目次
1.飲食店のオープンに必要な『防火管理者』講習から届出までの概要
飲食店のオープンには「飲食店営業許可」などが必要になりますが、その他にも必ず取得しておかなければならない資格として「防火管理者」があります。「防火管理者」とは火事を防ぐための管理者であり、飲食店をはじめとしてさまざまな施設に配置しておかねばなりません。
特に飲食店のように、常に調理のために火気を使用するような場合には、どれだけ気を付けていたとしても、火にまつわるトラブルが起こりやすいと言えるでしょう。もしも、営業中に火災が発生してしまったとしたら、利用されているお客様を巻き込んだ大惨事になってしまう可能性もあります。
そこで消防法において、不特定多数の出入りのある飲食店に対し、店舗の管理権限のある人に対して防火管理者として専任し、防火管理に関するさまざまな業務を行わせることを義務づけているのです。
防火管理者には、店舗の規模に応じて「甲種」「乙種」に区分されており、消防署などによって1日~2日程度の講習を受講しなければなりません。講習受講後には、店舗の防火管理者として届出を行い、防火管理のための消防計画を立案し、届出を行わねばならないのです。
また、条件に該当する店舗の場合であれば、受講から5年以内に再講習を受講しなければなりません。ここでは、2種類ある防火管理者のどちらを取得すればいいのか、どのように講習を受講すればいいのか、届出はどのように行えばいいのか、東京を例にしてお伝えしていきます。
参考:東京消防庁「防火・防災管理講習」
2.2種類ある防火管理者~「甲種」「乙種」の区分の違い
冒頭にもお伝えした通り、防火管理者には「甲種」「乙種」の2種類が存在し、店舗の規模によって、取得しなければならない区分が異なっています。店舗の規模については、下記の通りとなっています。
・甲種防火管理者:収容人数30人以上で延床面積300㎡以上
・乙種防火管理者:収容人数30人以上で延床面積300㎡未満
ただし、「甲種」を取得しておけば「乙種」を取得する必要はなく、「乙種」を取得していても店舗規模によっては「甲種」を再取得しなければならないことがあります。そのため、店舗の規模が「甲種」「乙種」のどちらが対象になっているのか、事前に確認しておく必要があります。
例えば、甲種防火対象物であるテナントで飲食店をオープンさせる場合には、店舗の広さに関係なく30人以上の収容人数があれば甲種防火管理者を取得しておかねばなりません。どちらを取得していいのか迷われるような場合には、甲種を選択しておいた方がいいでしょう。
3.「防火管理者」の資格を取得する方法
防火管理者の資格を取得するためには、『防火管理者講習』を受講する必要があります。『防火管理者講習』は東京都においては、消防技術試験講習場や都民防災教育センターにおいて開催されていますが、各都道府県によって場所は異なります。
申し込みについても、東京都では各消防署となっていますが、各都道府県によって防火防災センターであるような場合もあります。では、どのように防火管理者講習を受講すればいいのかお伝えしていきましょう。
3-1.防火管理者講習の申し込み~費用・場所・内容
東京都の場合では、防火管理者講習の申し込みや費用、場所などについては次の通りとなっています。
・申し込み:東京都内の各消防署、消防分署、消防出張所(稲城市を除く)
・申請方法:「防火・防災管理講習受講申請書」に必要事項を記載して提出。
※東京消防庁の公式サイトでダウンロード可能。申請場所でも配布されています。
・講習会場:消防技術試験講習場、立川防災館、本所防災館
・費用(新規講習):甲種5,500円、乙種1,700円
・講習時間:甲種(防火・防災:9~17時2日間)、乙種(9~17時1日)
講習当日は、受講票と共に、筆記具・身分証明書を必ず持参する必要があります。遅刻や早退は認められていませんので注意が必要です。
ただし、「自衛消防業務講習」「防火対象物点検資格者」「防災管理点検資格者」を取得している場合には、講習科目の一部免除の申請が可能となっています。
3-2.防火管理者講習での「効果測定」について
防火管理者講習では、講習の最後に「効果測定」が行われます。効果測定とは、いわゆる「修了試験」のようなものですが、この試験の点数が悪いからと言って防火管理者が取得できないという位置づけのものではありません。
とはいえ、防火管理に必要な知識を試されるもので、講習内容以外に出題されることはありませんから、講習をしっかりと受講しておく必要があります。テスト自体はそれほど難しいものではなく、○×で答えられるようになっています。
3-3.防火管理者資格の有効期限 ・ 再講習について
防火管理者講習を受講すれば「修了証」が発行され、資格を得ることができます。この修了証自体は永年で使用できるものになっており、有効期限はありません。
ただし、店舗の規模によっては5年以内に再講習を受ける必要があります。そのため、自身が管理している建物が対象となるのかどうかについて、確認しておく必要があります。対象となるのは、現時点において収容人数300人以上の店舗において甲種防火管理者として専任されている方になります。
ただし、テナントの店舗を利用している場合、テナント自体が甲種防火管理者の専任が必要である場合には収容人数30人以上で再講習の受講が必要となります。
4.防火管理者の届け出について
防火管理者講習を受講すると修了証を得ることができます。ただ、これで資格を得られたという訳ではなく、店舗を管轄する消防署に対して必要な届出を行うことによって、はじめて防火管理者として資格を得ることになります。
4-1.防火管理者の届け出
店舗を管轄する消防署に対して「防火・防災管理者選任(解任)届出書」を提出します。届出書については東京消防庁ホームページからダウンロードすることが可能です。なお、「防火・防災管理者選任(解任)届出書」と共に、「消防計画」の提出も必要となっています。
4-2.消防計画の提出
消防計画の書式については東京消防庁ホームページからダウンロードすることが可能で、書式に沿って計画を記入していく必要があります。記入する前に決めておくべきことがいくつかあります。
・店舗使用の目的や適用範囲
・管理権限者および防火管理者
・自衛消防組織の編成及び任務等
・予防管理対策
・震災対策
・訓練・教育
・連絡体制
・休日・夜間の連絡先
特に、自主検査の方法や防災訓練、連絡体制、連絡先などについては、あらかじめ決めておくことでスムーズに記載することができます。記載例が示されていますので、記載に関してはそれほど難しいものではありません。
4-3.防火管理者資格の再発行
修了証を紛失してしまった場合には、再発行の手続きが必要となります。「防火・防災管理講習修了証再交付等申請書 」を東京消防庁ホームページからダウンロードして活用するといいでしょう。
申請時には身分証明書が必要となりますが、東京消防庁管内で受講されている場合は、即日、再交付が可能となっています。また、再交付については行政書士などの代理人が行うことも可能となっています。
5.まとめ
飲食店の開業に関することや「防火管理者」に関することなど、各種申請のことなら許認可などに精通した行政書士に相談することをおすすめします。
「防火管理者講習」は店舗の規模によっては、丸2日間の講習を受講しなければなりません。また、講習受講後には選任届や消防計画などの提出が必要となっています。
並行して飲食店のオープンに取り組むためには、「飲食店営業許可」をはじめとして「防火対象物使用開始届」や「防火対象物の工事等計画の届出」などの届出も必要となっています。
これらの手続きを店舗の開業準備に取り掛かりながら行うことは、大きな負担となることは間違いありません。そのため、申請、規制、法令に対する豊富な経験を持っている行政書士に依頼しておけば、とてもスムーズに進めることができ、安心して飲食店の準備に取り組むことが可能となります。うまく活用してみてみることをおすすめします。
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