目次
- 1.はじめに
- 2.居酒屋は基本的に深夜営業許可が必要
- 2-1.深夜営業許可が必要になるケースとは?
- 2-2.深夜営業許可で必要な手続きの内容
- 2-3.無届が発覚した際の罰則
- 3.個室居酒屋で深夜営業する場合は個室面積に注意!
- 3-1.深夜営業では個室面積「9.5㎡以上」を確保
- 3-2.9.5㎡未満の個室を有するときの対処法
- 3-3.※注意 5㎡未満の個室の場合は風営法の許可申請が必要になることも
- 4.まとめ|個室居酒屋の深夜営業に迷ったら、行政書士へご相談を
1.はじめに
人目を気にせずくつろげる個室居酒屋は、年齢や客層問わずあらゆる人の来店を期待できる飲食店です。
さらに、リラックスした状態で滞在時間が長くなりやすいため、一人当たりの客単価が高く見込める点も大きなメリットと言えるでしょう。
一般的に、酒類をメインに提供する飲食店が深夜0時以降も営業する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要ですが、個室居酒屋についても取得すべきなのでしょうか?
今回は、個室居酒屋に必要な許可の種類や、個室面積ごとに求められる手続きを解説します。
個室居酒屋を違法性なくスムーズに経営していきたいという方は、ぜひ参考にしてください。
2.居酒屋は基本的に深夜営業許可が必要
2-1.深夜営業許可が必要になるケースとは?
深夜0時を超えて主に酒類を提供する飲食店では、店舗の所在地を管轄する警察署に深夜営業の許可である「深夜酒類提供飲食店営業(深酒営業)」の届出が必要です。
ただし、主食をメインとするラーメン屋やファミレス、焼き肉店や寿司屋といった飲食店は届出が不要。そのため「食事のメニューが多い居酒屋も届出不要なのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、居酒屋は読んで字のごとく酒類の提供を目的とする飲食店です。
「ランチ営業時には酒を提供しない」、「最後にお茶漬けを提供する」などといったケースであっても、居酒屋ではほとんどの場合で深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要な業態と判断されるため、開業時には必ず手続きを行いましょう。
2-2.深夜営業許可で必要な手続きの内容
深夜酒類提供飲食店営業は「申請」ではなく「届出」のため、簡単な手続きのように思われますが、風営法での規制対象となっている業態なだけに、求められる添付書類も多く手間がかかるものです。所轄の警察署により内容は変わりますが、主に以下の書類提出が必要です。
必要書類
・深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書
・営業の方法
・営業所の平図面、求積図、照明・音響設備図
・保健所の営業許可書
・住民票(本籍地が記載されているもの)
・定款及び登記簿の謄本(法人の場合)
・在留カード、国籍記載の住民票(外国人の場合)
・使用承諾書(賃貸物件の場合)
なお、深夜酒類提供飲食店の営業を開始できるのは、管轄警察署で届出書類が受理されてから通常10日かかるため、余裕を持って2週間程度前に届出するのが理想的です。また、届出時には飲食店営業許可証の写しが必要となります。新規店舗の場合はさらに余裕を持ち、事前に飲食店営業許可を取得しておきましょう。
2-3.無届が発覚した際の罰則
そもそも深夜帯の営業に届出義務があるのは、お酒を提供することで喧嘩が発生したり、酔っ払いが騒いで騒音問題に進展したりする可能性が高いために警察署で把握・管理する、というのが法律の趣旨です。
深夜営業をしているにもかかわらず無届が発覚した場合には、当然ながら届出するよう指導を受け、場合によっては厳しい罰則が科されます。
罰則の内容は「50万円以下の罰金」、さらに警察から届け出の指導を受けたにもかかわらず届出しない場合は「最長6ヶ月の業務停止」を受ける可能性があります。
風俗営業などと違い深夜営業はバレにくい、または届出義務を知らなかったと言う方も少なくありませんが、客の喧嘩や料金トラブルが原因となり警察へ通報、その後無届が発覚する、というケースは意外に多いものです。
届出から受理までは一定の期間を要すため、必ず営業開始前に届出しておくことをおすすめします。
3.個室居酒屋で深夜営業する場合は個室面積に注意!
