目次
- 1.はじめに|マッスルバーは風営法の許可が必要?
- 2.マッスルバーとは?業態の特徴と法的な位置づけ
- 3.【全店舗共通】マッスルバー開業で必ず必要な許可
- 4.【ケース別】営業内容ごとに必要な許可・届出
- 5.マッスルバー運営の注意点|風営法違反になりやすい行為
- 6.まとめ|マッスルバーは営業内容ごとの許可判断が重要

1.はじめに|マッスルバーは風営法の許可が必要?
筋肉自慢のスタッフが接客を行う「マッスルバー」は、その独特な熱気とエンターテインメント性で近年大きな注目を集めています。弊社でも、すでに何件もの開業相談をお受けしてきました。
いざ事業に着手しようとするとき、経営者にとって気になるのは「どの法律に基づき、何の許可を取れば良いのか」という点ではないでしょうか。
結論から申し上げますと、マッスルバーは単なる「飲食店」として営業できるケースもあれば、内容次第で「風俗営業(1号営業)」や「特定遊興飲食店営業」の許可が必須となるケースもあります。
この記事では、マッスルバーの特徴から営業内容ごとに必要となる許可・届出、さらに運営上の注意点までを分かりやすく解説します。
マッスルバーの開業をお考えの方、経営に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
2.マッスルバーとは?業態の特徴と法的な位置づけ

マッスルバーの基本的な業態は、スタッフが筋肉を披露しながらお酒や食事を提供する「飲食店営業」がベースとなります。しかし、一般的な居酒屋やバーと大きく異なるのは、その「演出」と「接客」の濃密さ。
法的な判断を難しくさせているのは、以下の要素です。
- 肉体美の披露:ステージでのポージングや、露出度の高い衣装。
- パフォーマンス:目の前でフルーツを絞る、プロテインをシェイクする、お姫様抱っこをするなどのサービス。
- 客との距離感:筋肉に触れさせる行為や、会話の密度。
これらの「演出」が単なるサービスの範囲内なのか、それとも風営法上の「接待」にあたるのかによって、必要な許可が変わります。
3.【全店舗共通】マッスルバー開業で必ず必要な許可

どのような形態であっても、マッスルバーを運営するうえで必要になる基本の許可が2つあります。これらは「食品衛生法」に基づき、客の安全を守るために必須となるものです。
3-1.飲食店営業許可
マッスルバーを営業するにあたり、まず必要となるのが保健所からの「飲食店営業許可」です。
この許可を取得するためには、食品衛生法に基づく施設基準を満たす必要があります。具体的には、調理場と客席の区画、専用の手洗い設備の設置、冷蔵庫への温度計の備え付けなど、細かな設備要件が確認されます。
内装工事が完了した後に基準を満たしていないことが判明すると、追加の改修が必要になるケースも少なくありません。
そのため、設計段階で図面を用意し、事前に保健所へ相談しておくのが大切なポイントとなります。
3-2.食品衛生責任者の設置
飲食店営業許可とあわせて、店舗ごとに「食品衛生責任者」を1名以上配置する必要があります。
食品衛生責任者は、調理師や栄養士などの有資格者のほか、保健所が指定する1日程度の養成講習会を受講することで取得可能です。オーナー自身が講習を受け、責任者として対応するケースもよく見られます。
マッスルバーでは、スタッフが客の目の前で食材に触れたり、ドリンクを作ったりする場面も多いもの。食中毒などのトラブルを防ぐための衛生管理を統括する役割は、店舗運営において特に重要といえるでしょう。
4.【ケース別】営業内容ごとに必要な許可・届出

