カラオケ導入は風営法許可が必要?ケース別の手続きや注意点について解説

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コラム

目次

1.カラオケ導入のメリットと注意点

スナックやガールズバーの多くにはカラオケが設置されています。

お客が酒を飲みながら歌うことを楽しむことで、滞在時間や単価のアップ、そして満足度の向上につながるため、カラオケを置くメリットはとても大きいと言えるでしょう。

しかし、カラオケの設置によって風俗営業の許可申請が必要となるケースがありますので、注意しなければなりません。

当記事では、必要な手続きの内容をケース別に解説します。カラオケの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

1-1.カラオケで風俗営業の手続きが必要なケース①「接待」

店舗の業態によっては、客は単に酒やカラオケを楽しむだけではなく、ママやキャストなどのスタッフとのコミュニケーションを主体とする接客を求める場合も多いでしょう。

従業員が客と一緒にデュエットしたり歌の合間に手拍子したりする行為は「接待行為」、および客にカラオケを勧める行為としての「遊興行為」とみなされます。

これらのサービスが存在する場合には、風俗営業の許可を取らなければ違法とみなされ、営業停止処分やオーナーの逮捕などにもつながる可能性も高まります。

 

1-1-1.「接待」とみなされる具体的な行為内容とは?

風営法上では「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」が接待行為と規定されていますが、漠然としてイメージが湧きにくいかもしれませんね。
どのようなサービス内容が接待行為とみなされるか、具体例を見ていきましょう。

  • 1. 談笑やお酌
  • 2. カラオケのデュエット
  • 3. スキンシップ
  • 4. ゲーム
  • 5. カラオケの褒めはやし・手拍子

 

接待行為としては以上の内容が挙げられます。

これらを客同士で行うことは全く問題がなく、あくまで従業員と客が行う内容に限定されます。

客の代わりにカラオケ機器を操作するのも「遊興行為」となるので注意が必要。風俗営業の店舗でない場合は、断固として接待行為を禁じる意思が重要です。

 

1-1-2.「接待」がある場合の申請手続き

接待行為を前提としたサービス内容を展開するには、キャバクラやスナックと同様の「風俗営業1号」の許可を取る必要があります。
風俗営業許可の申請は以下の流れで手続きを進めます。

  • 1.3つの要件(人・立地・店舗設備)の調査
  • 2.申請書の作成・必要書類の準備
  • 3.管轄の警察署への申請
  • 4.風俗環境浄化協会・諸葛警察署による実地検査
  • 5.風俗営業許可証の交付(申請翌日から約55日が目安)

 

大まかに上記の内容となりますが、その実は非常に煩雑で複雑極まりないものです。

さらに新規店で飲食店営業許可を取得したうえで風俗営業許可の申請も行う場合には、かなりの労力と時間を要する覚悟がいるでしょう。

経営者は開業のための内装工事や各種手配などやるべきことが山積しています。一日でも早いオープンを目指したいのであれば、行政書士への相談をおすすめします。

 

1-2.カラオケで風俗営業の手続き必要なケース②「深夜営業(深夜酒類提供飲食店)」

「客とのデュエットや談笑は決してしない。ただし深夜0時以降も酒を飲みながら自由にカラオケで歌ってもらいたい」

そんな場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の許可手続きを行うのが適切です。

深夜酒類提供飲食店は、飲食店のなかでも酒類の提供をメインとして午前0時~6時に営業しているものです。具体的にはバーなどが挙げられ、ファミレスや牛丼屋などは主食をメインとしているため該当しません。

一般的なカラオケボックスはスタッフが客室で接待を行うことがないため風俗営業にはあたりませんが、深夜酒類提供飲食店営業に該当する可能性が極めて高いでしょう。

 

1-2-1.深夜酒類提供飲食店で可能な営業内容

前述のとおり、深夜酒類提供飲食店において接客行為はできませんが深夜0時を超えて営業し、酒やつまみを提供することは可能です。

客同士が勝手にカラオケを操作して歌うのも問題はなく、風俗営業ほどの厳しい規制もありません。

ただし、深夜酒類提供飲食店営業は警察署への届出が必要で、風営法や条例の規制があるため事前の確認は必須です。

また、風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店営業の両方を取得することはできません。

接待行為がある風俗営業店舗は営業終了時間(客がすべて出払う時間)が深夜0時までと定められています。

店舗のコンセプトや客のニーズにより、どちらを選択するか慎重に検討する必要があるでしょう。

 

