目次
- 1.「風営法1号」許可の概要
- 2.「風営法」の再確認
- 3.「風営法1号」許可取得後に注意すべき5つのポイント
- 3-1. 許可証を掲示する
- 3-2. 営業時間を遵守する
- 3-3. 従業員名簿の整備
- 3-4. 苦情の処理に関する帳簿の備付け
- 3-5. 風俗営業許可は必ず取得する
- 4.風営法1号の許可を受けるには
- 5.まとめ
1.「風営法1号」許可の概要
飲食店経営の中でもキャバクラ、ラウンジ、ホストクラブなどの接待を伴う飲食店を営業するためには「風俗営業法1号営業(以下、風営法1号)」の許可を取得しなければなりません。
具体的には次のような営業形態の飲食店が風営法1号に該当します。
・客を接待して飲食を提供するキャバクラ、ホストクラブなど
・客の接待や飲食の提供と共にダンスなどの遊興を提供するキャバレーなど
・和式の客席で飲食を提供したり、芸妓などによって遊興を提供する待合や料理店など
風営法1号では、客に対して「接待する」「もてなす」といった行為が対象となっています。「接待する」「もてなす」のポイントは次の通りです。
・客のそばに座って談笑したり、お酌をする
・客のそばに座って体を密着させたり、手を握る
・客と一緒に歌い褒めはやしたり、ダンスをする
・客と一緒に遊戯をしたり、ゲームをする
『歓楽的雰囲気を醸し出す方法によって客をもてなしている』かどうかがポイントとなります。「いらっしゃいませ」と声をかけることや社交辞令で握手をすること、カウンター越しに談笑するようなことだけでは風営法1号には該当しません。
客席に対して出勤しているスタッフが多かったり、指名や同伴、アフターなどの制度があるような場合には、風営法1号の適用となることがありますので注意が必要です。なお「風営法1号」許可を取得してからでなければ営業が認められていません。
2.「風営法」の再確認
風俗営業許可には5種類が定められており、その該当する業種として次のように分類されています。
■1号営業:社交飲食店
・キャバクラ・ラウンジ・ホストクラブなど
・客を接待をして遊興または飲食させる営業形態
■2号営業:低照度飲食店
・暗めのカフェやバー、居酒屋など
・客に接待行為はできない
・客席が10ルクス以下
■3号営業:区画席飲食店
・ネットカフェや個室居酒屋など
・客に接待行為はできない
・見通しが困難で、5㎡以下の客席の設置
■4号営業:パチンコ店・麻雀店など
・パチンコや麻雀など客に射幸心をそそる遊戯を提供する
・景品との交換あり
■5号営業:ゲームセンター・ダーツバーなど
・ゲームやダーツなど客に射幸心をそそる遊戯を提供する
・800円以上の景品との交換なし
風俗営業には「接待飲食等営業」と「性風俗関連特殊営業」に分けられており、スナック・キャバクラ・ラウンジ・ホストクラブなどについては「接待飲食等営業」に当てはまります。
風営法に当てはまるポイントとしては、「客との接待」「個室」「射幸心をそそる遊戯」などであることが分かります。これら風俗営業に当てはまるのであれば、店舗所在地にある都道府県の公安委員会から必ず許可をうけておかねばなりません。
3.「風営法1号」許可取得後に注意すべき5つのポイント
・許可証を掲示する
・営業時間を遵守する
・従業員名簿の整備
・苦情の処理に関する帳簿の備付け
・風俗営業許可は必ず取得する
風営法1号の許可を受け営業を続けていく中で、どこかのタイミングで必ず警察の立ち入りを受けることになります。きちんと適法に営業しているのかどうか確認するためのものですから、問題なければすぐにチェックは終わります。
ただし多くの店舗はこの立ち入り検査によって指摘されてしまい、後日、指示処分が出されることになってしまいます。どのような内容を検査されるのか、そのポイントについてお伝えしていきましょう。
3-1. 許可証を掲示する
風営法1号の許可を受けた場合には、許可証を営業所内の見やすい場所に必ず掲示しておかねばなりません。仮に警察官の立ち入りがあった場合などであれば、必ず確認される項目になりますから注意しておきましょう。
許可証は原本を掲示する必要があり、コピーは不可となっています。仮に紛失した場合においては、公安委員会にその旨を申し出て、再交付を受けなければなりません。また申請中のために許可証がないという状況においては営業することができません。基本的には許可証の原本をきちんと掲示して営業しなければならないと定められているのです。
許可証を掲示せずに営業を行っている場合、行政から指示処分を受けることがあります。その後も指示を守らない場合には営業停止命令が出される場合もありますから注意が必要です。
