目次
- 1.『健康増進法改正』『東京都受動喫煙防止条例』の概要
- 2.規制の対象となる飲食店は?対象外は?
- 2-1.規制対象となる飲食店
- 2-2.規制対象外となる飲食店
- 3.喫煙が可能となる要件
- 3-1.喫煙専用室
- 3-2.指定たばこ専用喫煙室
- 3-3.喫煙目的室
- 3-4.喫煙可能室
- 4.まとめ
1. 『健康増進法改正』『東京都受動喫煙防止条例』の概要
2018年7月に国が定めている「健康増進法」の改正が決定し、2020年4月1日より全面施行されています。さらに東京都においても「受動喫煙防止条例」を制定し、このルールが健康増進法よりも厳しい内容であると注目されています。これらの施行に伴って、多くの人が利用する学校や施設などにおいては、定められたルールに基づいて措置を講じなければなりません。また同様に飲食店においても、店舗内での喫煙については原則的には禁止。
たばこを吸う人の周りにいる人ががんになってしまう事例が多く、受動喫煙による死亡者数は年間約1万5千人と知られています。そのためたばこを吸わない人が自分の意思で受動喫煙を避けることができるように法令や条例によって厳しく対策を講じているのです。
ただし「喫煙専用室」や「指定たばこ専用喫煙室」などの要件を満たすことによって、屋内でも喫煙が可能となっています。東京都内では84%の飲食店が規制の対象と考えられています。しっかりと理解して措置を講じるようにしてください。
2. 規制の対象となる飲食店は?対象外は?
「健康増進法」「東京都受動喫煙防止条例」共に、飲食店での喫煙を原則禁止にしている部分において共通しています。
ただし喫煙そのものが全面的に禁止されたというものではなく、規制対象外となる条件が設けられています。また一定の要件を満たしている場合においては、店内での喫煙が可能となっています。
さらに屋外であれば規制対象外ですので、受動喫煙が生じない環境であれば、喫煙場所などが設置可能となっています。
2-1. 規制対象となる飲食店
・客席の面積が100m²を超えている
・資本金5,000万円を超えている
・2020年4月1日から新規開業する店舗
・従業員がいる(個人・家族経営を除く)
規制対象となる条件のポイントは上記の通り。従業員については東京都受動喫煙防止条例独自の規制となっています。規制対象となる飲食店においては、「喫煙可能室」「指定たばこ専用喫煙室」の要件を満たした室内においては喫煙のほか、飲食の提供も可能となります。
またシガーバーやスナックなどは「喫煙目的室」の要件を満たすことによって、喫煙のほか、飲食の提供も可能となります。要件については詳しく後述しますが、「技術的基準」「20歳未満の入室不可」「20歳未満の立入禁止を示す標識の掲示」「店頭などに喫煙室があることを示す標識の掲示」などとなっています。
また東京都受動喫煙防止条例における従業員の定義としては、正社員だけではなく、契約社員やアルバイト、パートも含んでいます。従業員が家族だけの飲食店であれば、従業員の定義に該当しません。
2-2. 規制対象外となる飲食店
・客席の面積が100m²以下
・資本金5,000万円以下
・2020年3月31日までに開業している既存店
・従業員がいない(個人・家族経営など)
改正健康増進法においては、「客席面積100m²以下」「資本金5,000万円以下」「既存店」を理由として規制対象外としています。さらに東京都受動喫煙防止条例においては、それらの規制にあわせて「従業員がいない(個人・家族経営など)」飲食店のみを規制対象外としています。
改正健康増進法の規制対象外となる飲食店は全体の55%程度になると考えられていますが、東京都受動喫煙防止条例を踏まえることで東京都内では16%程度になります。
3. 喫煙が可能となる要件
冒頭から何度もお伝えしている通り、飲食店では原則喫煙が禁止されることになり、一定の要件を満たした場合に喫煙のほか、飲食の提供が可能となる場合があります。
喫煙が可能となる要件について、ご説明していきましょう。
3-1. 喫煙専用室
・喫煙だけのスペース(飲食の提供は不可)
・たばこ全般の喫煙が可能
・喫煙室は技術的基準に適合していることが必要
・「喫煙できる場所」「20歳未満の立ち入り不可」の標識の掲示
・「喫煙専用室の設置」を記載した標識の掲示
