目次
- 1.はじめに
- 2.【原則】スナックやパチンコなどへ18歳未満の客は入店禁止
- 2-1.未成年の客に対する規制概要
- 2-2.同伴の小さな子供は即違反ではないが…モラル違反!
- 3.ゲームセンターなど「5号営業」は年少者も立ち入り可
- 3-1.5号営業の立ち入り規制時間と年齢制限
- 3-2.混同しやすいパチンコ・麻雀店は4号営業
- 4.酒・たばこの提供は成人でも20歳未満はNG!
- 5.まとめ|風営法店舗への子連れ入店はモラル違反
1.はじめに
スナックやクラブ、ポーカーBARなどの店舗において、まれに小さな子供を連れて入店する客がいます。
基本的に風営法の許可を受けて営業する店舗では18歳未満の客の入店は禁止となりますが、同伴として来た幼児などは営業者にとっても扱いが難しいところ。対応に悩む方も少なくないでしょう。
今回は、風営法の店舗への子供の立ち入りに関する規制について、業態や時間・年齢に関する制限を改めて確認していきます。
2.【原則】スナックやパチンコなどへ18歳未満の客は入店禁止
まずは、風営法で定められる18歳未満の客に対する原則を確認していきましょう。
2-1.未成年の客に対する規制概要
風営法上で風俗営業に分類されるキャバクラやホストクラブ、パチンコなどの店は18歳未満の未成年が入店することができません。営業者側にも、18歳未満立ち入り禁止の掲示をする義務があります。
風営法の条文には、以下の内容でその規制内容が明確に示されています。
「風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨を営業所の入口に表示しなければならない。」
―風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|第18条(年少者の立ち入り禁止の表示)
さらに、未成年者(18歳未満)を雇って接待や深夜帯での接客をさせること、管理者にすることも同様に禁止されています。
また、実店舗のない無店舗型風俗特殊営業(デリヘルなど)や、営業送信型風俗特殊営業(アダルトサイト運営など)では、「立ち入る」という概念がないものの、未成年を客にすることは当然禁止です。
アダルトサイトなどでは、サイトに入る際やクレジット決済時に18歳未満の者が利用できないような設計づくりが求められます。
ちなみに、風俗営業の中でも「5号営業」にあたるゲームセンターや、「特定遊興飲食店」であるスポーツバーやライブハウスなどは、特例で未成年でも立ち入り可能な時間があります。
2-2.同伴の小さな子供は即違反ではないが…モラル違反!
18歳未満の客入店禁止の原則があるものの、同伴として来た小さな子供は客の一人としてみなされず、即違反とならない可能性が高い対象です。
しかし風俗営業店の業態としては、たとえ同伴であったとしても子連れ入店はモラルに欠いた行為と言わざるを得ません。
過去に、子供がパチンコ店の駐車場で車内に閉じ込められ熱中症になって死亡したという事案が多く発生したことを記憶している方も多いでしょう。パチンコ協会はこの事態を深刻にとらえ、現在では多くのパチンコ店が駐車場を含めた全ホール内への子連れの立ち入りを禁止し、定期的に巡回するといった対策をしています。
キャバクラやスナックといった飲食店であっても、子連れ入店は風営法の制定趣旨とするところの「青少年の健全育成の精神」から遠く離れます。
警察による違反指摘の可能性が低くても、子連れ入店はモラルに違反する行為として、営業者は入店を断ることが望ましいでしょう。
3.ゲームセンターなど「5号営業」は年少者も立ち入り可
基本的に「18禁」の風営法店舗ですが、ゲームセンターなどは例外的に未成年者の立ち入りが許されています。その詳しい制限内容を見ていきましょう。
3-1.5号営業の立ち入り規制時間と年齢制限
風営法では、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業」を「5号営業」として定義しています。
5号営業の具体的な業態は、ゲームセンターやアミューズメントカジノ(ポーカーBARなど)が代表的です。
風俗営業の中でも特例的に未成年者の立ち入りが可能な5号営業ですが、在店可能な年齢と時間については明確に制限が設けられています。
- ・16歳未満:18時まで
- ・16歳未満(保護者同伴):22時まで
- ・18歳未満:22時まで
風俗営業許可を受けた店舗は、原則、深夜営業ができないため、遅くとも24時(場所によっては午前1時)には閉店となります。そのため、22~24時の間はゲームセンターなどの5号営業店であっても未成年者の入店ができない点に注意しましょう。
ちなみに、ゲームセンターであっても「三方が壁に囲まれていない」、「店舗面積の10%以下」といった条件を満たしていれば風営法の許可申請が不要となり、5号営業の制限を受けません。スーパーマーケットや旅館の一部にあるゲームコーナーなどが分かりやすい例です。
引用:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|第2条第1項の第5号
3-2.混同しやすいパチンコ・麻雀店は4号営業
「射幸心をそそるおそれのある遊技」を提供する業態として、5号営業と混同されやすいパチンコ店や麻雀店ですが、こちらは「4号営業」に分類し、「18禁」の原則が適用されます。
特にパチンコ店は、先述した駐車場内での死亡事故の事例もあり、パチンコ協会全体で未成年の入場を固く禁じています。店内はもちろん、駐車場に子供を見つけ次第通報につなげるといった取り組みもなされ、子連れ客の対応に悩む営業者はほとんどいないでしょう。
一方、麻雀店ではその昔、囲碁クラブなどと同様に子供を連れた父親…というのも少なからず存在したようです。しかし、現在では風営法の厳格な規制内容が布かれているため、客も営業者も未成年入店禁止を心得ているでしょう。
くれぐれも5号営業の内容とは混同せずに、風俗営業の鉄則を守ることが重要です。
4.酒・たばこの提供は成人でも20歳未満はNG!
18歳以上であれば成人客として店舗への立ち入りが可能ですが、20歳未満の客に対する酒やたばこの提供はNGです。
同伴してきた子供の事例とは異なり即違反とみなされ、発覚した場合は「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科」という重い罰則が科されます。
この点は重々承知という営業者の方がほとんどと思われますが、ギリギリ18歳以上の客では見落としも多く、油断して提供してしまうケースも十分に考えられます。特に、大学の新歓コンパや合コンなどの大人数では20歳未満の客が混ざっている可能性もあり、店側の判断も難しくなるでしょう。
客が口頭で「20歳以上」と嘘をついて飲酒や喫煙した場合でも、客ではなく店側が責任を問われる可能性があるため、徹底した年齢確認が必要です。
掲示物で20歳未満への飲酒や喫煙を提供しない旨の意思表示をするほか、若年層の客への身分証確認をするといった対策を取りましょう。
5.まとめ|風営法店舗への子連れ入店はモラル違反
風営法の店舗への子連れ客は即違反対象とならないものの、大きくモラルを欠いた行為と判断することができます。サービス内容や店舗の雰囲気が未成年者へ与える影響などを考慮し、営業者としても入店を断る選択をする方が堅実でしょう。万一のトラブルや未成年の飲酒といったリスクの回避にもつなげられます。
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