ガールズバーの開業に必要な法的手続きと注意点

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コラム

目次

 

1.ガールズバー開業への道のり

1-1.物件探し

友人からの伝手などで物件を紹介してもらいご縁があって開業してみようという方、開業したいけど、なかなかいい物件が見つからなくて苦労して物件を見つけた方など開業される方の状況は様々だと思います。

 

物件は、居抜きかスケルトンかによって開業資金が全然変わってきますので、まずはそこを押さえておきましょう。

 

居抜き物件と言うのは、前契約者が契約解除したそのままの状態のようなお店のことで、ほとんどの設備が整っているため、極端に言えば、内装工事をする必要がない物件のことで、工事にかかる費用が抑えられます。

 

また、スケルトン物件というのは、コンクリートむき出しの状態なので、イチからお店造りをしますので、コストが掛かります。

 

 

1-2.内装工事

居抜き物件と言えど、せっかく開業して始めるお店なので、壁紙やソファ・照明を変えたいというこだわりもあるかと思います。自分好みにして、お客さんが喜ぶような雰囲気を作っていきましょう。

 

スケルトン物件の場合ですと、工事にかかる費用が多額に上ります。内装業者さんからは相見積もりを取って費用感を確かめてください。

 

しかし、工事の見積りが安いからという理由で契約するのは危険です。必ず、内装業者さんのこれまでの実績や人となりを見て判断しましょう。

 

 

1-3.従業員の求人や仕入先などの確保

内装工事などの打ち合わせと同時に、求人やカラオケなどの業者さんと打ち合わせを行い、オープン時期がいつになるのかというのを詰めていきます。

 

風俗営業としてガールズバーを営業する場合は、この時点までに行政書士に相談するのをお勧めします。

 

 

1-4.必要許可の取得

ガールズバーに必要な許可手続きは、3つあります。

  • ① 飲食店営業許可        …保健所
  • ② 消防手続き          …消防署
  • ③ 深夜営業許可or風俗営業許可  …警察署
  • 任意・・・たばこ許可

最近、流行りのシーシャをお店で販売する際は、たばこ許可も必要になります。(フレーバーにニコチンが含まれているか否かは関係ありません。)

 

1-5.営業開始

オープンまでには、工事の状況や許可取得に時間がかかります。風営法の許可を取得するのであれば、最低55日(土日祝日を除く)をみておかなくてはいけません。

 

スムーズに進めば、それだけ早くオープンもできますので、カラ家賃も抑えられます。開業される方には、利益をたくさん上げて、お客さんや従業員などみんなに喜んでもらえるお店を作っていただきたいと思います。

 

そこで、この記事ではガールズバーを営業する際の法的手続きと注意点について詳しく解説していきたいと思います。

 

 

2.飲食店営業許可の取得

飲食店営業許可は、営業所を管轄する保健所で申請します。

 

必要な書類は、

  • ① 営業所の図面
  • ② 食品衛生責任者の講習受講証明書
  •  →未受講でも申請することには支障ありません。誓約書で申請を受理してくれます。

保健所(生活衛生課)の窓口に行って、申請書をその場で記入します。

 

保健所検査を受けて、クリアすれば営業許可書が発行されます。

 

飲食店営業許可の申請自体は、難易度が高いものではありませんが、深夜営業許可や風営法許可を取得する場合は、この保健所申請をいかにスムーズに取得するのがポイントになります。

 

飲食店営業許可を取得するには、設備要件を満たす必要があります。調理場とトイレなどの水回りが使用できる状態であれば、保健所検査はクリアすることができます。

 

よく保健所検査で落ちるパターンとしては、

  • ・天井が平(倉庫の屋根のように凸凹がある)
  • ・調理場の床は、水拭きできる素材(絨毯を敷いている)
  • ・壁に穴や開いていないか、壁紙が破れていないか(劣化)
  • ・シンクや手洗器、冷蔵庫の配管に漏れがある

がよく見られますので、こういったものは物件契約する際の内見時に確認するとよいでしょう。物件契約後だと、なかなか対応してくれないということもあります。

 

あと、必要な設備としては、

  • 1.二層シンクがあること
  • 2.調理場と客室が区画で分かれていること(ウエスタン扉が設置されている)
  • 3.冷蔵庫があること(家庭用冷蔵庫でも可:温度計が外部から見れる状態)
  • 4.扉付きの食器棚が設置されていること
  • 5.手洗器の蛇口(ひねり)がレバー式になっていること
  •  →肘で水が止められる状態であるか(洗った手が再汚染するのを防止)

 

2021年6月に食品衛生法が改正されて基準が改正されました。

 

HACCAP制度が開始されて、お店の衛生管理を記録することが義務化されました。

 

食中毒を出さないように、お店の食品衛生責任者はきちんと管理してくださいというのが趣旨になります。

 

 

3.ガールズバーは風営法許可を取得するべき?

