目次
- 1.はじめに|2025年 風営法改正の背景
- 2.2025年 風営法改正の概要と4つのポイント
- 2-1.接待飲食営業に関する遵守事項・禁止行為の追加
- 2-2.性風俗店によるスカウトバック全面禁止
- 2-3.無許可営業・名義貸し、メンズエステ等への罰則強化
- 2-4.風俗営業における不適格者の排除
- 3.業界・店舗・利用者への具体的な影響
- 3-1.接待・飲食業界が受ける主な変化
- 3-2.性風俗産業への影響と今後の対応策
- 3-3.一般利用者・顧客への影響や注意点
- 4.今後の流れと経営者が気をつけるべきこと
- 5.まとめ|風営法専門の行政書士のサポートで違反リスクを防ごう
1.はじめに|2025年 風営法改正の背景
2025年(令和7年)5月20日、「改正風俗営業法(風営法)」が衆議院本会議で可決・成立し、同年6月28日から施行されます。
今回の法改正は、ホストクラブで多発する悪質な「色恋営業」や高額請求トラブルが大きな社会問題となったことをきっかけに動き出しました。しかし、法改正の影響はホストクラブだけでなく、ガールズバーやコンカフェ、メンズエステなど多様なナイトビジネス全体に及びます。
改正初日に早速、摘発のニュースがありましたので、こちらも参考にしてください。
SNSを使った違法スカウトや未成年者の巻き込み、グレーゾーン営業の横行も問題視され、今回の改正では違反行為への罰則が大幅に強化。最大3億円の罰金や、従業員・経営者だけでなく関係法人にも責任が及ぶ新たな規定が設けられます。反社会的勢力や未成年者の排除も徹底され、従来通りの運営では営業継続が難しくなるリスクが高まっているといえるでしょう。
そこで本記事では、改正風営法の主要な変更点と業界への具体的な影響について、わかりやすく解説します。
併せて読んでもらいたい記事:渋谷区客待ち禁止条例
2.2025年 風営法改正の概要と4つのポイント
まずは、2025年の風営法改正における主な改正ポイントを解説していきましょう。
2-1.接待飲食営業に関する遵守事項・禁止行為の追加
2025年風営法改正では、接待飲食営業(ホストクラブ、キャバクラ、ガールズバー等)に対し、より具体的で厳格な遵守事項・禁止行為が新設されています。
特に問題視されていた「色恋営業」や、料金の虚偽説明、注文していないドリンクの強制提供など、客の正常な判断を著しく阻害する行為が明確に規制対象となりました。
また、顧客への威迫によって高額の売掛金支払を迫り、返済のために売春やAV出演等の要求を行うことも禁止され、違反者には営業停止や6か月以下の懲役刑・100万円以下の罰金が科される場合があります。さらに、未成年者の雇用・同伴に関する規定も厳格化され、年齢確認などの徹底が求められる見込みです。
これにより、今後は従業員教育や顧客管理の強化が不可欠となり、事業者は法令遵守体制の再構築を迫られます。
2-2.性風俗店によるスカウトバック全面禁止
これまで一部で慣例化していた「スカウトバック(スカウトによる紹介報酬)」は、違法な人材斡旋やトラブルの温床としてたびたび問題視されてきました。今回の改正では、性風俗店をはじめとした対象業種でスカウトバックが全面的に禁止されます。
店舗だけでなく、スカウト行為に関わった第三者も処罰対象となるため、従来の紹介制度や求人戦略の根本的な見直しは急務といえるでしょう。違反が発覚した場合には、店舗の営業停止やスカウト側への厳格な刑事罰が課されることもあります。
2-3.無許可営業・名義貸し、メンズエステ等への罰則強化
風営法改正により、無許可営業や名義貸しといった違法行為への罰則が大幅に強化されます。
- 個人の場合、5年以下の懲役刑または1,000万円以下の罰金
- 法人は最大3億円の罰金が新たに規定され、従来の200万円以下から大幅な引き上げとなりました。
これによって、特にマンション等で実質的な性的サービスを提供しながら無届で営業していた「ルーム型メンズエステ」や「リラクゼーションサロン」も、都道府県条例により禁止地域での営業が摘発・厳罰化されます。また、形式上の許可取得や名義人と実質的運営者の分離による名義貸しも重い責任追及の対象です。
グレーゾーン業態には法令順守徹底と営業形態の見直しが不可欠となります。
2-4.風俗営業における不適格者の排除
今回の改正では、風俗営業の許可・従業員登録に関する適格性審査が厳格化され、「不適格者」排除の範囲が拡大されます。
反社会的勢力や暴力団関係者、過去に重大な違反歴がある者はもちろん、親会社・グループ会社など密接な関係法人が許可取消処分を受けた場合も、系列全体が欠格事由に該当し5年間営業できなくなります。さらに、行政処分逃れのための許可返納や名義切替といった「抜け穴」も制限される新規定が設けられました。
組織横断的な取締り強化により、身元・背景調査が一段と重要になり、事業者には従業員管理や関係法人の適格性審査体制の強化が求められます。
