電気通信事業の登録・届出とは?映像送信をやる際に必要??
あまり耳馴染みのない「電気通信事業の登録・届出」ですが、これは電気通信事業法で定められているものです。
電気通信事業法では、電気通信事業を営もうとする者は、事前に登録または届出をしなくてはならないとされています。
これが具体的にどんな時に必要になるのか、風俗営業である映像送信型性風俗特殊営業を行う際にも必要になってくるのかどうかについて解説していきます。
目次
- 1.電気通信事業制度について
- 1-1.登録と届出
- 1-2.電気通信事業を営む者とは?
- 1-3.電気通信事業を営む者に該当しない例
- 2.登録・届出が必要になる業務
- 3.映像送信型性風俗特殊営業で必要となる場合
- 4.届出の方法
- 5.まとめ
1.電気通信事業制度について
1‐1.登録と届出
電気通信事業法上、電気通信事業を営む者は、その登録または届出が必要になります。
登録と届出のどちらが必要になるかは電気通信回線設備の設置によります。
大規模な電気通信回線設備を設置する者 → 総務大臣の登録が必要
※大規模とは、端末系伝送路設備の設置区域が一の市町村の区域を越えている、又は中継伝送路設備の設置の区間が一の都道府県の区域を越えている場合をいいます。
小規模な電気通信回線設備を設置する者 → 総務大臣に届出が必要
電気通信回線設備を設置しない者
1‐2.電気通信事業を営む者とは?
ではそもそも、法が適用される「電気通信事業を営む者」とはどのような者なのでしょうか?
まず、電気通信事業法において、電気通信事業とは、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業をいいます。
具体的には、電気通信役務(情報の送信)自体を目的としている事業をいい、電気通信役務を別の自らの業務遂行の手段として利用している場合は電気通信事業にあたりません。
そして、そのような電気通信事業を「営む者」とは、①他人の通信を媒介し、又は②電気通信回線設備を設置して電気通信事業を行う者をいいます。
① 他人の通信を媒介する
「他人の通信を媒介する」とは、次の両方に当てはまる場合です。
Ⅰ 加工や編集を行わない(情報の本質的な内容の改変を行わない)
※メールヘッダへの配送情報の追加やファイルの圧縮、入手した情報をメールマガジンへ変換するなどは加工・編集に該当しません。
Ⅱ 送信時の通信のあて先として受信者を指定している
② 電気通信回線設備を設置している
「電気通信設備を設置している」とは、送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体して設置される交換設備・付属設備を設置しているということです。
1‐3.電気通信事業を営む者に該当しない例
次のいずれか1つでも該当する場合には、「電気通信事業を営む者」に該当しないため、登録や届出は必要ありません。
① 他人のために役務を提供していない場合
・「自らのウェブサイト」や「社内システムを自社で運営する」など、自己の需要のために提供する場合
・電気通信役務を必ずしも前提としない、別の自らの業務遂行の手段として提供する場合
② 電気通信役務を提供していない場合
・緊急・臨時的に行う場合(反復継続しない場合)
・電気通信設備(電気通信を行うための機械や器具、線路その他の電気設備)を使わない場合
③ 利益を得ようとしていない場合
・無償、原価ベースでサービスを提供する場合
2.登録・届出が必要になる業務
では、具体的にどのような業務を行う際に登録または届出が必要になるのでしょうか?