風俗営業許可を取得するかどうかは、接待行為をするか否かで決まります。

 

  • 接待行為をするお店      → 風俗営業許可が必要
  •                  ★営業時間の制限あり
  •                   外から客室が見えてはNG(眺めがいい店NG)

 

  • 接待行為をしないBARや居酒屋 → 深夜酒類提供飲食店
  •                  ★24時間営業可
  •                   景色の眺めがいい可

 

風俗営業許可を取得すると、午前0時または午前1時までと営業時間に制限があります。

 

売上が期待できる深夜帯に営業したいがために、接待を伴わない店として営業。(深夜酒類提供飲食店)

 

 

3-1.接待行為の具体例

  • ・談笑
  • ・カラオケのデュエット・手拍子
  • ・隣に座る、体を密着させる
  • ・お酌をする

などが挙げられます。

 

「カウンター越しだから接待行為にならない」というのは嘘です。

 

カウンター越しのガールズバーで風俗営業の無許可営業として、検挙されている事例はたくさんあります。

 

 

3-2.警察捜査の接待行為の立証法

一度、警察の立場になって、ガールズバーが接待行為をしていたということを立証する方法を考えてみましょう。

① メニュー表の押収

  • 指名・リクエストドリンク → 女の子と談笑していた・お酌したことを立証
  • チェキ          → 談笑・女の子と密着していたことの立証
  • 女の子からビンタ     → 談笑・女の子と密着していたことの立証
  • ゲーム          → 談笑していたことの立証
  • カラオケ         → 上記がある状況であれば、手拍子していたことも容易に想像がつく

 

 

② 従業員マニュアルの押収

 ・自分の頑張りは、給料になって返ってきます。

 ・お客さんに楽しんでもらうために、笑顔で接客しましょう etc…

 

このようなマニュアルが更衣室やバックヤード、キッチンの壁に貼られているケースもあります。

 

このような経営者から従業員へのメッセージも接待行為を従業員に促してたという裏付け資料となります。

 

大体、このようなマニュアルが貼られているお店には、①のようなメニュー表であることが多いです。

 

 

③ 給与明細の押収

給与明細も接待行為をしていたことを立証する資料になります。

 

リクエストドリンクや指名料など。人気があるとそうでない女の子に歩合給で売上に変動があるのは、接待行為を行っていたという疎明資料になります。

 

 

④ ホームページやSNSでの情報発信

  • ・お店のホームページやSNSで、女の子の出勤状況が掲載されている。
  • ・客席と女の子の出勤状態の比率が高い(客:女の子 1:1)
  • ・浴衣デーなどのイベント情報が掲載されている。
  • ・客と女の子が乾杯やカラオケを歌っている状況がSNSにアップされている
  •  →歓楽的雰囲気を醸し出すというのは接待行為にあたる

 

 

 

⑤ 内偵捜査

ガサ状(捜索差押許可状)を裁判所に請求する際には、私服刑事が客を装って店内の情報を録音・録画することもあります。

 

そんな状況を撮られてしまっては、もう言い逃れもできません。

 

 

 

実際に摘発されてしまうと、逮捕されて実名報道されてしまうことも。。。。

 

風俗営業の無許可営業は、懲役2年以下もしくは200万円以下の罰金又はこれの併科ととても刑罰が重くなっています。

 

 

3-3.摘発を受けやすい店

実情として、ガールズバーが深夜酒類提供飲食店として営業しているお店はたくさんあります。

 

警察も人員や予算は決まっているので、接待をしているガールズバー全部を摘発するのは難しいのが現状です。

 

では、実際にどんなお店が警察のターゲットになるのかを考えてみましょう。

 

警察も何らかの優先順位をつけて取り締まりを行っているはずです。

 

① 苦情の多い店

  • ・酔っ払い客やカラオケなどの騒音で、近所から苦情が出る店。
  • ・客引き・キャッチと提携している店。
  •  →迷惑防止条例違反にもあたる
  •   ぼったくり被害が出ている場合も。

