目次
1.風俗営業・特定遊興飲食店営業の管理者制度とは
風俗営業は、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」ことを目的に規制されています。
実際に風営法の店舗を営むにあたっては、
- ・従業者名簿の記載と設置
- ・営業所の構造に違反がないかを点検する
- ・18歳未満の立ち入り防止
- ・客引きなどの禁止事項
- ・雇用できない外国人の採用
- ・時間外営業の禁止
- ・営業所に対する苦情の管理
- ・従業者に対する法令の指導
などの遵守事項があります。
上記のような遵守事項を営業所が責任を持って運営させるために、営業者とは別に管理者を選任して運用が行われています。(もちろん、営業者が管理者を兼任することは可能です。)管理者の選任を行わないと許可は下りないことになっています。
この管理者というのは、当該営業所の業務を統括管理する立場である者、すなわち店長や支配人のような立場にある者を指します。(通常、従業者の面接を行う立場である必要があります。)
営業所に常駐しない立場にある者でないと管理者としては相応しくありません。そのため、他営業所で管理者として選任されているものを当該営業所と兼任することは原則不可となっています。
相応しい者がいないから名前だけ管理者に登録しておけということで、そういったことがもし警察にバレてしまったら50万円以下の罰金または40日以下の営業停止の罰則が制定されています。
2.管理者の選任
前記でも述べたように、管理者は誰でもなれるという訳ではありません。
営業所を店長や支配人名など管理統括している立場であり、
- ・風営法の欠格事項に該当しない(犯罪歴がある場合には、詳細を調べる必要があります。)
- ・未成年者でない
必要があります。
前項で、他店舗で管理者を選任されている場合は、原則、当該営業所と兼任することは不可と説明しましたが兼任できる場合があります。
既に選任されている営業所と当該営業所の距離が極めて近く、店舗の規模から両店舗を管理者として運営できると判断されたら兼任することはできます。
また、移転に伴う新規申請である場合は、両店舗を同時に営業しませんという理由書を付けると良いでしょう。同じ管理者を選任しても差支えありません。
3.管理者講習
風俗営業を取得している店舗には、3年に一度、管理者講習(定期講習)というものが開催されます。
通常は、社交飲食店・パチンコ店・麻雀店・ゲームセンター等と業種に分かれて講習が行われます。
この管理者講習の通知は、講習が予定されている30日前までに当該営業所に管理者講習通知書が届きます。(新規取得した場合は、おおむね1年後)
もし、やむを得ない事情でこの管理者講習を受けることができない場合は、10日までに公安委員会に書面で通知しなければいけません。代理人が受講することが不可となっています。
営業者は管理者に管理者講習を受けさせる義務がありますので、通知を無視するなどした場合には警察から指示処分を受けますので注意してください。
※2023年1月現在、コロナの感染拡大防止によって管理者講習については延期されていましたが講習が再開されています。
4.管理者変更の手続き
管理者の変更手続きについてですが、
- ・管理者が退職するなどして不在になった場合は、その日から14日以内に管理者を選任して、専任してから10日以内【最長24日以内】
- ・管理者の変更があった場合には、その日から10日以内
に変更手続きを行わなければいけません。
戸籍(身分証明書)を取得する必要もありますので、郵送で請求しなければいけない場合がほとんどかと思いますので、早急にしないと期日に間に合いません。(もし、期日に間に合わない場合は、資料収集に期日を要して期日に間に合いませんでしたなどと理由を記載した書類を添付します。)
≪管理者の変更手続きに必要な書類≫
- 1.住民票(本籍地記載あり、マイナンバーの記載なし)
- 2.戸籍の身分証明書
- 3.証明写真2枚(縦3㎝×横2.4㎝)
- 4.管理者用の誓約書
- 5.前管理者証(原本)・・・返納
を管理者変更届出書に添付して管轄警察署に提出します。2~3週間で新しい管理者証ができあがります。
※前管理者が管理者証を持ったまま退職して連絡が取れなくなって管理者証の返納を受けれない場合は、その旨を理由書として記載して提出します。
5.まとめ
風営法があえて管理者を設けて営業所に法律を遵守させようとしている点を鑑みても、管理者の選任をおろそかにしてはいけません。営業者と管理者が別の場合は、二人三脚で営業していくこととなります。
結構忘れがちなのが、管理者の方が住所が変更した場合も変更手続きが必要です。(管理者証の書き換えを行う必要があります。)
営業者の方は、管理者の方を管理する必要もあるということを忘れないでください。つまらないことで警察から指示処分を受けてもモチベーションが低下してしまいますので、普段から健全営業に努めることが大切です。
- ・会社の本店住所・屋号の変更
- ・代表取締役・役員・管理者の住所や電話番号の変更
- ・役員の追加・除名や変更
- ・店名の変更
上記は変更手続きが忘れがちになっているものの多くです。
もし、変更手続きをしていないことに気づいた場合は、早急に変更手続きを行うようにしてください。
また、そのままでいいのか分からないことがある場合は、お気軽に当法人へお問い合わせください。年間300件以上の風営法関連の申請に携わっていますので経験も豊富です。
不安が解消され、みなさまのお役に少しでも立てればと思います。ご相談は無料にて対応しています。