目次
- 1.使用承諾書とは ~風営法の申請書類には「使用承諾書」が必須~
- 2.使用承諾書の書式と記載例
- 3.「使用承諾書」を手配する際の注意点
- 深夜における酒類提供飲食店の届出に使用承諾書は必要か?
- 5.転貸(サブリース)物件の場合は使用承諾書は必須
- 6.まとめ
1.使用承諾書とは ~風営法の申請書類には「使用承諾書」が必須~
使用承諾書とは、「私が所有(管理又は契約)しているものをその目的に使用することを承諾します。」という書類になります。使用承諾書は、営業所の使用について権原を疎明する書類として用いられ、風俗営業許可の申請書類には必要書類となっています。
建物オーナーの立場からすれば、風俗営業を無断でされることによって人の出入りが激しくなり苦情が出ることなどがあれば、物件の価値等が下がるなど不利益が出てしまうことも理解できるでしょう。
そのため、風俗営業の申請では、原則として建物オーナーからの「使用承諾書」が必須となっています。
下記の申請(届出)を行う際には、「店舗の賃貸契約書」とは別に、
- 風俗営業1号 社交飲食店
- 風俗営業4号 マージャン店
- 風俗営業5号 ゲームセンター等
- 無店舗型性風俗特殊営業1号 派遣型ファッションヘルス等
- 映像送信型性風俗特殊営業
の営業を行うことを目的として、当該物件を使用しますという使用承諾が建物オーナー(賃貸人又は契約者)から頂戴することが必要となります。
2.使用承諾書の書式と記載例
使用承諾書の書式には特に決まりはありません。営業所の使用目的に所有者等が承諾している内容が分かれば大丈夫です。
弊所で使っている書式を貼っておくので、こちらからダウンロードしてください。記載例も載せておきます。
使用承諾書の書式にある「使用する目的」欄は、申請(届出)する種別によって異なりますので、下記を参考にコピペしてお使いください。
○ 深夜における酒類提供飲食店開始届出の場合
深夜における酒類提供飲食店営業として使用するものとする。
○ 風俗営業1号 社交飲食店の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第1項1号の営業所(社交飲食店)として使用するものとする。
○ 風俗営業4号 マージャン店/パチンコ店等の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第1項4号の営業所(マージャン店/パチンコ店等)として使用するものとする。
○ 風俗営業5号 ゲームセンター等の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第1項4号の営業所(ゲームセンター等)として使用するものとする。
○ 特定遊興飲食店営業の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第11項の営業所(ナイトクラブ/ライブハウス等)として使用するものとする。
○ 無店舗型性風俗特殊営業 第1号営業 派遣型ファッションヘルス等の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第7項第1号の営業所(事務所または待機所)として使用するものとする。
○ 映像送信型性風俗特殊営業 インターネット等利用のアダルト画像送信営業の場合
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
第2条第8項の営業所(事務所)として使用するものとする。
3.「使用承諾書」を手配する際の注意点
使用承諾書は、原則として建物オーナー(賃貸人又契約者)から頂戴するものです。
使用目的については物件契約時に詳しい確認があるので問題ないと思いますが、物件契約名義と営業者名が異なる場合には注意してください。法人設立中のため、早く物件を抑えたいがために個人名義で契約する場合も同様です。
契約者名義と営業者が異なる場合には使用承諾を拒否されることが多々あります。
これは建物オーナーからすれば当然のことで、風営法11条には「名義貸しの禁止」が定められていますので、契約名義人と異なる者に使用承諾を出すことは契約違反にもなるし、承諾することができないというケースです。
そのため、もし契約者名義と営業者が異なる場合は、建物オーナーに名義が異なる理由を納得してもらうか、契約名義を営業者名義に変更するしか方法はありません。
使用承諾書がもらえないと風俗営業の申請することができませんので、必ず、契約者名義と営業者名義が異なる場合は、事前に不動産屋(仲介業者)とは相談したうえで契約をしてください。
また、建物オーナーから使用承諾を頂くには時間を要する場合がほとんどです。事前に管理会社や仲介業者に使用承諾書が必要であることを伝えておくとスムーズです。
私たち風俗営業を主として取り扱う行政書士であれば、風俗営業の申請書類の作成は頑張れば1日でできるのですが、使用承諾については建物オーナーに書類を頂かないといけませんので、どうしても日数がかかってしまいます。
※2021年から風俗営業の申請書類についても押印が必須ではなくなりました。使用承諾書についても捺印が必須ではなくなりました。
ある警察署の担当者の話だと、無断と疑われる使用承諾書を記載して申請されるケースが散見されるそうです。
特に不動産業界は厳しいので、もしそんなことが発覚してしまったら風俗営業許可の取消処分を受けるだけでなく、不動産会社等から訴えられる恐れもあるので、申請を急いでいるからとの理由で偽造することは絶対にしてはいけません。
4.深夜における酒類提供飲食店の届出に使用承諾書は必要か?