 

 

② 売上が多い店

税務署に目を付けられ、税務署から通報を受けて強制捜査に至る場合もあります。

 

売上を多く上げていた店は、警察捜査が終了後、税務調査が入るケースも珍しくはありません。

 

 

③ 外国人を雇っている店

ビザの在留資格によっては、外国人は風俗営業店舗で働くことができません。

 

風俗営業店舗で働くことができる資格は、

  • ・永住者、定住者、日本人等の配偶者・永住者の配偶者、特別永住者と限られています。
  • ・留学生は就労不可です。

警察にも部署があり、ガールズバーなどの風俗営業を担当するのは生活安全課ですが、外国人の不法就労や不法滞在など取り扱うのは公安課(警備課)と部署が違います。

 

また、不法就労や不法滞在は、入国管理局も目を光らせています。

 

そのため、外国人の従業員を雇用するということは、ガールズバーとしての風営法違反のみならず、公安警察や入国管理局からも狙われます。

 

摘発を受けた場合は、経営者は、無許可の風俗営業違反+不法就労助長罪の取調べを受けることになるでしょう。

 

 

④ 未成年を雇っている店

2022年4月に民法が改正されて、未成年は20歳未満から18歳未満と引き下げられました。

 

近年、秋葉原では中学生や高校生をメイドカフェで働かせたとして、検挙されることが目立っています。

 

風俗営業1号(社交飲食店)では、未成年(18歳未満)を働かせることはできません。

 

もし、18歳未満と知っていて店で働かせることをしていて、摘発をされたら、

  • 無許可の風俗営業違反+児童福祉法違反+労働基準法違反

と厳しい罰を受けることになります。この場合、間違いなく逮捕されるでしょう。

 

まれに、採用時の面接で、本人がお姉ちゃんの住民票を持ってきたため未成年だと知らなかったということも聞きます。確かに、情状酌量の余地はありますが、採用した女の子が未成年だったという事実と見抜けなかったという落ち度があることに変わりはありません。

 

風俗営業適正化法は、未成年を守るための法律です。

 

 

4.風俗営業の取得について

確かに、ガールズバーで風俗営業を取得せずに営業している店はたくさんあります。だからと言って、あなたが開業するガールズバーが警察の摘発を受けないという保証にはなりません。

 

お客さんの立場からすると、ガールズバーは女の子と楽しくおしゃべりしながらお酒を飲むお店です。そういったお店を開くのであれば風俗営業許可を取得してください。

 

 

場所的制限

深夜営業許可(深夜酒類提供飲食店)と風俗営業許可では、場所的要件が異なります。

 

深夜営業許可では営業所がある用途地域だけですが、

 

風俗営業許可では営業所の近くに、

  • 保育園・学校・病院・児童福祉施設などがあってはいけません。

物件選びの際の注意点が異なります。

 

 

風営法取得のデメリット

  • オープンまでのカラ家賃が多く発生します。
  • 物件契約 → 風営法の申請 → 実地検査 → 許可 → 営業

風営法の許可は、問題がなければ申請してから55日以内(土日祝日を除く)に許可が下りると定められています。

 

この日数については変えることができないので、いかにして物件契約してから風営法の申請までを短くするかが、早くオープンできるポイントとなります。

 

また、風営法を取得すると、

  • 営業時間が午前0時(午前1時)まで
  • 未成年の雇用・お客 共にNG
  • 外部から客室が見えてはいけない(目隠しをする必要がある)

という制限もあります。

 

 

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

何も逮捕されるリスクを取ってまで開業される必要はないかと考えます。

 

当行政書士法人では、年間に約300件ほどの風営法関連の申請に携わっています。

 

ガールズバーを開業される経営者のお悩みはどなたも一緒です。深夜でいくか、風営法を取るかで悩まれています。

 

近年、警察がガールズバーを摘発する話も多くニュースでも聞きますし、警察の担当者もガールズバーと知りながら深夜営業許可(深夜酒類提供飲食店)の手続きを受理することが厳しくなってきているという印象があります。

 

実際に当法人でも、深夜酒類提供飲食店としてガールズバー営業してきたが、風俗営業許可を申請するといったお客様も多くみえます。

 

そういった問題でお悩みの方は、ご相談は無料にて承っておりますのでお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

 

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