ここからは、マッスルバーの営業内容ごとに、必要となる許可・届出について解説します。
4-1.深夜0時以降も営業する場合|深夜酒類提供飲食店営業届出
深夜0時以降も酒類を提供して営業する場合は、警察署への「深夜酒類提供飲食店営業届出」が必要です。
例えば、「タンクトップ姿のバーテンダーが、ドリンクを作って提供する」といった程度の営業形態であれば、深夜酒類提供飲食店としての届出で足りるケースが多いでしょう。(露出度によってはグレーですが)
ただし、無届のまま深夜営業を行うと違反となるため、注意が必要です。
【ポイント】
深夜酒類提供飲食店は、原則、風俗営業許可(1号営業)とは併用できません。
また、用途地域や内装にも細かな制限があります。
4-2.接待に該当するサービスがある場合|風俗営業許可(1号営業)
マッスルバーで特に判断が分かれやすいのが、「接待」に該当するかどうかです。
一般的なマッスルバーの営業形態では、客との距離が近くサービス性が高くなることから、風俗営業(1号営業)の許可が必要になるケースが多いです。
例えば、「特定の客に付き添う」「過度に親密な会話を行う」といった行為は、キャバクラやホストクラブなどと同じく接待と判断されます。
※この業態が一番多くみられる営業形態ではないでしょうか。
【ポイント】
接待に当たるかどうかは、サービスの意図ではなく「営業の実態」で判断される点に注意が必要です。
なお、この許可を取得すると、原則として深夜0時(地域により1時)以降の営業はできなくなります。
4-3.ショー・パフォーマンス性が強い場合|特定遊興飲食店営業許可
深夜0時以降にステージを設け、来店客がパフォーマンスを鑑賞すること自体が目的となっている場合は、「特定遊興飲食店営業」の許可が必要になることがあります。
ダンスや筋肉パフォーマンスを「見せる」サービスが主となる場合は、単なる飲食店の演出とは異なり、いわゆる「ショーパブ」や「ナイトクラブ」と同じ扱いになります。
【ポイント】
ステージでのマッスルショー、音楽に合わせたダンス、客参加型の筋トレイベントなどを深夜に行う場合は、この許可が該当します。
演出内容や開催頻度によって判断が分かれるため、企画段階で一度、専門家に相談しておくと安心です。
5.マッスルバー運営の注意点|風営法違反になりやすい行為
マッスルバーはその性質上、意図せずとも法律のグレーゾーンに踏み込みやすい傾向があります。
ここでは、運営上特に注意したい「風営法違反に該当しやすい行為」について紹介します。
5-1.過剰な接触・近すぎる距離感
「筋肉を触らせる」というサービスが過剰になり、性的好奇心をそそる内容と判断されると、さらに厳しい「性風俗関連特殊営業」とみなされる危険性があります。
あくまで健全なスポーツ・エンタメの範囲を逸脱しない管理体制が求められます。
5-2.深夜営業と許可区分の取り違え
深夜酒類提供飲食店としての届出しか行っていないにもかかわらず、実態として接待(風俗営業1号)に該当するサービスを行っている状態は、指摘を受けやすい典型的なパターンです。
自店の営業内容が「深夜営業のみ」なのか、「接待を伴う営業」なのかを、主観ではなく客観的に整理しておく必要があるでしょう。
5-3.誤解を招くSNS・広告の表現
過度に露出を強調した写真や、接待を連想させるキャッチコピーを使用すると、実際の営業内容以上に問題視されることがあります。
SNSや広告表現は、警察の巡回や立入確認のきっかけになる場合もあるため、集客だけでなくコンプライアンスとのバランスが求められます。
6.まとめ|マッスルバーは営業内容ごとの許可判断が重要

マッスルバーの開業は、「どのような体験を客に提供したいか」というコンセプト設計と、それに応じた法的許可の取得がセットで必要になります。
●「深夜に営業したいのか」
●「お客さんと近い距離で、パフォーマンスを見せたりしたいのか」
●「ショーをメインにしたいのか」
これらの優先順位によって、進むべき手続きのルートは全く異なります。許可の判断を誤ると、営業停止などの行政処分、最悪は刑事事件につながるおそれもあります。
今回ご紹介した内容を参考に、自店の営業内容やコンセプトをあらためて整理してみてください。
東京都渋谷区恵比寿に拠点を構える行政書士法人ARUTOでは、マッスルバー開業に関する許可・届出の整理から申請手続きまで多数の店舗のお手伝いをさせていただいた実績があります。
迅速かつ丁寧に対応することを念頭の開業後の運営まで見据えたサポートが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。


