目次
1.インターネット端末利用営業の規制に関する条例について
東京都ではインターネットカフェなどでのサイバー犯罪が増加したことから、2010年に「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」を施行しています。「インターネット端末利用営業」とは、個室や仕切りが設けられている区画を提供し、インターネットが利用できるサービスを提供している営業店舗のことを指します。
いわゆる、「インターネットカフェ」「マンガ喫茶」「個室ビデオ」「ネットルーム」「レンタルルーム」などが、この営業形態に当たります(※ただし旅館業法で規定するホテルや旅館、簡易宿泊所などの旅行業については除かれています)。
これらに該当する営業を行う場合には、営業開始の10日前までに営業開始届を、店舗を管轄する警察署生活安全担当課に提出しておかねばなりません。特にこの規制において厳しく定められているポイントは「本人確認」です。
インターネットが利用できるサービスを提供する場合には、お客様から必ず氏名や住居、生年月日を免許証などによって確認しなければならないことが求められています。確認に利用できる書類についても明確に定められており、さらに確認記録を作成し、保存しておかねばなりません。
もし、本人確認できていない状態でサービスを提供しているような場合には、行政処分によって営業停止命令や罰金が科されるようなこともあります。
2.インターネット端末利用営業の規制に関する条例の内容
・営業開始などの届出
・本人確認について
・本人確認記録の作成・保存について
・本人確認済みの顧客への対応について
・通信端末機器特定記録等の作成・保存について
「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」で定められている内容は、上記5つにまとめることができます。
届出後においても、これらを確認するために、必要に応じて報告や資料の提出が求められることがあり、また警察職員による店舗などへの立入りもあります。もし、違反行為が判明すれば、営業停止などの行政処分が科されることがあります。順番に詳しくお伝えしていきましょう。
2-1.営業開始などの届出
営業開始前には店舗を管轄する警察署生活安全担当課に開始届出書を提出しておかねばなりません。提出時期は、営業開始の10日前までで、複数の店舗がある場合には店舗ごとに提出が必要となります。
専用の開始届出書と共に、
・店舗の平面図(個室・パソコンの設置位置が分かるもの)
・個人営業の場合:住民票の写し(本籍または国籍が記載されたもの)
・法人営業の場合:定款(謄本化したもの)・登記事項証明書
の提出が必要となります。
また、営業開始時だけではなく、「営業廃止」「変更」時においても届出が必要となります。
営業廃止する場合には廃止の日から10日以内に、変更届については届出事項に変更があった場合に変更の日から10日以内に必要となります。
詳しい内容は警視庁のホームページからも確認できます。
→インターネット端末利用営業のしおり
2-2.本人確認について
お客様の本人確認について明確に定められています。本人確認とは氏名や住居・生年月日を確認することを指します。本人確認書類として、下記の提示を求め、有効期限内であるか、有効期限のないものについては発効後6か月以内のものか確認が必要となります。
・運転免許証・運転経歴証明書・在留カード・特別永住者証明書
・住民基本台帳カード・個人番号カード
・パスポート・乗員手帳
・印鑑登録証明書
・戸籍謄本または抄本(戸籍の附票の写しが添付されているもの)
・国民健康保険・健康保険・船員保険・後期高齢者医療保険・介護保険被保険者証
・健康保険日雇特例被保険者手帳
・国家公務員共済組合または地方公務員共済組合の組合員証・私立学校教職員共済制度の加 入者証
・国民年金手帳
・児童扶養手当証書・特別児童扶養手当証書・母子健康手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・戦傷病者手帳
・学生証(学校や専修学校、各種学校から発行されたもので、写真をはり付けたもの)
・その他官公庁から発行または発給された書類等
(雇用保険受給資格者証・各種免許・免状・国公立の学生証など。通知カードは除く)
ただし、個人番号カードの個人番号を記録することや、健康保険証などの記号・番号・保険者番号を記録することもできません。上記以外の、社員証やクレジットカード、キャッシュカード、定期券などでは本人確認することはできません。また、個室とオープン席がある店舗では、オープン席のお客様に対しても本人確認が必要となります。
