風営法における従業員名簿の記載方法を分かりやすく解説★テンプレ有

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コラム

1.風営法における従業者名簿とは

警察官が店舗の立ち入りにやってきた際、必ず、確認する物が従業員名簿(正しくは、「従業者名簿」。直接雇用であろうが、業務委託であろうが営業所において従事する方全員が対象となるため。)

 

風営法で規制されているビジネスについては、従業員名簿を作成して管理することが法律で義務化されています。

 

従業員名簿は単に作成すればいいというものではなく、

  • ① 法律で定められている必要な事項の記載すること
  • ② 虚偽事項の記載しないこと

が条件となっていますので、自己流の書式で記載して記載漏れがあったり、採用に使った履歴書のコピーを添付しておくということだけでは、従業者名簿設置義務違反となってしまう場合があります。

 

従業員名簿の設置義務違反の罰則は、

  • ・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第53条に罰則の条文が定められており、罰金100万円以下
  • ・行政処分としては、10日以上80日以下の営業停止命令。基準期間は20日間

と定められており、とても重い処分となっています。

 

風営法関連のお店を経営している方は、風営法違反となるリスクにもきちんと備えて営業していきましょう。

 

 

2.従業者名簿の設置が必要となる店舗

風営法における従業者名簿の設置が必要な業態は、

  1. 1.深夜における酒類提供飲食店営業(バー、居酒屋、※ガールズバーなど)
  2. 2.風俗営業1~5号営業(社交飲食店、マージャン店、ゲームセンター等)
  3. 3.特定遊興飲食店営業(クラブ、DJバー、ライブハウスなど)
  4. 4.性風俗特殊営業店営業(デリヘル、アダルトショップ、ヘルス、ラブホテル、テレホンクラブ、映像配信など)

となっています。

 

上記1~4に該当する店舗においては、従業者名簿を作成して店舗に備え付けておかなければいけません。

 

備え付け方法ですが、お店で使用するパソコンで管理しても構いませんし、紙ベースで保管しなければいけないというルールはありません。

 

警察官の立ち入りがあった際に、店長(管理者)が不在でも従業員が提示できる状態であることが必要です。

 

 

3.従業者名簿の書式と記載例について

従業者名簿

従業員名簿を記載する必要があるのは、お店で業務に従事する者全員になります。

 

そのため、1日体験のアルバイトでも従業員名簿の記載は必須になります。

 

従業員名簿に決まった書式はありませんが、管轄の警察署や風営法専門の行政書士が使用している書式を利用するといいでしょう。

 

PDF書式 弊所が使用している従業者名簿

従業者名簿(Excel)

従業員名簿に最低限記載が必要な事項は、

  1. 1.住所
  2. 2.氏名
  3. 3.生年月日
  4. 4.性別
  5. 5.採用年月日
  6. 6.退職年月日
  7. 7.従事する業務内容

の7項目になります。

 

こちらの7項目については、従業者本人に記載させてください。

 

そして、本籍地が記載されているパスポート(旅券)または住民票のコピーを従業員名簿に添付するようにしてください。

※パスポートについては、本籍地の都道府県までしか記載されていませんがそれで問題ありません。

従業者名簿には、本籍地の記載ある公的資料を添付するのが要件となっています。以前は、運転免許証でも本籍地が記載されていましたが、法改正により現在では本籍地の記載はなくなりました。そのため、パスポートを持っていない方の公的な資料は住民票がよいでしょう。

 

≪風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類に関する内閣府令≫

(従業者名簿の記載事項)
第二十五条 法第三十六条の内閣府令で定める事項は、性別、生年月日、採用年月日、退職年月日及び従事する業務の内容とする。
(確認書類)

第二十六条 法第三十六条の二第一項各号に掲げる事項を証する書類として内閣府令で定める書類は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。

一 日本国籍を有する者 次に掲げる書類のいずれか
イ 住民票記載事項証明書(住民基本台帳法第七条第二号に掲げる事項及び本籍地都道府県名が記載されているものに限る。)
ロ 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第二条第二号の一般旅券
ハ イ及びロに掲げるもののほか官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該者の生年月日及び本籍地都道府県名の記載のあるもの
二 日本国籍を有しない者(次号及び第四号に掲げる者を除く。) 次に掲げる書類のいずれか
イ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号の旅券
ロ 出入国管理及び難民認定法第十九条の三に規定する在留カード
三 出入国管理及び難民認定法第十九条第二項の許可がある者 次に掲げる書類のいずれか
イ 前号イに掲げる書類(出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)第十九条第四項の証印がされているものに限る。)
ロ 前号イに掲げる書類(出入国管理及び難民認定法施行規則第十九条第四項の証印がされていないものに限る。)及び同項に規定する資格外活動許可書又は同令第十九条の四第一項に規定する就労資格証明書
ハ 前号ロに掲げる書類
四 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者 同法第七条第一項に規定する特別永住者証明書

