目次
- 1.はじめに
- 2.今話題のサパークラブとは?ホストクラブとの違い
- 2-1.サパークラブとは
- 2-2.ホストクラブとの違い
- 3.サパークラブは風俗営業許可が必要?
- 4.【ケース別】サパークラブの開業に必要な許可
- 4-1.深夜営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の届出
- 4-2.接待営業する場合は「風俗営業1号許可」の申請
- 4-3.深夜営業かつ客に遊興させる場合は「特定遊興飲食店営業許可」の申請
- 5.まとめ|サパークラブの許可申請は行政書士に相談を
1.はじめに
深夜帯に気軽に遊びに行ける場として、最近人気が高まっている「サパークラブ」。
通常サパークラブの運営には風俗営業の許可を受けることが必要ですが、店舗ごとにさまざまな営業内容が展開されているため、取得するべき許可の種類も多岐にわたります。
この記事では、営業内容のケース別に必要な許可の種類を詳しく解説します。
サパークラブはまだまだ競合が少ないナイトビジネスのため、経営内容によっては大きな利益を見込める可能性もあるでしょう。
当記事を参考に法規の要点をおさえ、優位なビジネスを展開していくための一助としてください。
2.今話題のサパークラブとは?ホストクラブとの違い
2-1.サパークラブとは
サパークラブとは、男性キャストがカウンター越しに接客をするクラブで、「メンズバー」や「ボーイズバー」とも呼ばれます。
もともとサパークラブは、ホストやホステスが勤務後にアフターで使える店がほしいという声にこたえて生まれた経緯があります。しかし現在では、ダーツやカラオケなどを置きアミューズメント要素が強い店舗も増え、深夜から朝方まで楽しめる場所として認知され、一般の人にも多く利用されるようになりました。
2-2.ホストクラブとの違い
男性キャストが接客にあたる点ではホストクラブと似通う点がありますが、主に以下の点で大きな違いがあります。
・客層
・料金
・サービス内容
サパークラブは男女ともに入店できますが、ホストクラブは主に女性向けの店舗で、男性入店をNGとする店もあります。
またサパークラブが人気を集めている理由として、料金の安さが挙げられます。ホストクラブの料金が高額なことは言うまでもありませんが、サパークラブではフリータイム利用で3,000~5,000円程度が料金相場です。
さらにサービス内容については、サパークラブは「男女でワイワイ楽しむ」という要素が強いため、ホストクラブの「ひとりの客をじっくり楽しませる」という営業内容からは大きくかけ離れています。
サパークラブではアミューズメント・エンターテイメント要素に力を入れている店舗も多く、ダーツやカラオケ、ショーやパフォーマンス、DJブースの設置などで客を盛り上げるサービスが特徴です。このような雰囲気も、ホストクラブと大きく異なる点といえるでしょう。
3.サパークラブは風俗営業許可が必要?
そもそも新業態である「サパークラブ」は風営法で定められている業種名ではありませんが、ほとんどのケースで風俗営業の許可が必要です。
類似する業態としては、すでに認知度の高いガールズバーが挙げられますが、こちらも接待行為や深夜帯営業の有無によって必要な許可が変わります。
サパークラブの営業内容に応じて必要になると考えられる許可の種類は以下の通りです。
【サパークラブの営業内容に応じて必要な許可】
- ・深夜0時以降に酒を提供:「深酒酒類提供飲食店営業」
- ・男性キャストが客と談笑やカラオケ:「風俗営業1号営業」
- ・深夜0時以降に酒を提供してショーやダンス:「特定遊興飲食店営業」
以上はすべて風営法上の許可ですが、項目により手続きの難易度や要件が大きく異なります。
ホストクラブやキャバクラといった風営法の対象店舗は、原則深夜0時以降の営業ができません。一方のサパークラブでは、男性キャストをカウンター越しに配置することで、比較的手続きが簡単な「深酒酒類提供飲食店」として営業している店舗がほとんどです。
しかし、カウンター越しであっても一緒にカラオケをしたり、特定の客と懇意に談笑したりといった「接待行為」に該当する内容があれば、ホストクラブなどと同様に申請難易度の高い風俗営業1号営業の許可を取得しなければなりません。
実際にはグレーなサービス内容の店舗も多いものですが、万一摘発されれば無許可営業として懲役刑や罰金刑を受ける可能性もあります。
自身が営業しようとする店舗のサービス内容にふさわしい許可を取得し、健全な営業を目指しましょう。
4.【ケース別】サパークラブの開業に必要な許可
ここからは、サパークラブを開業する際に必要な許可の種類を3つのケース別に詳しく解説していきます。
4-1.深夜営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の届出