前の説明において、風俗営業の申請(届出)には使用承諾が必須と説明しましたが、「深夜における酒類提供飲食店開始届出」についてはケースバーケースとなっています。
東京都公安委員会の管轄であれば、受付の警察署によって、その運用が異なっています。
そもそも、深夜における酒類提供飲食店開始届については、風営法の条文に書かれているのですが「風俗営業にはあたらない」と解されています。
そのため、深夜における酒類提供飲食店開始届出は、使用承諾書は法定書類ではありません。
しかし、警察署によっては使用承諾書がないと受理してくれない警察署もあるのが実情ですので、管轄警察署に使用承諾書が必要かどうかを確認してから届出を行うことをおすすめします。
ただ、警察の立場からするとむやみに不必要な書類を求めているのではなく、深夜営業を行うということは騒音やお酒に絡む問題が起こる可能性があるので、使用承諾書を得た上で届出を行ってほしいというのは十分に理解できます。
深夜における酒類提供飲食店開始届出の届出書類では、「使用承諾書」は法定書類ではありませんが、必要になるケースがあります。それが次に説明する転貸されている(サブリース)物件になります。
5.転貸(サブリース)物件の場合は使用承諾書は必須
転貸物件で申請する場合(例)
- 建物所有者 Ⓐ ・・・建物登記簿謄本で確認
- 賃貸人(管理者) Ⓑ ・・・賃貸契約書で確認
- 賃借人(賃貸名義人)Ⓒ ・・・賃貸契約書で確認
- 営業者 Ⓓ ・・・営業許可書の名義人
不動産契約は様々あるのですが、よく見かけるケースは上記のケースになります。
建物所有者と賃貸人が同一の場合もありますし、建物所有者が複数いる場合もありますので、ケースバイケースになりますことご承知おきください。
営業者Ⓓが申請をする場合において、
- 風俗営業の申請(届出)を行う場合には、ⒶとⒸの2通
- 深夜における酒類提供飲食店開始届出を行う場合には、ⒷとⒸの2通
からの使用承諾書が必要となります。
賃借人(賃貸名義人)Ⓒと営業者Ⓓとの間に賃貸契約書が存在しないこともあるかと思いますが、これは使用承諾書があれば問題ありません。
深夜における酒類提供飲食店開始届出には建物登記簿謄本は添付する必要ありませんので、賃貸契約書がベースとなります。
一方、風俗営業の申請では建物登記簿謄本と賃貸契約書の両方が必須書類となっていますので、建物登記簿謄本がベースとなります。
不動産関連の書類は、複雑で見慣れている方でないと読み取るのが難しく時間もかかりますので、書類作成は最初に手を付けるのがコツです。
6.まとめ
最初に説明したとおり、風俗営業の申請において「使用承諾書」は使用権原を疎明する資料として必須になりますので使用承諾をもらえない物件では、風俗営業をすることができません。
営業者にとって物件選びは最重要課題のことでしょう。
風俗営業の使用承諾を頂ける物件というのは限られています。
これまでガールズバー・コンセプトカフェとして深夜酒類提供飲食店開始届の手続きを行い営業してきたけれども、風俗営業1号(社交飲食店)を取得するように警察から指導を受けたため、風俗営業の申請をしようとしたら建物オーナーから使用承諾書が頂けないということもよくあることです。
そのため、建物オーナーや仲介会社との関係は良好にしていた方がいいですし、物件契約時には要確認することが大切です。
弊所では、風俗営業ができる物件の取り扱いに慣れている不動産会社ともつながりを持っていますので、風俗営業ができる物件をお探しの方もお気軽にご相談いただけたらと思います。
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