1-2-2.深夜酒類提供飲食店営業の届出手続き

深夜酒類提供飲食店営業は警察署への「届出」により許可されます。

風俗営業のような申請は必要ありませんが、届出をすればすべての飲食店に許可が下りるわけではありません。

立地や店舗設備に関する要件を満たす飲食店のみに許可が下ります。
以下が手続きの流れです。

  • 1.2つの要件(立地・店舗設備)の調査
  • 2.届出書の作成・必要書類の準備
  • 3.管轄の警察署への届出(店舗オープン10日前までに)

深夜酒類提供飲食店営業の書類作成自体はそう難しいものではなく、実地検査も無いため自身でも行える可能性はあります。

しかし、営業可能な立地の調査や、飲食店営業許可と併せて手続きする場合の内装準備、適合設備(厨房・衛生機器、照明・音響、什器)等についての設置など、それなりの労力を要する点は否めません。

 

 

2.カラオケの設置で気を付けるべきポイント

経営者として体制を整えていたとしても、店舗内で不備があれば摘発につながる可能性があります。最後に、カラオケの設置で気を付けるべきポイントをいま一度確認していきましょう。

 

2-1.接待行為に注意

繰り返しになりますが、風俗営業許可を受けていない場合には接待行為を行うと風営法違反となります。

酒がすすんで場が盛り上がってくると、客がデュエットをせがんだり、スタッフが手拍子してしまったりということは大いにあり得ます。

深夜酒類提供飲食店営業の店舗でこうした接待行為が行われていたとしても問題です。

無許可営業による風営法違反の罰則は重く「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその両方」という内容を科せられる場合があります。

「警察が来たタイミングでたまたまやってしまっていた」という言い逃れは大変むずかしいものです。リスクを十分に理解したうえで、従業員にも周知・教育することが重要です。

 

2-2.騒音や振動に注意

カラオケを設置する際は、騒音や振動にも十分な配慮が必要です。特に近隣地域から苦情が起こってしまった場合には警察から指導を受け、サービス内容によっては摘発につながる恐れもあります。

騒音や振動については風営法で大枠が決められているのですが、詳細については各地域の条例を守る必要があり、時間帯ごとの許容騒音レベルに対応しなければなりません。

例えば東京都の場合では、カラオケなどの音響機器は音が漏れないように防音しなければ午後11時から翌朝の午前6時までは、原則として使用することができません。

なお、この基準に違反した場合は遵守事項違反として最初に指示処分、それにも従わない場合は10日以上80日以下の営業停止処分となる場合があります。

 

参考:東京都環境局|日常生活の騒音・振動の規制
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/noise/noise_vibration/rules/300200a20220907112602077.html

 

2-3.カラオケの業者選びは重要

カラオケの導入を検討しているならば、業者選びは大変重要です。

カラオケ業者はさまざまな夜の店に出入りしているため、機器や導入方法についてはもちろん、QR・クレジットカードの決済方法、物件の空き情報に及ぶまであらゆる情報を持っています。

カラオケはメンテナンスも必要なため、導入後の長い付き合いを考えれば、動きのいい営業マンと知り合うことでオープン後の営業にも大きなメリットをもたらしてくれるでしょう。

 

 

3.まとめ

今回はカラオケ設置で必要な風俗営業の許可について、さらにそれぞれの手続きについて解説しました。

通常のスナックなどのように、客とコミュニケーションを取りながらカラオケを楽しむ店舗であれば風俗営業の許可申請が必須です。接待行為を禁ずるストレスを常に感じるのであれば、順当な手続きを踏んで風俗営業店舗を目指しましょう。

また余談になりますが、私たち風営法の行政書士がいろいろなお店に出入りさせてもらっていると、最新機種のカラオケを導入されている店舗では見栄えの違いを感じます。

カラオケバーを営業されるのなら、最新機種の方が音響も良く、集客効果・リピート率の向上も狙えますので、ぜひ検討してみてください。サービスのいいカラオケ業者のご紹介することができます。

当事務所は、風営法専門の行政書士事務所として首都圏を中心に年間300件以上の申請に携わっています。

風俗営業の許可申請をご検討の方は、行政書士法人ARUTOまでお気軽にご相談ください。

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