居酒屋は深夜営業の許可が必要?条件や届出の手続きを徹底解説!

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コラム

目次

1.はじめに

深夜0時を過ぎてもお酒をメインに提供し続ける飲食店では、基本的に「深夜営業」の許可(正しくは、「深夜酒類提供飲食店」)が必要です。

一方、お酒だけでなく食事もバリエーションも豊富な居酒屋においては、「食事もメインだから深夜営業許可は不要では?」と考える経営者の方が少なくない様子。

しかし、それは誤解です。居酒屋で深夜営業をする際には、風営法に基づいた届出が必要となる場合があり、これを怠ると罰則の対象となるリスクもあります。

よく当事務所に居酒屋を経営されていてご相談を受けるのが、

  • ・午前0時以降に客のトラブルで警察に通報が入った
  • ・銀行の融資を受ける際に、深夜酒類提供飲食店の手続きをしていないことを指摘された

というケースが多いです。

この記事では、居酒屋が深夜営業をする際に必要な届出の有無や、手続きの方法について詳しく解説します。居酒屋を安心して経営するために必要な知識を学び、リスクを回避して営業を行うため、ぜひ参考にしてください。

 

 

2.居酒屋は深夜営業許可の申請(届出)が必要!

酒類をメインに提供する飲食店が深夜0時以降も営業する場合は、店舗の所在地を管轄する警察署にて「深夜酒類提供飲食店営業」の手続きを行わなくてはなりません。

これは、風俗営業法(通称「風営法」)に基づき、深夜帯の営業活動を管理・監視するために定められた制度です。この法律のもとでは、深夜営業による地域の治安維持や騒音問題の防止を目的に、一定のルールが設けられています。

居酒屋も深夜営業を行う場合は当該の届出が必須となります。

 

居酒屋の深夜営業許可手続きはなぜ必要?条件は?

食事メニューも豊富な居酒屋ですが、やはり読んで字のごとく、酒類をメインとする飲食店には違いありません。

深夜に営業することで騒音や治安の問題が発生しやすいとされており、それを防ぐための管理が必要とされています。こうした社会的な背景から、風営法は夜間営業を行う飲食店などに特別な届出を義務付けているのです。

 

飲食店の深夜営業に際して届出が必要となる条件は主に以下の2点です。

  • ・午前0時から午前6時までの間に営業する
  • ・酒類をメインとして提供する

 

深夜営業する居酒屋は上記2点の条件いずれも当てはまるため、適切に手続きを行うことが求められます。

ラーメン屋やファミリーレストランなど、明らかに主食がメインの飲食店は深夜営業の届出が不要となりますが、居酒屋でラーメンやハンバーグなどを提供していたとしても「主食をメインに提供する飲食店」とは認められないので注意しましょう。

 

無届営業のリスクと罰則

無許可で深夜営業を続けると、風営法違反として罰則の対象となります。

無届が発覚した際は、正当に届け出るよう指導を受け、厳しい罰則が科される可能性もあります。罰則の内容は「50万円以下の罰金」となっていますが、指導を受けたにもかかわらず届出を行わない場合は「最長6ヶ月の業務停止」を受ける可能性もあるため注意が必要です。

営業停止が続けばお店の信頼にも影響が及び、長期的な経営にも悪影響を与える恐れがあるため、必ず必要な届出を行いましょう。

この手続きを怠っていただけで、増店する際に銀行から融資を受けようと思ったが断わられたという話もよく聞きます。

 

 

3.そもそも深夜営業(深夜酒類提供飲食店)とは

では、そもそも「深夜酒類提供飲食店」とはどのようなものなのでしょうか。

この区分は、風営法によって定められ、深夜における飲食店の営業形態やお酒の提供状況によって決まります。

飲食店がこの区分に該当する場合、必要な手続きを行わないと違法営業として取り締まられる可能性があるため、深夜に営業する店舗はしっかりと理解しておくことが大切です。

 

深夜酒類提供飲食店の概要

「深夜酒類提供飲食店」とは、深夜0時から朝6時までの間にお酒を提供する飲食店のことを指します。

深夜営業を開始するには、管轄の警察署へ「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出することが必要です。

対象になる具体的な店舗としては、主に居酒屋、バー、立ち飲み屋などが該当します。

ただし、これらの業態に該当する場合でも、深夜0時から午前6時までの深夜時簡帯に別業態(居酒屋→ラーメン屋、ダイニングバー→レストランなど)になるケースでは、深夜酒類提供飲食店営業届は必要なく飲食店営業許可で営業することができます。