「喫煙専用室」とは、たばこを吸うためだけのスペースとなります。たばこ全般の喫煙が可能となっています。デパートや施設などに設けられている「喫煙室」「喫煙スペース」など、囲いがされているスペースが喫煙専用室にあたります。
ただしこのスペースではあくまで喫煙のためだけに設置されるもので、飲食を提供することはできません。また、あくまで室外へ煙が流出しないように囲いがされ、適切に排気されることによって認められるものですから、店舗全体を喫煙専用室とすることはできません。
喫煙専用室を設ける際には、喫煙専用室の出入り口にわかりやすく喫煙室である標識を、さらに20歳未満の者が立ち入らないように禁止する標識を掲示しておかねばなりません。また店舗の入り口には、喫煙専用室が設置されている標識を掲示する必要があります。
3-2. 指定たばこ専用喫煙室
・加熱式たばこのみ認められた喫煙スペース(飲食の提供は可能)
・喫煙室は技術的基準に適合していることが必要
・「喫煙できる場所」「20歳未満の立ち入り不可」の標識の掲示
・「喫煙専用室の設置」を記載した標識の掲示
「指定たばこ専用喫煙室」とは加熱式たばこのみ認められた喫煙室で、飲食の提供も可能となっています。ただし店舗全体を指定たばこ専用喫煙室とすることはできず店舗の一部のみで、喫煙室からたばこの煙が流出しないような基準に適合している必要があります。
指定たばこ専用喫煙室を設ける際には、出入り口にわかりやすく喫煙室である標識を、さらに20歳未満の者が立ち入らないように禁止する標識を掲示しておかねばなりません。また店舗の入り口には、指定たばこ専用喫煙室が設置されている標識を掲示する必要があります。
3-3. 喫煙目的室
・シガーバーやスナックなどでの喫煙スペース(飲食の提供は可能)
・たばこ全般の喫煙が可能
・店舗内の一部もしくはすべて
・喫煙室は技術的基準に適合していることが必要
・「喫煙できる場所」「20歳未満の立ち入り不可」の標識の掲示
・「喫煙目的室の設置」を記載した標識の掲示
「喫煙目的室」とは、シガーバーやスナックなど、喫煙の提供を目的とした店舗に認められた喫煙スペースです。店舗内すべてを喫煙目的室とすることも認められています。ただし飲食の提供は認められていますが、主食と認められる食事(ごはんやパン、めん類、ピザなど)をメインとして提供していないことが条件となっています。
ほかの喫煙室と同様に、喫煙目的室の出入り口にわかりやすく喫煙室である標識を、さらに20歳未満の者が立ち入らないように禁止する標識を掲示しておかねばなりません。また店舗の入り口には、喫煙目的室が設置されている標識を掲示する必要があります。
3-4. 喫煙可能室
・従業員がいないなど一定の要件を満たした飲食店の喫煙席
・たばこ全般の喫煙が可能
・店舗内の一部もしくはすべて
・喫煙室は技術的基準に適合していることが必要
・「喫煙できる場所」「20歳未満の立ち入り不可」の標識の掲示
・「喫煙可能室の設置」を記載した標識の掲示
「喫煙可能室」とは、従業員がいないなど、一定の要件を満たした店舗だけに認められるもので、店舗内すべてを喫煙可能室とすることも認められています。
飲食の提供は認められていますが、「従業員がいない」「20歳未満の者を立ち入らせない」ことが条件となっています。
従業員とは、正社員だけではなくアルバイトやパート、派遣社員なども含まれますが、家族だけで経営している店舗は該当しません。ほかの喫煙室と同様に、喫煙可能室の出入り口にわかりやすく喫煙室である標識を、さらに20歳未満の者が立ち入らないように禁止する標識を掲示する必要があります。また店舗の入り口には、喫煙可能室が設置されている標識を掲示しなければなりません。
4. まとめ~違反した場合の罰則に注意!
『改正健康増進法』『東京都受動喫煙防止条例』について徹底解説しました。規制対象となる飲食店・対象外である飲食店について、また必要となる受動喫煙対策についてご紹介しています。
違反している場合には、最大で50万円の過料となる可能性がありますので注意が必要です。
保健所による指導や助言、勧告、公表、命令、立ち入り検査などが行われることになりますので、記事を参考にして必ず守るようにしておきましょう。
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