目次
- 1.風営法3号の営業許可の概要
- 1-1.風営法3号営業の構造上のポイント
- 1-2.風営法3号営業許可の取得要件3つのポイント
- 2.相席BARは風営法3号の営業許可を取得するべき?
- 3.相席BARが風営法3号で禁止されている行為
- 4.風営法3号営業許可の申請方法
- 5.まとめ
1.風営法3号の営業許可の概要
風俗営業許可3号営業とは「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの」と規定されるものを言います。
具体的な業種では、個室居酒屋やカップル喫茶などがこの風営法3号に該当する店舗になるケースがあります。5㎡以下の狭い個室内に客席を設け、男女が利用することを想定して飲食を提供する店舗の場合においては、風営法3号営業に該当します。
このような設備を有する飲食店は「区画席飲食店」と呼ばれます。
区画席飲食店の申請は、全国的にも非常に珍しい業態となっています。そのため、警察本部に事前相談を行うことも場合によっては必要になります。
1-1.風営法3号営業の構造上のポイント
大きなポイントとしては、以下の3点が挙げられます
- 客室1室の床面積が5㎡以下である
- 客室の内部が容易に見通すことができない
- 店舗内の照度が10ルクス以下になってはいけない
この3つのポイントに該当する場合には、風営法3号許可を受けなければなりません。
また、照度が10ルクス以下にならないように維持するための「スライダックス」と呼ばれる照度調整スイッチは、通常設置できません。
「10ルクス」とは一般的にロウソクの明るさや上映前の映画館程度と表現されることが多いですが、店舗内をこのような明るさで演出したい場合には注意が必要です。
1-2.風営法3号営業許可の取得要件3つのポイント
風営法3号営業許可を取得するためには、以下3つのポイントを満たさなければなりません。
- 人的要件
- 場所的要件
- 構造的要件
【人的要件】
営業許可の適格者となるための要件が定められており、次の場合は欠格事項となってしまい許可を取得することができません。
- 1年以上の懲役や禁固刑に処せられ、5年が経過しないもの
- 過去の破産経験や成年被後見人・被保佐人
- 風俗営業を取り消されて5年経過しないもの
- 覚せい剤などの薬物やアルコールの中毒者など
また、日本国籍以外の場合、日本人配偶者の有無、永住・定住者などの資格が必要となります。一般的に労働ビザと呼ばれる資格では営業することができません。
【場所的要件】
営業場所の立地を規定する条件が示されます。
すべての場所には用途地域が設定されており、店舗を設置できる許容地域が定められています。限られたエリア以外では店舗営業ができない点には注意が必要です。
また許容地域内でも、学校や病院、図書館などに隣接している場合、一定の距離が保たれていなければ営業は許可されません。
【構造的要件】
店舗の間取りや設備など、構造上の要件のことを指します。
内容については「風営法3号営業の構造上のポイント」でもお伝えした通り、メインとなる項目は客室の床面積、見通し、照度について。
ただし、そのほかにも善良の風俗を害する写真や装飾を設けないことや、客室出入口に施錠設備を設けないことが示されています。
2.相席BARは風営法3号の営業許可を取得するべき?
相席BARは近年急速に増加している娯楽施設のひとつであり、複数の異性が同席して楽しむ事を主眼としています。相席居酒屋とは異なり一人でも参加できる気軽さから、交流を求めるさまざまな世代の男女から人気を集めています。
相席BARが風営法3号の営業許可が必要かどうかは、店舗の構造により判断が分かれるところです。
判断の基準となるのが以下の条文です。
「喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの」
つまり、相席BARに個室を設ける場合、5㎡を以下の広さの場合は風営法3号に抵触する可能性があります。
一方で、5㎡以下の個室であっても、ドアやカーテンで出入口を塞がずに外から容易に内部を見通すことができる構造であれば、申請は不要です。
また、風営法3号の区画席飲食店に該当する場合は、個室内に長ソファーなど男女が並んで座れる椅子を設置することは禁止となっています。ラウンジ型などの店舗を予定する場合には注意が必要でしょう。
3.相席BARが風営法3号で禁止されている行為
接待行為
風営法3号では、客を接待して遊興や飲食させる行為を禁じています。
相席BARで風営法3号営業を行う場合、あくまで客同士の自由な交流を図る場となります。
「飲食物を提供する」「複数の異性が同席して楽しむ」という形態が営業の基本になるため、店側が雇った女性を席に着かせる行為は風営法1号営業の許可が必要です。
サクラ
上記と同じ理由で、サクラも風営法3号営業ではNGとなります。
一見して客に見えるサクラでも、店側が雇った接客店員と判断されます。
相席BARにおいて、一般的に接待行為は考えにくいものですが、サクラとしての入店は十分に考えられるケースです。
仮にサクラを雇って接客行為をさせた場合、風営法上での無許可営業となり、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が課せられます。
禁止行為であることをしっかりと認識しましょう。
4.風営法3号営業許可の申請方法
風営法3号営業許可を申請するには、必要書類を作成したうえで警察署に提出することが必要です。
後にも述べますが、風営法3号は全国的にも非常に珍しい申請となります。必要書類は、他の風営法の申請とさほど変わりはないのですが、警察官も風営法3号の申請にはなれていないため、非常に細かくチェックされることになります。
書類作成には、店舗が営業可能な場所にあるか、要件以上の床面積となっているか、照明器具は指定の範囲内かなどの調査・計測が必須となります。
全体の流れとしては以下のとおり。
-
店舗の調査・計測
営業する店舗の立地、構造のチェックを行う(営業主・管理者の人的要因についても事前確認)
-
書類作成
所定の書式に必要事項を記入
-
添付書類の収集
店舗図面、住民票、身分証、登記簿謄本、証明写真、賃貸契約書など
-
飲食店営業許可申請&実地調査
飲食店営業許可を受けていない場合は、保健所へ申請、実地調査を受け通過が必要
-
風営法許可の申請
飲食店営業許可を受け次第、警察署へ申請
-
風俗浄化環境協会による実地検査
申請の内容と相違がないか現地を検査
-
風営法許可の取得
書類提出から許可の取得までは原則55日
-
許可書の掲示
許可書を店内の見えやすい場所へ掲示
5.まとめ
相席BARの営業は、ケースによって風営法3号営業の許可申請が必要となります。
風営法3号は、全国的にも非常に取扱数が少ない案件です。
申請には多数の手続きと資料が必要となり、書類作成のための調査や計測もとても煩雑なものです。申請について特に必要とされる資格などはありませんが、個人の力で対応することは現実的に大変困難と言わざるを得ません。
また個人で申請を進める場合、非常に高い確率で申請の不備を指摘されます。期間的なロスにより余計な賃料や人件費などが発生するだけでなく、最悪の場合は営業許可が下りないというケースもあり得ます。
相席BARは風営法許可と共に飲食営業許可の申請が必要になるため、早い段階で信用できるプロの行政書士に相談することをおすすめします。
許可申請、規制、法令に対する豊富な経験を持っている行政書士に依頼しておけば、申請をスムーズに進められ、大きな安心感を持ちながら営業を開始できるでしょう。
当事務所では、年間300件を超える風営法の申請に携わっています。相席BARなどの営業で疑問をお持ちの方はお気軽に当事務所までお問い合わせください。