目次
1.メンズエステの開業・許可はどうすればいい?
「メンズエステを開業したいのですが、どのような許可を取得すればいいのですか?」
「リラクゼーションサロンの深夜営業には風俗営業の許可が必要ですか?」
そのようなご質問をたくさんいただきます。
メンズエステはマンションの一室でも開業でき、他の業種と比べて資金が少なく開業できるため、新規参入がしやすい業種でもあります。
ご自身で許可が必要になると考えて調べてみても、なかなかうまく答えを見つけることができなかったという方も多いのではないでしょうか。
基本的に、メンズエステやリラクゼーションのためのエステサロンの開業には、風俗営業許可のように特別な許可を取得する必要はありません。そのため、個人事業の場合であれば、税務署に対して開業届を提出するのみとなっています。
1-1.メンズエステの開業・許可の注意事項
メンズエステの開業には、個人事業では開業届のみとお伝えしましたが、いくつか注意事項があります。
メンズエステやリラクゼーションサロンのような営業形態の場合、癒しを中心としたサービスになりますが、医療行為ではないか問われることになります。医療行為とは、医師や理学療法士などのリハビリ専門職、鍼灸やマッサージなどの医療系サービスなどのことを指しています。リラックスや心地よさを求める「癒し」のための施術については医療行為に当たりませんが、病気の改善や予防などを目的としたものであれば医療行為になってしまいます。
また、多くのメンズエステでは、女性スタッフが密着度の高い施術をサービスとしていることが多いですが、性的好奇心に応じて接客するような場合には風営法が適用されてしまうことがあります。射精の有無だけが問われる訳ではなく、あくまで「性的好奇心」「接触」の有無が重要になりますので、好奇心を抱かせてしまうようなサービスは排除しておかねばなりません。
さらに、眉毛カットやまつ毛のエクステをするような場合には、美容師免許が必要となりますし、保健所の許可が必要となります。お酒や飲食を提供するような場合には飲食店営業許可が必要となる場合もあります。実際のメンズエステを見てみると、かなりグレー色が濃い店舗もありますが、線引きが難しい業態でもありますので、違法性がないかどうか理解しておくことが重要です。
2.メンズエステ開業の重要ポイント
メンズエステを開業するためには、「医療行為」「風営法関連」「飲食の提供」「美容行為」の4つの重要ポイントがあります。
これくらい大丈夫だろうと考えていたとしても、実際始めてみると違法行為になっていることも珍しいことではないのです。特にグレーゾーンで営業する店舗が多いだけに、規制が厳しくなる可能性も考えられます。どのようなポイントに注意しておけばいいのかお伝えしていきましょう。
2-1.医療行為
実際に経営されているメンズエステやリラクゼーションサロンを見てみると、アロマオイルマッサージやリンパマッサージ、タイ式マッサージなど、リラクゼーションメニューが用意されている店舗を数多く見かけます。
癒しや心地よさを提供しているものですが、これらの行為を、病気の治療目的や予防目的などとして行うのであれば「医療行為」となります。当然ながら医業は医師だけに認められている行為ですし、鍼灸師やマッサージ師などが行う施術については医業類似行為と呼ばれているものです。
メンズエステでみられるマッサージについては、病気の治療や予防を目的としているものではなく、あくまでリラックスや心地よさを提供しているものでしょう。そのため医療行為ではないということになりますが、実際に提供している施術については医業類似行為に似た側面があることから、十分注意して取り組む必要があります。
2-2.風営法関連
メンズエステは実際のところ、密着度の高いリラクゼーションマッサージを提供していたり、女性セラピストが露出度の高い制服を着用してサービスを提供しています。これらの行為が風営法の対象にならないのかどうか理解しておく必要があります。風営法において判断基準とされている条文は次の通りです。
『個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業』
この中でポイントとなる部分は「性的好奇心」「接触」となります。そのポイントを満たす営業を行っているとすれば、性風俗特殊営業になってしまうのです。そのため、性的なサービスはいっさい認められないことになります。性的なサービスとは繰り返しますが、「性的好奇心」と「接触」になりますから、射精の有無が問題ではないということを理解しておく必要があります。
