目次
- 1.夜の街ガイドラインの発表
- 2.警察の対応
- 2-1.行政としての警察(立入り権限)
- 2-2.司法機関としての警察(悪質な業者の逮捕)
- 2-3.警察官の立入りの際のチェックポイント
- 2-3-1.従業者名簿の備え付け.
- 2-3-2.無届の深夜営業
- 2-3-3.スライダックスの設置
- 2-3-4.高さ1メートルを超える物の設置
- 2-3-5.接待行為について
- 2-3-6.カラオケの使用
- 3.感染防止に配慮したクリーンな営業
- 3-1.従業員の感染対策
- 3-2.できる範囲でお客さんの把握
- 3-3.感染防止機器に要した領収書の保管
1.夜の街ガイドラインの発表
6月13日、政府は夜の街を対象に接待を伴う飲食店などを対象に新型コロナウィルスの感染防止のガイドラインが発表されました。
- ① 人との距離を最低1メートル以上の間隔をあける
- ② テーブルやカウンターにアクリル板やビニールカーテンなどを設置する
- ③ 握手やハイタッチをしない、飲み物の回しをしない
- ④ お客さんの名前・連絡先を確認する
ことなどが明記されました。
その中でも、上記④のお客さんの名前・連絡先を確認するというのはキャバクラやホストクラブではなかなか難しい取り組みだと思われます。
現段階では、政府が発表したガイドラインですので、罰則は制定されていません。
しかし、このガイドラインが制定されたことにより、夜の街が今後どうなっていくのか予想してみました。
2.警察の対応
警察というのは、司法機関、行政機関の両方の機能を持っています。
ガイドラインが制定されたことにより、夜の街(キャバクラやスナック、バー、居酒屋)に警察官が積極的に立ち入りが行われることが予想されます。
必要な許可・届出を行い、健全な営業をされていたら何も問題はないのですが、無許可や無届の店は積極的に検挙していく方針をとるでしょう。
これまでならば見過ごされていたものが、見過ごされずいきなり検挙されるということも出てきそうです。
2-1.行政としての警察(立入り権限)
風俗営業などの許認可の窓口は、警察署の生活安全課が窓口となっています。生活安全課の警察職員は立入証というのを所持しています。
行政機関としての立ち入りですので、お店側が何ら疑わしいことをしているという根拠も必要ありません。「ただ見回りで来た」という理由だけで警察官はお店に立ち入ることが許されています。
お店側は警察官の立入りを拒否することはできなくもないのですが、警察に目を付けられるだけですので、警察官の立入りを拒否するというのは得策ではありません。
お店への立入りの際、警察官は「ガイドラインに沿って、お客さんの把握(名簿作成)はしていますか?」などと質問してくるでしょう。
そして、お店側がお客さんの把握をしていなかった場合などは、協力を要請するという流れです。
そのついでに、警察官は「従業者名簿を見せて」と言ってきます。
深夜営業や風俗営業を営む店舗では、従業者名簿を備え付ける義務があります。もし、従業者名簿を備え付けていない場合は、営業停止処分(10日以上80日以下)、100万円以下の罰金が科せられます。
つまりは、警察官は行政指導の名の基に、協力しない店舗(感染防止策を施さない)には厳しい処分を科すということが出てくるのではないかと予想します。
つまり、警察官は行政指導としてお店に立ち入り、違法状態であればこれまで以上に厳しく検挙する体制をとることでしょう。
2-2.司法機関としての警察(悪質な業者の逮捕)
次に予想されるのは、無許可や無届で営業している店舗やキャッチに対する取り締まりの強化です。
こちらについても、コロナ前であれば見過ごされてたキャッチなども積極的に事件化をして排除する動きが予想されます。
警察は行政機関でもあるので、国や都の意向というのは通達などで明確に指示されます。
店舗に対する行政指導 ⇒ 悪質な店舗や非協力な店舗は事件化する という流れが今後はできてくると思われます。
また、行政指導を介さずキャッチ(客引き)を現行犯逮捕し、以前あった歌舞伎町浄化作戦というような対策が都内のあちこちの繁華街で体制を強化して行われることが予想されます。
2-3.警察官の立入りの際のチェックポイント
夜の街ガイドラインが制定されたことにより、以前よりも午前0時以降に警察官がお店に立ち入るという活動が活発になると予想されますので、今一度、経営者の方はお店の運営義務を確認ください。
感染リスクの高い店舗には、積極的に警察官が抜き打ちで立入りを行う可能性が高いと思われます。