例としては、次のような場合に登録または届出が必要です。
- ① 特定の利用者間のメッセージ交換をテキスト、音声、画像、動画によって媒介するサービスの一部として特定の利用者間でのダイレクトメッセージ機能を提供する
- ② SNSでダイレクトメッセージ機能を提供する
- ③ ECモールやネットオークション、フリマアプリにおいて、出店者と顧客間など特定の利用者間でのダイレクトメッセージ機能を提供する
- ④ Web会議システムのような特定の利用者のみが参加できるシステムを提供するウェビナーシステム
- ⑤ 複数の利用者間のテキストや音声等によるチャット機能を提供するビジネスチャット
- ⑥ 企業等からインターネット経由で提供された情報をその内容を変更することなく、あらかじめ登録した購読者に対して電子メールマガジンとして送信する
- ⑦ ファイル共有システムやファイル転送システムにおいて、利用者間でデータを保存したことや保管先を通知するメッセージ機能を提供する
- ⑧ 個人や企業がメールサーバ等を利用できるように、サーバ自体やサーバの一部を貸与する
- ⑨ 電子通信事業を営もうとする者等に、メールサーバ等の他人の通信の媒介が可能となる機能を含むサーバを貸与する
- ⑩ 電源設備や耐震設備などを備えた建物において、電気通信事業者等にサーバ等の設置場所及び自ら調達した電気通信回線を企業等に提供する
- ⑪ 法人向けのクラウドサービスである電子契約システム上で、利用者(法人)と取引相手との間のメール機能等を提供する
- ⑫ 法人向けのクラウドサービスである採用管理システム上で、利用者(法人)とその応募者との間のメール機能やオンライン面談機能等を提供する
- ⑬ 振込依頼を銀行等に送信するサービスで、審査等の関与をせずにそのまま送信する
- ⑭ 他の電気通信事業者からSIMの提供を受け、当該サービスの提供条件や価格を変更するなどSIMの再販を行う
- ⑮ アクセスポイントを設置または利用して、有料の公衆無線LANサービスを提供する(広告収入を得るなど実質的に利益を得ようとする場合も含む)
上記以外にも登録や届出が必要となる事業がありますので事業内容ごとにその都度、確認することをお勧めします。
3.映像送信型性風俗特殊営業で必要となる場合
性風俗営業として警察に届け出る必要のある映像送信型性風俗特殊営業ですが、時として、電気通信事業の登録や届出も必要になることがあります。
必要となる可能性が出てくるのは、自分でプラットフォームを作って行う場合です。
したがって、fantiaやFC2など既存のプラットフォームで届け出る場合は不要です。
自分でプラットフォームを作って映像送信を行う場合でも必要な場合と不要な場合があります。
登録・届出の要否は、他人の通信を媒介しているか否かで判断します。
<登録又は届出が不要>
動画共有プラットフォームのライブ配信機能のようなURLを知っていれば誰でも参加できるような「場」を提供するのみの場合
…この場合は、情報をやりとりできる「場」を提供していて、他人の通信を媒介していないため登録・届出は不要です。
<登録又は届出が必要>
配信者の方とメッセージのやり取りができるいわゆるクローズドチャットを設ける場合や、利用者を特定して配信等に参加できるシステムを提供する場合
…この場合は、参加者(利用者)を通信のあて先として指定しており、他人の通信を媒介しているため登録・届出が必要です。
4.届出の方法
ここでは、電気通信事業の「届出」が必要となった場合の届出方法をご紹介します。
<届出先>
日本法人等の場合 → 本店の住所を管轄する総合通信局等
外国法人等の場合 → 国内代表者等の住所を管轄する総合通信局等
<必要書類>
・届出書(様式第8)
・ネットワーク構成図(様式第3)
・提供する電気通信役務に関する書類(様式4)
・会社謄本(法人の場合)
・定款の写し(法人の場合)
・住民票(個人の場合)
※様式はこちらから↓
<届出方法>
電磁的方法もしくは郵送
5.まとめ
電気通信事業の登録・届出について少しは知っていただけたでしょうか?
登録・届出の要否の判断は難しいですが、映像送信型性風俗のプラットフォームを作成する場合などには、「風俗営業の届出以外にも電気通信事業の登録や届出も必要だった!」ということもありますので注意しましょう。
例えば、有料で画像や動画を視聴できる付属のサービスとして無料でチャットやダイレクトメッセージのやり取りができるという場合でも届出が必要になります。
自社が提供するサービスが登録・届出が必要かどうかの判断に迷った際にはぜひご連絡ください。
当法人は、東京都近郊を中心に年間で風営法関連の手続きを約300件受任しています。
プラットフォームから制作される映像配信型性風俗特殊営業の届出についても、全国的に手続きをしており実績もありますので、お気軽にご相談ください。
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