神奈川県警のHPで分かりやすく解説されているのでそちらも参考にしてください。
3.業界・店舗・利用者への具体的な影響
改正法施行後、業界全体や事業者、利用者にはどのような影響が生じるのでしょうか。立場別に主な影響を整理します。
3-1.接待・飲食業界が受ける主な変化
キャバクラ、クラブ、ガールズバーといった接待飲食業では、遵守事項の追加や違反時の罰則強化により、今まで以上に厳格な運営管理が不可欠となります。
従業員教育や社内ルールの整理、オペレーションの見直しが急務です。また、行政による立入検査が強化され、帳簿管理・営業記録の徹底も求められ、日常業務の負担増加が予想されます。
今後は、違反行為の未然防止や、従業員・顧客双方への安全配慮が、これまで以上に重視されるようになります。
3-2.性風俗産業への影響と今後の対応策
性風俗店では、スカウトバック全面禁止や従業員管理厳格化により、人材採用・集客面の見直しが不可欠となります。
さらに、無許可営業や名義貸し運営が厳しく規制されることで、これまで形式的な許可・届出で済ませていた店舗は、実態に合った運営体制の整備が求められます。
違反が発覚した場合、営業停止や刑事罰の対象となるため、法令遵守のための社内教育、専門家による定期的な監査・指導の検討がおすすめです。
3-3.一般利用者・顧客への影響や注意点
利用者においては、店舗での本人確認が徹底されるなど、利便性よりも安全性重視が進むでしょう。
特に未成年者の利用制限が厳格化される他、違法営業店を知らずに利用した場合でもトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
利用者自身が店舗の営業許可や安全対策を事前に確認し、信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
4.今後の流れと経営者が気をつけるべきこと
改正法施行に向け、事業者が取るべき準備や今後の注意点について解説します。
4-1.改正法の施行スケジュールと準備ポイント
2025年(令和7年)6月28日の施行が予定されていますが、行政からの追加指針や経過措置が設けられる場合もあります。
行政や業界団体からの通知を常に確認し、必要な手続きは早めに着手しましょう。
【主な準備ポイント】
・従業員規則やマニュアルの改訂
・許可証や届出の再確認
・契約書類や業務委託契約の更新
・社内研修や法令遵守教育の実施
4-2.違反時のリスクと罰則の詳細
改正法では違反内容に応じて、厳格な罰則が科されます。主なリスクは以下の通りです。
・行政処分(営業停止や許可取消しなど)
法令違反が発生した場合、最悪の場合には営業停止命令や許可の取消しといった行政処分が下されます。これは店舗の存続に直結する重大なリスクです。
・刑事罰(罰金や懲役刑など)
違法な営業や名義貸し、スカウトバックの実施などについては、罰金や懲役刑などの刑事罰が科されることもあります。個人の責任だけでなく、店舗経営者や関係者全体に影響が及ぶ可能性があります。
・社会的信用の失墜
違反が公になれば、店舗や企業全体の社会的信用は大きく損なわれ、顧客離れや取引先の減少につながります。一度信頼を失えば、地域社会からの評価回復には長期間を要するでしょう。
・損害賠償リスク
違反によって利用者や従業員に損害が発生した場合、民事上の損害賠償責任も問われる可能性があります。経済的な損失が拡大することも考えられます。
このようなリスクを未然に防ぐためには、日々の法令チェックと従業員教育、社内体制の見直しが不可欠です。また、法令は定期的に改正されるため、最新情報の把握にも努めましょう。
4-3.事業運営のための実務的な対策
法令遵守体制を強化し、定期点検や従業員教育を徹底。契約書や規則類の見直し、許可証・届出内容の再点検も重要です。不明点は風営法に詳しい行政書士や専門家に相談しましょう。
5.まとめ|風営法専門の行政書士のサポートで違反リスクを防ごう
2025年の風営法改正は、接待飲食業や性風俗産業に従事する事業者や従業員、利用者すべてに大きな影響を与えます。法令遵守や安全確保の取り組みは、単に罰則を避けるだけでなく、業界の信頼性向上や健全な発展にもつながります。
「知らなかった」「うっかりしていた」では済まされない時代が来ています。改正内容を正しく理解し、早めの準備と専門家への相談で、違反リスクをしっかり防ぎ、安心して事業を継続していきましょう。
ナイトビジネス専門の行政書士法人ARUTOでは、風俗営業に関する許可申請を中心に年間300件を超える案件に関わっています。
改正に伴う影響や対策について、個別の状況に合わせたアドバイスが可能です。経営者の皆様が安心して事業継続できるよう、全力でサポートいたします。
ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。