居酒屋、特に個室がある店舗では、個室面積に注意しなければ深夜営業ができなくなったり、別の業態に該当して風俗営業の許可申請が必要になってしまったりする可能性が高まります。
注意すべき個室面積や、狭い個室がある場合の対処法を解説します。
3-1.深夜営業では個室面積「9.5㎡以上」を確保
深夜酒類提供飲食店営業では、営業所の構造や設備について細かい基準が設けられています。その中では客室の面積を制限する項目があり、「一室の面積を9.5㎡以上とすること」というルールがあります。
つまり、個室居酒屋で深夜0時以降も営業するには各個室の面積を9.5㎡以上とすることが必須です。
また「客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと(1m以上)」というルールもあるため、9.5㎡以上の個室であっても1m以上の仕切りなどを設けて簡易的に分けることも禁止されています。さらにこの場合では、仕切りを設けることにより2室とみなされ、面積の要件を満たしていないと判断されることもあるため注意が必要です。
3-2.9.5㎡未満の個室を有するときの対処法
広さの異なる個室をいくつか設ける中で9.5㎡未満の個室があったり、居抜き物件で狭い個室を有していたりする場合もあるでしょう。
このような場合では、9.5㎡未満の個室を深夜帯に使用しない措置を行うことで、届出手続きが可能になります。
ただし、措置の内容や運用ルールは店舗の諸条件によっても対処法が変わるため、個人での届出では要点を押さえた記載が難しい側面があります。9.5㎡を下回る個室がある場合には、経験豊富な行政書士に相談して運用方法を検討することをおすすめします。
3-3.※注意 5㎡未満の個室の場合は風営法の許可申請が必要になることも
風営法では、喫茶店やバーなどの飲食店において、他からの見通しが困難で広さが5㎡以下である客席を設けて営むものを「区画席飲食店(風営法3号営業)」と定義し、規制の対象としています。
「5㎡以下の狭い個室内で男女が利用することを想定して飲食を提供する」というのがポイントで、相席バーやカップル喫茶などが該当する可能性が高い業態です。
区画席飲食店の適用は全国的にも非常に珍しいケースですが、場合によっては個室居酒屋もこれに該当し、風営法に則った許可申請が必要になるでしょう。
ただし、個室居酒屋で風俗営業許可を得た場合は、18歳未満の立ち入り不可、深夜0時以降の営業禁止といった縛りが出てくるため、経営的なデメリットが多く生じてしまいます。
個室居酒屋の場合は個室面積の要件をクリアし、深酒営業で許容される範囲内で営業するほうが得策と言えるでしょう。
4.まとめ|個室居酒屋の深夜営業に迷ったら、行政書士へご相談を
個室居酒屋の営業は、基本的に深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。
深夜酒類提供飲食店営業として営むためには個室面積を9.5㎡以上にするなど一定の条件があり、規定の面積を割り込む個室は深夜に使用しないといった措置を設けなければなりません。
個室居酒屋は大衆居酒屋などと異なる性質を持つ業態のため、ケースバイケースで関連法規を詳細に確認することが大切です。
風俗営業の許可申請に比べて簡単と言われる深夜酒類提供飲食店営業の届出ですが、個室居酒屋のように店舗構造や営業内容の運用ルールにグレーな部分がある業態では、個人での判断が難しく手続きに難航するケースも多く見受けられます。管轄の警察署が、手続き方法や受理のためのアドバイスなどを親切丁寧に行ってくれることはありません。少しでも不安があれば、行政書士に依頼してスムーズに開業準備を進めましょう。
行政書士法人ARUTOでは、風俗営業に特化したナイトビジネス関連の申請に年間300件以上携わっています。
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