 

業務に従事するのが外国人の場合は、本籍(国籍)入りの住民票に加えて、在留カード・永住者証明書のコピーを添付してください。

 

外国人の場合は、在留資格によっては風営法関連の店舗では働くことができないので、必ず在留カードで在留資格を確認してください。

 

外国人が風営法関連の店舗で働くことができる在留資格は、

  1. 1.永住者
  2. 2.日本人の配偶者等
  3. 3.定住者
  4. 4.特別永住者
  5. 5.永住者の配偶者

の5つの資格に限ります。

 

外国人の雇用について詳しくはコチラの記事を参考にしてください。

 

3-1.従事する業務内容の記載について

項目7番の「従事する業務内容」については、できるだけ詳しく記載してください。そして、絶対に嘘は記載しないようにしてください。警察官も注意して確認するのがこちらの項目です。

 

  1. 例①)社交飲食店・・・「客から注文を受けて、客席まで配膳し、引き続き、客に対してお酌、談笑などをする接待を行う。」
  2. 例②)デリヘル性風俗店・・・「派遣されたホテルなどの施設において、異性の性的好奇心に応じて、身体を洗ったりマッサージをする等のサービスを提供する。」
  3. 例③)バーテンダー・・・「客から注文を受けて、カクテルなどのドリンクを作り、客に提供する。」
  4. 例④)深夜酒類提供飲食店におけるガールズバー・・・「客から注文を受けて、ドリンクを作り、客に提供する。接待行為はNG

 

特に深夜酒類提供飲食店として届出を行っているガールズバーでは、接待行為を行いがちの店舗が多く見受けられます。

 

カウンター越しであっても引き続き談笑したり、客にお酌したり、客とゲームを行うことは接待行為に該当しますので、風俗営業1号(社交飲食店)の許可を取得して営業するようにしましょう。

 

 

3-2.嘘の申告に注意

採用担当者が注意をしないといけないのが、経歴詐称をしてアルバイトをしようとする者がいるということです。

 

風営法関連のお店は、高時給で働くことができるというのが魅力の一つです。

 

姉の住民票を持って、面接に訪れたが実は18歳未満であったという話はよくあります。

 

18歳未満の者を風営法関連の店舗で働かせてしまうと、使用者責任を問われる場合もありますので、①風営法違反、②児童福祉法違反、③労働基準法違反、それぞれの罰則が併科されてしまう恐れがあり、店舗運営を断念せざることも得ないということも十分にあり得ます。

 

そのため、面接時には従業員名簿には住民票のコピーに加え、顔写真付きの身分証(運転免許証・パスポート・マイナンバーなど)の提示を受けるようにしてください。

 

顔写真付きの身分証を持っていない場合は、その記録を別にとっておく。また少しでも面接時に疑問を感じたなら家族に電話確認するということも必要でしょう。

 

慎重すぎると思われるかもしれませんが、お店を守るためには必要な確認事項です。

 

 

3-3.ファイルに綴じて金庫保管するのがおすすめ

従業者名簿の保管方法ですが、パソコンによるデータ保管でも構いません。

 

風営法関連のお店では従業者の入れ替わりが多いので、従業員名簿用のファイルを購入して使うのが管理しやすいと思われます。

 

警察官の立ち入りがあった際には、管理者(店長)が不在の時でも、従業員名簿は提出できるようにしておかなければいけません。

 

従業員名簿は、大切な個人情報が記載されている書類ですので売上の現金と同様に鍵のかかる金庫で保管するのをおすすめします。

 

 

4.まとめ

以上のとおり、風営法関連の店舗では従業員名簿を作成し、管理することは義務であることを解説してきました。

 

実際にアルバイトを採用して、従業員名簿を作成するとなると例外もたくさんあって疑問点も出てくるかと思います。

 

そういった場合は、必ず疑問を解消してください。管轄の警察署に確認してもいいですし、弊所のような風営法専門の行政書士を頼るのもいいでしょう。

 

警察官の立ち入りがあった際に、指摘されてからだと手遅れになってしまうこともあります。

 

弊所ではご相談は無料にて承っております。

 

年間100件以上の風営法の申請にも携わっており、行政書士が複数対応していますのでお気軽にお問い合わせいただければと思います。

 

 

 

 

 

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