渋谷区の客引き・客待ち行為禁止条例が改正!違反リスク・罰則・必要な対策とは

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コラム

目次

1.はじめに|コンカフェ・ガールズバーの「客待ち営業」ができなくなる?

2025年(令和7年)4月、渋谷区で「公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」が改正・施行されました。

これにより、繁華街でよく見かける「料金プレートを持って道路で待ち受ける」といった「客待ち行為」が明確に禁止されることとなりました。

この条例施行によって、道玄坂などの繁華街でコンカフェ・ガールズバー営業などを行う店舗には大きな影響が生じることでしょう。

違反した場合は区のホームページで公表されるほか、科料5万円以下の処分が科される可能性もあり、店舗運営・集客方法の抜本的な見直しが求められています。

 

参考:渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例の改正について(令和7年4月施行)

 

 

今後は全国的にも強化される見通し

今後、こうした規制は他の自治体にも波及する可能性があり、渋谷区での対応は全国の繁華街で営業する事業者にとっても重要な先例となるでしょう。

この記事では、今回の条例改正の内容、その背景、対象となる行為・店舗、違反リスク、そして今後求められる具体的な対策について、行政書士の視点から詳しく解説します。

 

 

2.令和7年4月改正「渋谷区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」とは

まずは、条例改正の概要と具体的な禁止行為、違反した場合の罰則について解説します。

 

2-1.2025年(令和7年)4月施行の改正概要

渋谷区が定める「公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」は、繁華街の治安維持や風紀の保持、通行人や観光客の安心・安全確保を目的として制定されています。

2025年4月の改正では、これまでグレーゾーンとされてきた「客待ち行為」が明確に禁止項目として追加されました。

 

2-2.条例改正の経緯と社会的背景

渋谷区の繁華街では、コンカフェやガールズバーの店員や地下アイドルなどが路上に立ち、通行人を誘い込む姿が多く見られるようになりました。

これにより、通行の妨げや治安悪化、若年層を中心としたトラブルの増加が社会問題化。また、東京都内他区からの苦情や観光客からの印象悪化も懸念材料となり、渋谷区独自の規制強化へと舵が切られたのです。

 

2-3.どのような行為が新たに禁止対象となるのか

「客引き行為」は従来、風営法や各自治体条例で規制されてきましたが、今回の改正では「客待ち行為」も明確に禁止されました。

 

【客待ち行為とは?】

  1. ① 料金や店舗名などが記載されたプレート・看板・ボードなどを持ち、道路や公共の場所で立ち止まり来店を促す行為
  2. ② コンカフェ・ガールズバーなどの店員が、店舗の外で待機し、声掛けやジェスチャーで集客を試みる行為
  3. ③ 店舗の関係者が「店頭に立つだけ」や「チラシを配らない」場合でも、事実上集客を目的としている場合

 

こうした行動は、今回の改正で「客引き行為等」としてまとめて禁止され、従来の積極的な声掛けのみならず、受け身の姿勢であっても違反とみなされます。

 

2-4.違反した場合のリスク・罰金

・区のホームページでの公表

条例違反が確認された店舗や事業者は、区のホームページ上で事業所名・代表者名等が公表されます。

 

・科料5万円以下

違反行為に対しては、軽微な処分として「科料5万円以下」が科されます(たばこの路上喫煙と同水準)。営業停止や即時摘発に至らないケースでも、社会的信用失墜による影響は無視できません。

 

・立ち入り調査の実施

区職員と警察が連携して、コンカフェ・ガールズバーなどを含む繁華街店舗への立ち入り調査が積極的に行われると見込まれています。

その立ち入り調査の結果、風営法許可を取得していない店舗で接待行為をしていることが明らかとなれば、無許可の風俗営業法違反としても摘発されるということもあり得ます。

 

 

3.取り締まりの対象となる店舗・業態

条例の改正によって、リスクが高まるはどのような店舗・業態なのでしょうか。詳しい内容と注意点について解説していきます。

 