サパークラブといえば午前0時以降の深夜営業が大きな特徴であるために、ほとんどの店舗はこのケースに該当するでしょう。以下のポイントに該当する場合は、深夜酒類提供飲食店営業(深酒営業)の届出が必要です。
【深夜酒類提供飲食店営業のポイント】
- ・深夜0時以降の営業
- ・酒をメインで提供
深酒営業は風営法で規定される業種です。ただし、キャバクラやスナック、パチンコ店などは風俗営業許可の「申請」が求められる一方、深酒営業では管轄警察署への「届出」のみで営業が可能です。
風俗営業許可は営業可能エリアが非常に細かく限定され、申請には実地検査が伴うこともあり困難を極めますが、これに比べれば深酒営業は手続きしやすいと言えるでしょう。
4-2.接待営業する場合は「風俗営業1号許可」の申請
カウンター越しの接客を特徴とするサパークラブでも、風営法で定めるところの「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす」接待行為がある場合には、ホストクラブなどと同様に「風俗営業1号許可」の申請が必要です。
接待行為の具体的な内容は、以下の行為が挙げられます。
【風俗営業1号(接待)のポイント】
- ・客と談笑、お酌をする
- ・ショーを見せたり聴かせたりする
- ・カラオケで合いの手を入れたり、一緒にデュエットをする
- ・客と一緒にダンスする
- ・客と共に、遊戯・ゲーム・競技等を行う
客同士がお互いに上記の行為で楽しむ分には問題ありませんが、男性キャストがこれに乗じてしまうと接待行為になり、無許可営業に該当してしまいます。サパークラブ独自の楽しい雰囲気づくりのため尽力するキャストも多いと考えられますが、どんな行為が接待行為に該当するのかを周知し、法規上認められる範囲での接客を心がけることが重要です。
なお、深酒営業と風俗営業は合わせて許可を得ることができず、どちらかを選択しなければなりません。営業内容に適した許可を取得しましょう。
4-3.深夜営業かつ客に遊興させる場合は「特定遊興飲食店営業許可」の申請
以下の内容に該当するケースでは、「特定遊興飲食店営業許可」の申請が必要です。
【特定遊興飲食店営業のポイント】
- ・深夜0時以降の営業
- ・酒をメインで提供
- ・客に遊興させる設備を設置
深夜営業で酒を提供するだけであれば深酒営業の届出で済みますが、客に遊興させる設備がある場合は特定遊興飲食店営業に該当するため、風俗営業と同等の申請手続きが必要になります。
遊興行為の具体的な例としては、以下の内容が挙げられます。
- ・客にショーやダンスなどを見せる
- ・客に歌や演奏などを聴かせる
- ・ゲームや競技に客を参加させる
- ・DJブースを置いて客にダンスさせる
- ・スポーツ等の映像を客に見せ、応援等に参加させる
該当する業態としては、ナイトクラブやDJバー、ライブハウスやショーパブなどが挙げられるでしょう。アミューズメント要素の強いサパークラブもこれに該当する可能性が高い業種です。
深酒営業で認められているサービス内容は限られているため、少しでも客に遊興させるような内容を展開したいと考えたら、特定遊興飲食店営業での開業を検討しましょう。
5.まとめ|サパークラブの許可申請は行政書士に相談を
今回は、サパークラブの開業時に必要な許可の種類を解説しました。サパークラブは営業内容に応じて、主に以下の許可取得が求められます。
- ①深夜営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の届出
- ②接待営業する場合は「風俗営業1号許可」の申請
- ③深夜営業かつ客に遊興させる場合は「特定遊興飲食店営業許可」の申請
①の深酒営業の届出は比較的容易な手続きになりますが、②と③の許可申請については店舗実査があり、管轄警察署に許可申請をしてから許可が下りるまで約2か月くらいかかるなど、非常にハードルの高い手続きになります。
警察との協議や営業可能エリアの調査、営業所の計測や図面作成、実地検査の対応などを行っていく必要がありますが、常に専門的な知識が求められ、わかりやすいマニュアルも存在しません。
開業準備に忙しい中で、風営法の学習や申請業務をこなしていくのは容易なことではないでしょう。
スムーズな開業を目指すのであれば、物件契約する段階で風営法に特化した行政書士事務所に依頼するのがいいでしょう。
渋谷区恵比寿を拠点とする行政書士法人ARUTOでは、風俗営業に関する許可申請を専門に扱っています。年間300件を超える実績から、あらゆるパターンに応じた最適な方法で申請者様をサポートいたします。
ナイトビジネス経営をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。