風営法の許可証は掲示するべき?義務内容や変更・紛失・返納時の手続きを解説

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コラム

目次

1.はじめに

風俗営業許可の申請後、各都道府県の公安委員会より交付される営業許可証。

許可を取得した方であれば、ほとんどの方は風営法において許可証の提示義務があることをご存じでしょう。

しかし、「どんな場所がベストなのか」、「コピーでも可能なのか」といった、具体的な掲示内容については正確な情報を把握していないケースも少なくありません。

この記事では、風俗営業許可証の掲示義務の内容についてくわしく解説します。さらに、営業内容を変更した際や、許可証を紛失してしまった際の手続きについてもあわせてお伝えします。

風営法の店舗を営む方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

2.風俗営業の許可証は掲示が必須

2-1.風俗営業の許可証の掲示義務

風俗営業許可を取得した際には、日本工業規格A4サイズに許可内容が記載された営業許可証が交付されます。許可証に記載されている内容は次のとおり。

 

・許可番号

・(営業者の)氏名又は名称

・営業所の所在地

・営業所の名称

・風俗営業の種類

・許可年月日

 

さらに営業内容に条件がある場合は、状況に応じた内容が裏面に記載されます。

営業許可証の掲示については、風営法第6条において「風俗営業者は、許可証を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。」と記載され、その義務が明確に示されています。

違反した場合には30万円以下の罰金や行政による指示処分が下され、顧客の信用を得るためにも許可証の掲示は健全な営業にとっての必須条件と言えます。

しかし、「営業所の見えやすい場所」とは、具体的にどんな場所なのでしょうか?次項で紹介していきます。

 

2-2.どんな場所に掲示すればいい?

条文に記載される「見えやすい場所」は、もちろん顧客にとって見えやすい場所という意味です。

「内装デザインの邪魔になるから少し見えにくいところに…」というのはNG。許可証の掲示は、正式に風俗営業許可を取得した店舗であることをはっきりとわかりやすく来店されるお客さんに示すことで、入店する誰もが安心して利用できるようにする目的があります。

一般的に、キャバクラや麻雀店などであればレジ近くの壁面、パチンコ店であれば景品カウンター付近の壁面に掲示することが多いです。

 

2-3.カラーコピーでもOK?

風俗営業の許可証は、原本の掲示が必須です。

例えば、建設業許可などは許可証の交付が無く通知書発行のみのため、自社で許可票を制作して掲示することが求められます。この場合、劣化しにくい金属板などを使用して許可票看板をつくるのが一般的です。

しかし、原本の許可証掲示が必要な風俗営業では、建設業許可のように別素材に印字して劣化対策を講じることはできません。

紙素材の原本は丁寧に扱う必要があるため、ガラス付きの額やポスターフレームなどに収め、汚れ・劣化防止するのが安心です。

紛失や汚れを懸念してコピーを掲示している場合は、対策を行ったうえで原本の許可証に差し替えましょう。

 

 

3.風俗営業の許可証に関する手続き方法

ここからは、風俗営業の許可証について「内容変更」「紛失」「返納」時における手続き方法を紹介します。

いずれも迅速な手続きが求められ、場合によっては新たな許可証の交付まで営業停止期間が発生する可能性があります。

さらに、変更の届出を怠っていたことが行政機関に指摘された場合、「遅延理由書」の提出を求められるケースもあるため、該当する場合は管轄の警察署へ速やかに申請しましょう。

 

3-1.内容を変更したいとき

許可書の記載事項に変更が生じる場合は、「許可証書換え申請書」に必要な項目を記載して手続きします。

該当する変更内容と手続き期間は以下の通りです。

 

【営業者の氏名または住所(個人の場合)】

手続き期間:変更後10日以内

添付書類:戸籍謄本、住民票など

 

【法人の名称または住所】

手続き期間:変更後20日以内

添付書類:法人の履歴事項全部証明書

 

【営業所の名称・屋号】

手続き期間:変更後10日以内

添付書類:変更届出書、飲食店営業許可証の写し(変更前後の両方)、管理者証など

 

また、許可証の内容には関わりませんが、店舗の構造などを変更した場合にも変更手続きを行う必要があります。軽微な変更であれば変更後1ヶ月以内に「変更届出書」を、大規模な改修であれば事前に「変更承認申請書」を提出しましょう。

 

  • 書換え申請の手数料:1,500円

 

3-2.紛失してしまったとき

風営法の第5条第4項では、許可証を亡失または滅失したときは速やかに再交付を受けなければならないと定められています。

店舗のリニューアルや営業者の名義を変更しようとするタイミングで、許可証の紛失に気が付くケースは少なくありません。工事を伴うレベルのリニューアルを行う場合は構造設備の変更承認申請、許可名義を変更する場合は新しい営業者による新たな許可申請が必要ですが、どちらの場合でも必ず先に許可証再交付申請の手続を済ませましょう。

許可証の再交付には、理由書を添付のうえ「許可証再交付申請書」を用いて手続きをします。

ちなみに、風俗営業の許可証を紛失した方が一緒に無くしているケースが多いのが次の書類。

 

・管理者証(風俗営業・特定遊興飲食店営業)

・飲食店営業許可証(保健所)

 

いずれも店舗営業にとっては欠かせない書類のため、管理は厳重に行いましょう。

 

  • 再交付申請の手数料:1,500円

 

3-3.返納するとき

以下のケースに該当する場合、営業許可証の返納手続きが必要であることが風営法第10条で定められています。

 

【営業者自身が返納手続きするケース】

・風俗営業を廃業した

・許可が取り消された

・許可証の再交付を受けたが、紛失していた許可証を発見した

 

【営業者以外が返納手続きするケース】

・営業者が死亡した→同居の親族又は法定代理人

・法人が合併以外の事由により解散した→清算人または破産管財人

・法人が合併により消滅した場合→合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者

 

許可証を返納する際には、返納事由が発生した日から10日以内に風俗営業許可証と「返納理由書」を提出します。

また、一時的な休業であっても続けて6ヶ月以上休業の場合は返納事由にあたる許可の取り消しが可能となってしまうため、設定期間に注意が必要です。

 

 

4.飲食店営業許可証は掲示義務なし

風俗営業許可証と同様に、飲食店営業についても許可証の掲示が必要と考えている方は少なくありませんが、実は飲食店営業許可証の掲示義務はありません。

飲食店営業許可は通知書として交付されるため許可証の提示が必要なく、営業許可事項の提示のみが求められます。その内容は以下の通り。

 

・施設の所在地

・施設の名称、屋号又は商号

・許可を受けた年月日及び許可番号

・営業の種類

・営業許可期間

・許可条件

 

令和3年5月31日までは営業許可書の掲示義務がありましたが、個人情報が含まれていることを考慮して内容が改められました。

飲食店において食品衛生責任者の設置は義務ですが、氏名を明記した標識については営業許可書とともに掲示義務がなくなっています。

 

また、飲食店営業許可証の再発行ですが、自治体によっては再発行していないところもあります。その場合は、『飲食店営業許可の証明書』を発行してもらえますので、証明書を大切に保管しておきましょう。

 

 

5.まとめ

風俗営業の許可証は、しっかりと店舗の見えやすい場所に掲示しておくことが必要です。

カウンター奥のボトル棚など、お客さんからは手の届かない場所がいいでしょう。

「原本を大切に保管するあまりコピーを掲示している」という方も中にはいるかもしれませんが、これは違反行為に該当してしまいます。

また、許可証の内容に変更が生じた場合や紛失した場合は、店舗の営業を停止期間なく続けるためにも速やかに再発行の手続きを進めましょう。

 

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