メンズエステは違法?摘発を回避するための営業方法について解説

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コラム

目次

1.違法性の高いメンズエステとは

近年流行しているメンズエステ(メンエス)は、本来リラクゼーションや美容を目的とするサービスを提供する店舗ですが、一部店舗では客をマンションの一室に案内して、違法性の高い性的サービスが提供されている実態があります。

風営法違反で摘発されるケースも増加しており、サービス内容によっては非常に大きなリスクを抱えます。

メンズエステは開業資金や運転資金を比較的安く利益率も高いため、開業に興味を持つ人も多いビジネスです。どのような場合に違法性が指摘されるのかをしっかりと確認していきましょう。

 

1-1.性的サービスを提供する店舗

表向きには健全店として性的サービスを禁じながら、実際には「裏オプション」を設けている店舗は少なくありません。

メンズエステの多くは男性客と女性セラピストが二人きりになる個室でサービスを行い、女性が男性の身体に触れます。その過程で裏オプションが求められたり、店舗側が容認していたりすることで性的サービスが実施されるという訳です。

しかし、裏オプションを容認している、または結果として実施してしまっている場合には「違法風俗店」として摘発の恐れがあります。

 

メンズエステの営業内容が風営法の対象となるかどうかは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条6項における次の条文が判断基準となります。

 

「個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」

 

条文にはサービスの詳細内容までは記載されていませんが、上記はいわゆるファッションヘルスやソープランドなどの店舗型性風俗特殊営業を定義した条文です。

現在の風営法ではラブホテルやアダルトショップなどの一部店舗を除き、店舗型性風俗店の許可を新規に取ることは実質不可能となっています。そのため、いかにグレーゾーンのサービスであったとしても摘発の可能性は十分にあると考えるべきでしょう。

 

1‐2.無免許のサービスを提供する店舗

エステサロンのサービス内容は多岐にわたりますが、医療行為などの免許を必要とする施術は各法令により禁止されています。施術者が無資格である場合には、使用・販売できる機器や薬剤についても制限が生じます。

 

【法規に関連する施術内容の例】

・医師法:医療脱毛、麻酔など

・あはき法:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の免許を必要とする施術

・柔道整復師法:骨格矯正などの治療

・美容師法・理容師法:首から上を美しくするための施術

・公衆浴場法:サロン内に入浴・シャワー・サウナなどの設備設置

・薬機法・景品表示法:医療行為と誤認される恐れや消費者の誤解を招くカウンセリング・商品販売

 

営業禁止エリアの店舗

摘発されたメンズエステの違反内容を確認すると「禁止地域営業」に該当する風営法違反のケースが目立ちます。

店舗型性風俗特殊営業の経営が禁止されているエリアで、性的サービスの提供を行ったという点が摘発のポイントです。

風俗店の営業は法により営業可能エリアが厳密に定められています。東京では台東区千束4丁目の一部地域(いわゆる吉原)に限定され、新規店舗の開業は非常に難しいのが現状です。

 

 

2.摘発の流れと罰則内容について

2‐1.摘発の流れ

警察がメンズエステ店を摘発するには、潜入捜査をして実態を探り、性的サービスが行われている確証を得ることが必要です。摘発に至るまでの例を解説します。

 

  1. 1.近隣住民の通報または口コミサイト閲覧などにより調査対象を認識
  2. 2.客を装い来店
  3. 3.施術途中に性的サービスを要求する
  4. 4.複数人のセラピストから施術を受け実情を確認
  5. 5.事実確認ができたら摘発

 

私服で一般客を装うため、警察官だと判断するのはほとんど不可能でしょう。またリピーターとして通ううちに、経営側の意図とは裏腹にセラピストが気を許してしまうケースも考えられます。

 

2‐2.罰則の内容

メンズエステ店が摘発された場合、店舗は営業停止処分になることが大半です。

店の経営者は風営法違反容疑により逮捕され「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの両方」という重い刑事処分を受ける可能性があります。セラピストが逮捕されるケースはほとんどありませんが、警察による事情聴取で「前歴」として記録に残る可能性は非常に高いと考えられます。

さらに、法令違反のみならず自治体により定められた行政処分が科されるケースもあります。加えて、数年後新たに風俗営業許可を取得しようとした場合には、人的要件の欠格事由に当たるために許可申請自体が不可能となってしまうのです。

 

 

3.違法とならない営業方法とは

3‐1.無店舗型性風俗特殊営業とする

性的サービスを含む内容を提供したいのであれば、派遣型とすることで可能になります。

風俗営業等の業種において規定されるもので「無店舗型性風俗特殊営業」といい、いわゆるデリヘルを定義しています。

決められた店舗ではなく客の自宅やホテル等に異性の従業者を派遣するため、店舗型性風俗営業には該当しません。届出のみで開業できるため、店舗型に比べかなりハードルが低くなります。

 

3‐2.性的サービスを絶対に行わせない

店舗型として営業する場合には、セラピストに性的サービスを絶対に行わせないことが重要です。

裏メニューを設定しないことはもちろん、どんな場合においても客の交渉には乗らないようセラピストへ日々教育しましょう。

「性的サービスの禁止事項」や「違法行為を行った場合の処分」について記載した業務委託契約書を交わすのも有効な方法です。

セラピストが独断で性的サービスを行っていた場合でも、店舗側が容認していないことを証明することで経営者が逮捕を逃れた事例がいくつか報告されています。

 

また、性的サービスの可能性を感じさせる店舗づくりは摘発のリスクを高める恐れがあります。サイト・広告のデザインや文言、店舗内装やセラピストの服装(性的好奇心を煽るようなミニスカートや水着・下着など)にも注意が必要です。

 

3‐3.禁止事項を客に周知する

客に禁止事項を知らせ、性的サービス容認の可能性がないことを認識してもらうことが大切です。

サイトや店舗の目立つ場所に禁止事項を明示するほか、施術前に「誓約書」を書いてもらうのも効果的な方法です。客による禁止行為がなされた場合の注意事項を記載した誓約書を保管しておくことで、万が一の際にも店舗側は性的サービスを容認していないことの証拠になるでしょう。

店舗側が容認していない行為が客によって一方的に行われたという事実が確認できれば、「セラピストの独断」または「強制わいせつ」だと証明できる可能性があります。

 

 

4.まとめ

さまざまな業態が展開されているメンズエステですが、性的サービスを行う店舗は基本的に違法です。

しかし、その実態としてはメンズエステのグレーゾーンを期待して来店する客が多いため、経営者は明確な姿勢を打ち出す必要があります。サービス内容によっては無店舗型性風俗の手続きをして、派遣型の営業を検討しましょう。

性的サービスを提供し、マンションの一室を借りて営業する方法は、店舗型性風俗特殊営業に該当し、違法です。

風営法を正しく理解し、合法の範囲で健全な運営を心がけることが大切です。

 

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参考記事:メンズエステの営業可能な物件の探し方について

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