓するのが早く許可を取るポイントになります。居抜き物件の場合は、給湯器が壊れて使えない。新しい給湯器が入るまで時間がかかりオープンが延びてしまうということもありますので、物件の内見時に給湯器が壊れていないかも確認しておくのが良いでしょう。
2 扉付きの食器棚の設置
扉付きというのが条件になります。衛生的な観点からお客さんが使用する食器やグラスは扉付きの食器棚に保管しなければいけません。大きな営業所でそれに見合わない小さな食器棚では不許可になってしまうおそれがありますので、営業所の大きさに見合った食器棚が必要になります。
3 調理場用の手洗器に注意
2021年6月に食品衛生法が改正されて、調理場に設置する手洗器が指や手のひらで蛇口を触れるタイプの物が禁止になりました。内装業者ならご存知でしょうが居抜き物件を契約してそのまま営業する場合だと注意が必要です。手洗器のハンドルをレバー式に交換して、手ではなく肘部で出した水を止められるような対策が必要です。既存のタイプのものだとハンドルだけをレバー式に交換できる物が多く、アマゾンでも2,000円程度で購入できます。
4 換気扇の動作確認
調理場内は火気も使いますし換気できる環境が必要です。たとえ、バー営業で火気を使用しないとしても換気設備は必須となっています。検査前には必ず動作確認をしましょう。換気ができない環境では検査は不許可となります。
5 ウエスタン扉の設置
飲食店でよく見かける調理場と客室を区画する際に用いられるウエスタン扉ですが、本来はネズミなどが調理場内に侵入できないように設置されています。完全に区画されている扉でしたら問題ありませんが、ウエスタン扉の高さが高すぎると許可が下りませんので注意が必要です。
6 水漏れのチェック
特に居抜き物件の場合、まれにですが手洗器やシンク下、トイレの排水に漏れがあることがあります。保健所検査員は水周り、特に排水の漏れは厳しくチェックします。水漏れがあると不許可になりますので、検査までには改善しておく必要があります。
7 アルコール、石鹸の設置
調理場用、トイレ用の手洗器にはアルコールと石鹸を設置します。これまでは石鹸器が固定されている必要がありましたが、食品衛生法の改正で置いてあるだけでも可となりました。コロナウィルスの感染防止の観点からも手をかざすと自動で噴射される非接触型が良いでしょう。
以上が保健所検査を受けるための7つのポイントです。
保健所の現地検査において問題がなければ、許可が下ります。許可日については、検査当日に許可を出してくれる場合や役所の決済後に許可が下りる場合があり、地域によって異なりますので申請する際にその点も確認しておくと良いでしょう。
また、営業許可書を保健所まで受け取りに行く時間がないという方は、郵送で営業許可書を受け取るという方法もあります。ほとんどの保健所では赤色のレターパック(書留郵便)を申請する際に持参して、郵便受取を希望すると対応してくれます。ただし、郵便対応していない保健所もありますので事前に電話で確認しておくと良いでしょう。
3. 飲食店営業許可申請に行政書士を利用するメリット
飲食店営業許可の申請は、店舗の改装や営業について考えている時期に自身で行うことは難しいと感じている方も多いでしょう。
しかし、保健所の手続きについては初めての方でも保健所の担当者が親切に教えてくれますので、ご自身でも十分可能です。
ただし、「物件契約をして早くオープンをしたい」、「オープン前の準備に専念したい」、「深夜営業、風営法の申請もある」というご要望をお持ちの営業者の方は飲食専門の行政書士を利用することをお勧めします。
保健所とのやり取りで時間を取られてしまうのは事実ですし、専門家に代理申請を依頼する方が無難です。飲食店営業許可に必要な書類作成や代理申請は、行政書士のみが行える業務となっています。
3-1. 飲食店営業許可申請において行政書士が代理できる業務
1、保健所との事前相談
2、営業許可申請書類の作成
3、施設検査の立ち合い
4、営業許可書の受け取り
飲食店営業許可申請の一連の流れにおいて、事前相談から許可書の受領まで一貫して依頼することが可能です。書類の作成だけといった部分的な依頼も可能ですが、店舗営業をはじめるスタート時点から関わってもらったほうが、話はスムーズになることは間違いありません。
依頼するタイミングとしては、物件を探している段階で構いません。深夜営業や風営法の申請も控えているなら尚更で、どこでも営業できる訳ではないからです。許可の種類についても確認しておくと良いでしょう。
飲食店営業許可・風営法に精通した行政書士であれば、適切なアドバイスを受けることができます。営業許可申請書類の作成については「許可申請書」「店舗図面」といった必要な書類・検査当日の立会いなどすべてお任せすることが可能です。
また店舗営業をはじめる際にあわせて必要になる菓子や麺類の「製造業許可」や消防署に提出が必要な「防火対象物使用開始届」、ビラ配りをするに必要になる「道路使用許可」などの手続きも併せて依頼することができます。
行政書士に依頼することは店舗運営に大きなメリットがあると言えるでしょう。
3-2. 飲食店営業許可を行政書士に依頼した際の費用
行政書士の報酬は一律に定められている訳ではありませんので、行政書士事務所によって費用には違いがあります。低いところでは2万円程度、もっとも多いのは3万円~5万円程度となっています。
行政書士は報酬額を事務所に掲示するように定められています。行政書士事務所が運営するサイトにも報酬額が掲載されていますので、参考にするといいでしょう。
弊所においては、深夜営業・風営法の申請も含むセット割適用であれば飲食店営業許可の報酬は1.3万円(税込)と価格設定しており、これまでご依頼いただいたお客さまからも喜んでいただいております。
4. まとめ
飲食店営業許可はこれから飲食店を開店したいという方に必ず必要となるものです。ただ許可申請は慣れていない方にとっては煩雑な作業に感じ、店舗の開店準備に支障をきたすのではないでしょうか。
弊所では、都内を中心に年間100件を超えるご依頼をいただいております。保健所の担当者とも良好な関係を築いておりますので、安心してご依頼をしていただけたらと思います。
初めて飲食店をオープンされる方には、弊所のような飲食店を専門にしている行政書士に依頼することがおすすめします。我々のような飲食専門の行政書士は内装業者や飲食店がオープンするに必要な他業種とも繋がりがあります。
弊所においても相場より高い価格を提示する営業マンや腕の悪い職人とは付き合いしていません。ですので、ご依頼いただいた営業者の方には「行政書士に依頼して良かった、結果的に安く上がりました。」とのお声も頂きます。経営者の方にはオープンに専念して頂けるよう、希望の開店日にあわせて許可を取得することに全力で努めます。
まだオープンする物件が決まっていない段階でも構いませんので、お気軽にお問い合わせいただけたらと思います。営業に必要な許可や知識などをアドバイスさせて頂きます。相談料は無料です。
弊所の料金表はコチラ
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