またJKビジネスと呼ばれる、マッサージや添い寝など「リフレ」を営業するような場合であれば、東京都では「特定異性接客営業」として規制されています。特にJKビジネスの規制は厳しくなっており、18歳未満の青少年に接客業務をさせた場合には処分や罰則が科されることもありますので注意が必要です。
2-3.飲食の提供
メンズエステのサービスにおいて、飲食を提供したいと考えている方も少なくないでしょう。もちろん通常のエステサービスにおいては、コーヒーやジュース、お茶などをカップやグラスに注いで提供する程度であれば、飲食店営業許可は必要ありません。エステサービスの範囲内であると認められるからです。
ただし、食事を提供したり、お酒を提供するようなことがある場合には、飲食店営業許可が必要となります。また、お客さんがそのサービスの提供を求めて来店するような、手の込んだドリンクを提供したり、スイーツを提供したり、カクテルを提供している場合には、エステサービスの範囲を超えていると言わざるを得ないでしょう。
飲食店営業許可の目的には衛生管理があります。これは調理などによって食中毒を引き起こさないためにあるのです。そのため、もしメンズエステで飲食の提供を考えているということであれば、厨房設備などの基準も満たしておく必要がありますので、店舗設計の段階から取り組んでおかねばならないことになります。
2-4.美容行為
メンズエステのサービスで、眉毛をカットしたり、まつ毛のエクステンションを考えているような場合には、美容師免許が必要となり、開業には保健所に美容所開設届を提出しなければなりません。
また、それらのサービスを行うのは有資格者だけとなりますので、サービスにあたるエステティシャン全員が美容師の資格を有していなければなりません。
これらのサービスを提供する場合には、衛生面はもちろんのこと、高い安全性も確保しておかねばなりません。そのため、開業前から保健所に相談し、どのように開業を進めていけばいいのか、事前相談が必要となります。
3.メンズエステの開業届~リスクを考えて開業届の提出を!
メンズエステを開業するには、冒頭にもお伝えしましたが、風俗営業許可のように特殊な許可が必要ではなく、税務署に開業届を提出するだけで開業が可能です。とても簡単な手続きとなっていますから、個人で届出を提出するのに問題はないでしょう。
ただ、冒頭からお伝えしている通り、どのように営業していくかによっては、風営法の許可が必要な場合や飲食店営業許可が必要となる場合もあります。もし開業届だけで営業をはじめても、何かのきっかけで風営法の届出を求められるようなことがあるかもしれません。場合によっては違法性が問われてしまうことも考えられます。
健全にメンズエステを開業するということであれば問題ありませんが、グレーゾーンということであれば、やはり専門家に相談しながら開業を進めていくことをおすすめします。
ご自身では風俗店として営業していないつもりだったとしても、お客さんの立場から性的好奇心を求めて来店されるのであれば風俗店として判断されることがあります。
セラピストとの業務委託契約書やお客さまへの誓約など、経営者としては準備しておかなければいけないことが多々あります。
4.まとめ~行政書士に依頼するメリット~
メンズエステを始めたいという方であれば、グレーゾーンにも精通した行政書士に相談することをおすすめします。
飲食店営業や風営法など関連する許可申請に精通した行政書士であれば、どのような営業を考えているかによって、さまざまなご提案を行うこともできます。メンズエステは冒頭からお伝えしている通り、医療行為に該当する場合があり、また風俗営業と判断されてしまうこともあります。
もし、マンションの一室でメンズエステを営んでおり、風営法違反として検挙されてしまうと懲役2年以下200万円以下の罰金と非常に厳しい処分が定められていますので注意してください。現在、店舗型の性風俗特殊営業は一部地域でしか営業できないこととなっています。
また、飲食店営業許可や深夜における酒類提供飲食店営業の届出が必要となるケースもあるでしょう。これから営業を始めたいという場合であれば、営業を始めるための開店準備と同時に、サービス内容についてのチェックや検討も行わねばなりません。風営法許可や飲食店営業許可などが必要な場合には、大きな負担となることは間違いありません。
しかし、風営法をはじめとして、さまざまな許可申請や規制、法令に対する豊富な経験を持っている行政書士に依頼しておけば、とてもスムーズに進めることができます。セラピストとの委託契約書やお客さまへの誓約書のことなどご不明点がある方はお気軽に弊所にご相談いただければと思います。安心して営業開始できるようお手伝いさせていただきます。
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