3-2. 営業時間を遵守する
風俗営業店の営業時間は、原則として午前6時から午前零時までと定められています。それ以外での営業はできません。近くの店舗が営業しているからといって営業時間を守らないような店舗が多くありますが、場合によっては営業停止などの行政処分が科されることもありますので注意が必要です。
ただし条例で特別に午前1時まで可能な「営業延長許容地域」と呼ばれる場所もあります。また年末年始など特別な期間だけ営業の延長が認められる「特別日営業延長許容地域」も存在します。
3-3. 従業員名簿の整備
従業員名簿とは従業員の名前や連絡先などを記した書類で、法令で定められた事項を漏れなく記載して整備しておかねばなりません。紙媒体で整備しておく必要はなく、パソコンでの管理でも問題ありません。
「法令で定められた事項」とは、次の8項目となっています。
・氏名
・生年月日
・履歴
・性別
・住所
・従事する業務の内容
・雇用年月日
・退職年月日
このような内容が定められているため、従業員を雇用する際には必ず氏名や生年月日などを証明できるものの提示を受けるようにしておかねばなりません。18歳未満の子供を雇っていた店舗では営業許可を取り消されただけではなく、摘発され逮捕されたという報道も記憶に新しいのではないでしょうか。
3-4. 苦情の処理に関する帳簿の備付け
風営法1号の店舗は、「苦情の処理に関する帳簿」を備付けておかねばなりません。帳簿には、次に掲げる事項を記載し、最終記載から最終記載から3年間は保存しておくようにします。
・苦情を申し出た者の氏名および連絡先(氏名や連絡先が明らかでない場合はその旨)
・苦情の内容
・原因究明の結果
・苦情に対する弁明の内容
・改善措置
・苦情処理を担当した者
実際に苦情がなかったとしても、帳簿自体は備えつけておかねばなりませんので注意が必要です。また苦情に対する記録だけではなく、その苦情が起きた原因を究明し、苦情が起きないように改善した内容まで記しておく必要があります。
3-5. 風俗営業許可は必ず取得する
無許可で風俗業を営業していた場合、警察に摘発されてしまったら、飲食店営業の停止処分だけではなく、逮捕されてしまい罰金の刑を受ける可能性も低くはありません。刑事処分を受けてしまうと、刑の執行後から5年間は風俗営業を営むことが出来ませんから注意が必要です。「許可申請中」であるとしても、風俗業の営業はできません。そのため許可申請中だからといって言い逃れすることはできないようになっているのです。
もし風営法1号で定められている客への接待を行う場合においては、舗所在地の都道府県にある公安委員会から必ず風営法1号の許可を受けておかねばなりません。
4. 風営法1号の許可を受けるには
風営法1号の許可を受けるには、とても多くの書類を整備し、店舗所在地の都道府県にある公安委員会に申請しなければなりません。
1. 許可申請書
2.営業の方法を記載した書類
3.営業所の使用について(使用承諾書・賃貸契約書など)
4.営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
5.申請者が個人の場合
①住民票の写し
②誓約書
③市区町村の発行する身分証明書
6. 申請者が法人の場合
①定款及び登記事項証明書
②役員に係る住民票の写し
③誓約書
④役員に係る市区町村の発行する身分証明書
7. 選任する管理者に係る次に掲げる書類
①誠実に業務を行うことを誓約する書面
②住民票の写し
③市区町村の発行する身分証明書
④法第24条第2項各号に掲げる者のいずれにも該当しないことを誓約する書面
⑤管理者の写真2枚
これらの書類すべてを、開店準備と共に行うことはかなり難しいことです。やり取りに時間を取られることを考えれば、許可申請に精通した行政書士に申請を依頼することが無難ではないでしょうか。
5. まとめ
これから飲食店をはじめるという場合で不明点があるのであれば、行政書士に相談することが適切です。営業形態によっては風営法1号が適用される場合もあり、開店後に摘発されてしまった場合には「知らなかった」では済まず、営業許可の取り消しなど大問題になってしまいます。
飲食店許可申請や風営法に精通した行政書士に依頼することがおすすめです。開店に向けて集中して取り組むことができ、安心して営業開始することができるでしょう。
お客様の声:ニュー マブハイ 様
お客様の声:ANASTASIA 様
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