① 従業者名簿の備え付け
こちらは先程説明したとおり、警察官の立入りがあった際には、最も提出を求められるものがこの従業者名簿です。設置していなければ、営業停止処分や罰金処分もありますので、必ず設置するようにしてください。
従業者名簿のダウンロードはこちら ⇒ 従業者名簿
② 無届の深夜営業
午前0時を超えてお酒をメインで提供するBARや居酒屋などのお店は、深夜営業許可(「深夜酒類提供飲食店」)を得ておく必要があります。
午前0時を過ぎて営業をしているお店に突然、警察官がやってきて、「このお店深夜営業の許可取得していないですよね」と追及されます。現行犯ですので、お店側も何も言い訳はできないでしょう。
無届の深夜営業には、罰金50万円が科せられています。
③ スライダックスの設置
風俗営業や深夜営業を行う店舗では、原則、明るさが調整できる調光器(スライダックス)の設置は認められていません。(最も絞った際に、最低限度10ルクスの明るさが保たれていればOK:新聞の文字が読める程度の明るさ)
こちらも、警察官が立入りを行った際に、店内が相当暗いという状態であれば、違法営業状態を疑われてしまいます。
こちらは、無許可の風俗営業となるため、2年以下の懲役または200万円以下の罰金と非常にきびしい罰則が制定されています。
④ 高さ1メートルを超える物の設置
風俗営業(深夜営業飲食店を含む)では、高さ1メートルを超える仕切り(ソファー)などは視界を遮るものと捉えられるため、客室内には設置することができません。
⑤ 接待行為について
そして、1番やってはいけないのが、風俗営業の許可を取得していないお店が接待行為をすることです。
一番取り締まりを受けるおそれがあるのは、ガールズバーです。
接待行為とは、お客さんと談笑したり、お酌をしたり、カラオケでデュエットしたり、ダーツで一緒にゲームしたりする行為が接待行為にあたります。
ガールズバーでは、深夜営業の届出をして営業しているお店がほとんどですが、カラオケを一緒に歌ったりなどしている場面はよく見られます。
ガールズバーは、感染のリスクが高い場所でもありますので、これからはガールズバーの取り締まりが強化されるのではないかと思っています。
接待行為があったとして検挙された場合は、無許可の風俗営業となり、懲役2年以下の懲役または罰金200万円以下と非常に厳しい処分を受けますので、風俗営業の許可を取得していないお店では接待行為は絶対にしてはいけません。
特に、今の時期は取り締まりを受けるという確率が非常に高いということを知っておいてください。
⑥ カラオケの使用
感染するリスクが大きいのがカラオケと言われています。そのため、カラオケを設置している店舗や音漏れの大きい店舗には警察官による抜き打ちの立入りが入る可能性が高いです。
BARやキャバクラなどでカラオケの使用可能時間は、原則、午前0時までとなっています。
騒音漏れの大きさにより条例違反に問われることになります。
3.感染防止に配慮したクリーンな営業
3-1.従業員の感染対策
お店経営者の方は、クラスターを発生させないためにも、第一にご自身と従業員の体調管理を徹底してください。
- 従業員の出勤時の検温
- 出勤時の消毒
- 従業員のマスク着用
- テーブルにアクリル板の設置や密にさせない工夫
- 出入口扉や窓を開放するなど換気
3-2.できる範囲でお客さんの把握
一番経営者の方にネックとなるのが、お客さんの把握だと思います。
来店したお客さん名簿の作成は現段階では義務ではありませんが、営業所出入口に名簿用紙に記載をお願いしているとお店側がお客さんを把握する努力をしているという姿勢をみせてください。
お客さんが氏名や連絡先の記載に応じるかは別問題ですので、お店側は把握する努力をすれば罰則を受けるようなことはありません。
3-3.感染防止機器に要した領収書の保管
次に、感染防止対策に要した費用というのは今後、政策が追加されるなどして助成の適用になる可能性があると考えます。
小規模持続化補助金では、別枠でコロナ感染防止に要した費用として、「上限50万円の事業再開枠」が制定されています。こちらは、遡及して感染防止に要した費用の適用がされました。
それと同じように、感染防止に要した費用が助成されるなどの政策も今後発表されることも十分考えられますので、お店で使用する消毒液、マスク、検温計、空気洗浄機など感染防止対策として購入した領収書などについては、コピーした上で別ファイルにして保管しておくとよいと思います。
弊所の料金表はコチラ