飲食店で付けてはいけない名前|店名(屋号)の規制やルールを解説

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コラム

目次

1.はじめに

新しく飲食店をオープンしようとするとき、店舗のネーミングについて悩む方も少なくないでしょう。
昔、子どもの名前に『悪魔』君という名前を付け話題になったことを記憶している方もいるかもしれません。

当初、役所は命名権の乱用と判断して受理しなかったものの、両親が不服を申し立て裁判した結果、勝訴してしまったというものでした。

飲食店の名前もこれに同じく、制限する法律が明確にない場合でも、「社会的にダメでしょ…」と思わせる内容が少なからず見受けられます。

今回は、飲食店のネーミングについての規制やルールを解説します。特にキャバクラや風俗店、ガールズバーやコンセプトカフェは「ギリギリ」な店名も多いもの。ぜひ参考にしてください。

 

 

2.キャバクラ、ガールズバーは要注意!飲食店名の規制・ルールとは

飲食店の店名(屋号)をどのようにネーミングするかは、基本的には自由です。
法人の名前には「株式会社や合資会社などの会社種類を入れる」、「法律で禁止されている文字は禁止」といったいくつかの決まりごとがありますが、事業としての店舗名は、結局のところ保健所や公安委員会の判断にゆだねられることもあります。

店名に関するルールは「社会通念上ふさわしいか」、「関連法律で禁止されていないか」という、どちらかの考え方が大きく影響すると言えるでしょう。

上記の内容に則して考えると、以下のようなケースで店名がNGとなる可能性が高くなります。

  • ・「JK」、「学園」など青少年を連想させる名称
    ・他社が商標登録している名称
    ・社会通念上ふさわしくない名称
    ・他サービスと誤解される名称

キャッチーで客の来店意欲を強くあおるような店名が付けられやすいナイトビジネスの店舗では、特に上記の内容に触れてしまう可能性も高いため、コンセプトを上手に表しながらもルールに則したネーミングへの工夫が欠かせません。

次項から、NG事例についてそれぞれ詳しく解説していきます。

 

2-1.NG事例①「JK」など青少年を連想させる名称

女子高生との添い寝や散歩、コミュニケーション、コスプレ撮影会などを目的とした、いわゆる「JKビジネス」については、2017(平成29)年7月に「特定異性接客営業等の規制に関する条例(東京都)」が施行され、その多くが規制対象となりました。

ここで注目したいのが、実際の女子高生などを従事させていなくても、「JK」「女子高生」「16歳」「学園」「制服」「部活」といった文言を使用して、性的好奇心をそそるような特定のサービス行為を行えば規制対象となる点です。

特定のサービスには、あからさまなリフレや個室での見学・撮影などのほか、異性客と一緒にゲームをしたり飲食を提供したりといった、通常見過ごしてしまうような内容も含まれます。

ガールズバーなどでも、青少年が業務に従事していると明示・連想させるような店名を付けた場合は「特定異性接客営業等」と判断される可能性もあるため、取り締まりの対象ともなり得ます。

そもそも、ガールズバーやコンセプトカフェで、『○○学園バー』や『JKパフェ』という店舗名で風営法の申請をしようとしても店名が上記法律に抵触するとして受理してもらえません。

※参考|特定異性接客業等の規制に関する条例

 

 

2-2.NG事例② 他社が商標登録している名称

商標は、自社の社名や商品・サービスを他と区別するために使用するネーミング・マークであり、文字や図形、記号によって示されるものです。

商標は登録することにより独占的に利用する権利が生まれるため、すでに他社が商標登録している名称は店名として使うことができません。

同一の業界ないしサービスで、商標登録された名称を使用してしまった場合、すでに登録している企業から、差止請求や損害賠償請求を受ける恐れがあります。

店名の検討時には、まず特許庁のサイトから「商標調査」を行い、現在登録されているロゴや名称を調べましょう。

特許調査プラットフォームのサイト

無事に登録のない店名を決定して多店舗展開を狙うのであれば、自分の商標権が侵害されることのないよう、できる限り特許庁に出願して登録査定を受けることとおすすめします。

 

2-3.NG事例③ 社会通念上ふさわしくない名称

例えば、『○○クリニック』、『○○病院』という店名を付けてコンセプトカフェを開業したいという相談も過去にはありました。

風営法的にはNGということはないのですが、医療法(保健所の管轄)ではNGという結果でした。

医療法第3条 では「疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。」との明記があり、ただの飲食店の店名を「クリニック」と表記するのは違法ではないように受け取れます。

ただし、この件では「国が解釈する際に社会通念上の誤解を生む恐れがあると判断され、行政処分を受ける可能性がある」と理由づけられました。行政的な強制力があるわけではないですが、類似する事柄に関する法規の趣旨を別の事柄に適用する「類推適用」が働いたケースです。

このようなケースは個人での判断が非常に難しいため、行政書士などのアドバイスが必須と言えるでしょう。

 

 

2-4.NG事例④ 他サービスと誤解される名称

特に商標登録されていない店名については、重複や類似しているものでも使用可能です。

しかし、他の店舗やサービスと誤解されやすい名称は、店名や屋号として使用すべきではありません。特に、有名店やそのサービスと同じもの、似た内容で混同しやすいものは不適切です。

あえて誤解を招く店名を付けるのは、初めこそ集客効果やサービス内容の伝えやすさといった点でメリットがありますが、独自性が低く、客の信頼を損ねるといった大きなリスクを抱えます。

また、個人事業主の場合は法人と誤解されるような「~会社」や「~法人」、「~銀行」といった名称を用いることができません。

会社法第7条 では「会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。」との記載があり、該当する行為を明確に禁止しています。

 

 

3.きわどい店名、ホームページのURLについて

次は、いわゆるグレーな店名などについて説明したいと思います。

前項では、青少年を連想させるような店名はNGと説明しましたが、そのような言葉を略称にするなどをして店名にした場合

例えば、ホームページのURLが「www://○○○unter‐18girl_jk.com」の場合など。

そのような店名やURLでも警察の申請段階では通ったとしても、そのような店舗名やURLで継続して営業をしていると警察に摘発されるという危険は高くなるでしょう。

摘発される理由は、実際に法に触れるような営業をしているかというのも重要視されますが、お店の看板も大きな理由の一つになります。

お店の看板は、通行人の誰もが目にすることができます。もちろん18歳未満の青少年も目にすることができるので、青少年に悪影響な看板を掲げていると摘発される危険は高くなるという訳です。

ですので、お店の店名、看板、URLは慎重に考えなければいけません。

 

 

4.まとめ|飲食店の名前の付け方は行政書士にご相談を

今回は、飲食店にネーミングに関する規制やルールについて紹介しました。

飲食店の名称を制限する明確な法律はありませんが、「社会通念上ふさわしくないか」、「関連法律で禁止されていないか」という2点について勘案、調査する必要があります。

店名を決める際は、店のコンセプトに合わせ、集客効果や認知のされやすさなどを考慮して検討していきますが、今回紹介したルールについても念頭に置きながら決定することが大切です。

ただし、商標調査や社会通念上の判断など、個人での検討が難しいケースがあるかもしれません。そんな時は行政書士に相談しながら検討することで、ルール上問題がなく営業的効果の高い店名を選び出すことができるでしょう。

東京都恵比寿を拠点に活動する行政書士法人ARUTOでは、飲食店や風俗営業店に関する法規制のご相談や各種申請手続きについて承ります。

飲食店開業に関してお悩みの方は、ARUTOまでお気軽にご連絡ください。初回相談は無料にてご対応いたします。

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