しかし、公安委員会の判断が分かれる可能性もあるため、必要な手続きについては警察署や行政書士へ事前に相談しましょう。

 

深夜営業を行うための2つの要件

届出さえすればすべての店舗が深夜営業できるかといえば、そうではありません。

深夜営業を行える飲食店は店舗の立地や設備などに一定の要件があり、それらを満たす必要があります。

深夜酒類提供飲食店の営業に対して求められるのは、大きく分けて以下2つの要件です。

 

【立地に関する要件】

深夜営業の許可を受けるには、都市計画法の「用途地域」規定の遵守が必須です。用途地域とは、市街地の土地利用を「住居」「商業」「工業」などに分類し、無秩序な混在を避けるためのルールで、都道府県ごとの条例で定められています。

深夜営業は、騒音による近隣住民への影響を最小限に抑えるため、用途地域によって制限されます。

例えば東京都では、「住居」関連地域での飲食店による深夜営業は不可。「商業」または「工業」地域での営業が認められていますが「工業」地域は集客が見込みにくいため、飲食店は「商業」地域を選ぶのが一般的です。

なお、学校、図書館、病院、診療所などの「保全対象施設」周辺では、一定距離内の風俗営業は禁止されていますが、深夜営業の飲食店には適用されません。

自治体によっても条例が異なるため、市区町村の都市計画課、または自治体ウェブサイトで、営業可能なエリアをチェックしましょう。

 

【設備に関する要件】

深夜営業では、店舗の設備に関してもいくつかの要件があります。一つでも要件を満たさなければ深夜営業は認められず、届出を受理された後も要件の内容を維持し続けることが求められます。

その内容をまとめると、以下の通りです。

  • ・客室の出入口に施錠設備を設けない
  • ・客室の内部に見通しを妨げる遮蔽物を置かない
  • ・客室の床面積は9,5㎡以上(客室が1室の場合を除く)
  • ・善良の風俗を害するおそれのある写真・公告物・装飾等を設けない
  • ・騒音・振動の数値を条例で定める数値以下にする
  • ・照度は20ルクス以下にしない

設備の要件については自治体によって独自の条例が定められていることもあります。具体的な要件は、営業地域の警察署に確認しましょう。

 

 

4.深夜営業(深夜酒類提供飲食店)の届出手続き

居酒屋が深夜営業の許可を得るためには、風営法に基づく届出が必要です。届出手続きは店舗所在地の警察署で行われ、定められた書類を提出することで完了します。

 

必要書類の準備

自治体によっても異なりますが、深夜営業の届出を行う際には、主に以下の書類の提出が求められます。

 

  • ・深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書
  • ・営業の方法
  • ・図面(平面図、求積図、音響・照明設備図)
  • ・飲食店営業許可書のコピー
  • ・住民票
  • ・法人の場合:定款、法人登記事項証明書、役員全員の住民票など
  • ・システム・メニュー表

 

開店の10日前までに提出

深夜営業を開始する場合、開店日の10日前までに届け出る必要があります。

提出先は営業する店舗の所在地を管轄する警察署で、内容に問題がなければ深夜営業の許可が下ります。ただし、書類に不備があると再提出が求められるため、十分に注意して準備しましょう。特に新規開業の店舗は、期間に余裕をもって進めることをおすすめします。

 

 

5.まとめ|適切な手続きでトラブル・リスクのない居酒屋経営を

深夜営業許可は、風営法に基づいた重要な手続きであり、居酒屋の経営者にとっては必須の知識です。無届出での営業は罰則の対象になるだけでなく、融資に影響を及ぼすなど店舗経営にも影響を及ぼす可能性があります。

居酒屋の深夜営業を安心して行うためには、必要な届出をしっかりと行い、法令を遵守した営業を心がけましょう。

また、深夜営業の届出は風俗営業の申請に比べ難易度が低いといえますが、提出書類の中には正確な測量が必要になったり、専門的なツールの活用が推奨されたりなど、個人での作成が難しいものも含まれます。

スムーズな開店を目指すなら、行政書士など専門家への依頼も選択肢のひとつです。

 

渋谷区恵比寿を拠点とする行政書士ARUTOは、風営法に関する業務を得意としており、煩雑な書類作成から提出までをトータルでサポートいたします。

初めて許可申請を行う方や、手続きに不安がある方も安心してご依頼いただけます。

居酒屋の営業に関するご相談、各種手続き等についてもぜひお任せください。初回相談は無料にて承ります。

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