さらに、現住居が記載されていない書類については、別途書類の提示を受けて、現住居の確認が必要となります。現住居が確認できる書類として、
・現住居の記載のある他の本人確認書類
・国税・地方税の領収証書・納税証明書
・社会保険料の領収証書
・公共料金(電気、ガス、水道等)の領収証書
・その他官公庁から発行または発給された書類等(通知カードを除く。)
・日本国政府の承認した外国政府または権限ある国際機関の発行した書類等で本人確認書類 に準ずるもの
が示されています。
2-3.本人確認記録の作成・保存について
・お客様の氏名など
・記録の作成者の氏名
・記録した日付・時刻
・本人確認の方法
・本人確認書類の名称など
・現住居を確認した書類の名称など
・本人確認した事項(氏名・住居・生年月日)
・顧客番号(会員ナンバーなど)
・外国人の在留期間などの確認を行ったときの旅券の名称など
本人確認記録について、上記内容を記入して作成し、サービスの提供を終了した日から3年間保存しておかねばなりません。
2-4.本人確認済みのお客様への対応について
本人確認が済んでいるお客様に対しては、新たにサービスを提供する際には、同一人物だと確認できれば、新たに本人確認書類の提示を求める必要はありません。同一人物だと確認する方法として、
・会員証等の提示を受けて確認する。
・お客様から申告を受けて確認する。
が挙げられています。
ただし、会員証の提示を受ける場合、ほかの営業者が作成したものや他府県にある店舗で作成したものは該当しません。
また、お客様からの申告については、本人にしか知り得ない事項などで確認することができますが、系列店でもフランチャイズなど営業者が異なる場合には本人確認が必要です。
2-5.通信端末機器特定記録等の作成・保存について
・会員番号・本人確認記録を検索するための事項
・パソコン端末の番号・顧客に提供した端末を特定するための事項
・お客様の入退店した日付・時刻
お客様に対するサービス提供を終了した後には、通信端末機器特定記録等を作成し、文書や電子データなどによって、「誰が」「どの端末を」「何時から何時まで利用したか」記録して、3年間は保存しておかねばなりません。
3.eスポーツ大会は風営法5号の対象になる可能性が!
ビデオゲームを使ったスポーツ競技であるeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)は、今後、風営法5号営業に該当する可能性が指摘されています。
eスポーツは現在、アジア大会で採用されている種目であり、今後はオリンピック種目に加わるのではないかとまで言われています。各地で開催されているeスポーツ大会では、賞金が分配されることが多いのですが、この行為が風営法の規制対象になるのではないかと指摘されているのです。
ちなみに、ゲームセンターの開業は風営法5号営業に該当するもので、eスポーツではゲームセンターと同様のビデオゲームにおいて勝敗を争います。近年、人気の高まりと共に大規模なイベントホールなどを使用して実施されることが多く、また繰り返し開催されていることがほとんどですので、風営法の営業行為に当たる可能性があります。
今後、eスポーツ大会の開催を検討している方であれば、風営法やインターネット端末利用営業の規制に関する条例に精通している行政書士に確認しておくようにしましょう。
4.まとめ
インターネットカフェやマンガ喫茶、個室ビデオなどの営業など、インターネット端末利用営業の規制に関する条例のことなら、条例をはじめ風営法や関連制度の許可申請に精通した行政書士に依頼することをおすすめします。
インターネットカフェやマンガ喫茶、個室ビデオについては、年々規制が厳しくなっていることは間違いありません。営業開始のための書類はとても多く、一般の方が作成し、整備するのはかなり困難なことでしょう。
書類の整備だけではなく、構造や設備に関する規制もあることから、専門的なポイントを押さえておく必要があります。特に店舗の開店準備をしながら、これらの対応に取り組むのは至難の業であると言えるでしょう。条例や制度に精通した行政書士に依頼すれば、開店準備に集中することができますので、安心して営業開始することが可能になります。
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