3-1.風俗営業許可を持たないコンカフェ・ガールズバーのリスク

渋谷区の条例改正により、風俗営業許可を取得せず営業しているコンカフェやガールズバーは大きなリスクを抱えることになりました。

客待ち・客引き行為の禁止が強化されたことで、立ち入り調査の際には接待行為や未成年者の飲酒、深夜労働といった風営法違反も同時に発覚しやすくなります。

違反が明るみに出ると、行政処分のみならず、店舗名や代表者名が区のホームページで公表され、社会的信用の失墜や最悪の場合は営業停止・許可取消しに発展するリスクも高まります。今後は許可取得や法令遵守など、営業体制の見直しが急務です。

 

3-2.深夜酒類提供飲食店が特に注意すべき点

深夜酒類提供飲食店は、深夜に営業できるメリットがありますが、「接待行為」など風営法の対象となる営業内容が認められた場合は即時に風営法違反となります。

具体的には、営業停止命令や営業許可の取り消し、区のホームページでの実名公表に加え、刑事罰として6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることもあります。

今回の条例改正により、警察と区職員による立ち入り調査が強化される見込みで、違法営業の摘発リスクが一層高まっているのです。万一、無許可営業が認定された場合、事業継続が困難になる重大なリスクとなるため、許可取得やコンプライアンスの徹底が不可欠です。

 

 

4.法令遵守とリスク回避のために必要な対策

ここからは、違反リスクを回避しながらスムーズに営業を続けていくための対策を紹介します。

 

4-1.風営法1号営業許可を取得して営業する重要性

「風営法1号営業許可」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づき、接待を伴う飲食店が営業する際に必要となる許可です。キャバクラやホストクラブはもちろん、コンカフェやガールズバーの場合も、客に対して接待行為があれば、この1号許可の取得が必須となります。

たとえ風営法1号営業許可を取得していても、「客引き行為」や「客待ち行為」については、条例・風営法の双方で厳しく禁止されています。違反が発覚すれば、行政処分や罰則の対象になるので注意が必要です。

一方で、許可を取得することで店舗運営が行政に届出され、営業内容の透明性が高まります。不明瞭なグレーゾーンの営業形態は排除され、リスクヘッジや社会的信用の維持にもつながるでしょう。

安定した店舗経営を目指すなら、風営法1号営業許可の取得は欠かせません。リスク管理の第一歩として、早めの対応をおすすめします。

 

4-2.行政書士など専門家への相談のすすめ

条例や風営法の内容や許可手続きは非常に複雑で、少しの判断ミスが大きなリスクを招くこともあります。不安や疑問がある場合は、風営法に精通した行政書士など専門家へ早めに相談するのが安心です。

専門家のサポートを受ければ、適切な手続きやリスク回避策を確実に講じることができ、安定した店舗運営につながります。問題やリスクは一人で抱え込まず、専門家の力を積極的に活用しましょう。

 

 

5.まとめ|違反リスクと経営者が取るべき対策を再確認しよう!

渋谷区の「客引き・客待ち行為防止条例」改正は、コンカフェ・ガールズバー等の飲食業に大きな影響を及ぼします。特に、風営法許可を取得していない店舗や深夜酒類提供飲食店として営業している場合、法令遵守とリスク管理が今まで以上に重要となりました。

 

また、2025年6月28日より改正風営法が施行されましたので、併せてこちらの記事も参考にしてください。

2025年 改正風営法の影響

 

違反時には、区のホームページでの公表や科料など社会的信用の低下も懸念されます。今後は全国的にも同様の規制強化が拡大する可能性があり、営業形態の見直しや風営法1号許可の取得がリスク回避のカギとなります。

健全な営業を続けていくためにも、改正条例の内容を正しく理解し、自社の営業形態に合わせた適切な対策を講じていきましょう。

 

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