目次
- 1.はじめに
- 2.キッチンカーは「飲食店営業(自動車)」の許可が必要
- 2-1.「飲食店営業(自動車)」とは
- 2-2.申請先は出店場所を管轄する保健所
- 2-3.「食品衛生責任者」の資格が必要
- 2-4.営業許可の更新期間と取得費用
- 3.キッチンカーの営業許可を取得する流れ
- 3-1.保健所に事前相談
- 3-2.基準を満たしたキッチンカーを発注
- 3-3.保健所への提出書類を用意
- 3-4.保健所でキッチンカーの検査を受ける
- 3-5.営業許可証の交付・営業開始
- 4.キッチンカー営業許可の必要書類
- 5.キッチンカーの許可申請でチェックされる設備項目
- 6.まとめ|キッチンカー営業許可はぜひ行政書士に相談を
1.はじめに
出店場所の選択肢が幅広く、店舗に比べ初期費用も安い「キッチンカー」。ビジネスとして魅力を感じる方も多いでしょう。
しかし、キッチンカーによる移動販売を行う場合は保健所の飲食店営業許可が必要です。
はじめて開業する方の中には「何から始めればいいか分からない」という方も少なくないでしょう。
この記事では、キッチンカーでの営業をスムーズに開始するために、必要な許可の内容や取得の流れ、必要書類や検査項目などをわかりやすく解説します。
ぜひ参考にしてください。
2.キッチンカーは「飲食店営業(自動車)」の許可が必要
キッチンカーを営業するためには、保健所による営業許可の取得が必要です。
営業許可にはいくつかの種類がありますが、キッチンカーの営業に必要なのは「飲食店営業(自動車)」という種類の許可。この許可の内容や申請先などについて解説していきます。
2-1.「飲食店営業(自動車)」とは
自動車を用いて食品の調販売を行う営業の種類は大きく「販売業」と「調理営業」の2つに分かれています。
- ・販売業:自動車を用いて食品を販売する形態(移動コンビニや移動スーパー等)
- ・調理営業:自動車を用いて、車内で調理・販売する形態(弁当や菓子等を販売するキッチンカー等)
以前まで調理営業は扱う商材により「喫茶店営業」、「飲食店営業」、「菓子製造業」に分類されていましたが、食品衛生法の改正により現在は「飲食店営業」に一本化されています。キッチンカーを開業するときは「飲食店営業」の区分で申請しましょう。
2-2.申請先は出店場所を管轄する保健所
飲食店営業許可の申請を行う先は管轄の保健所です。キッチンカーの場合、営業者の住所地ではなく「販売先のエリア」となります。
保健所による管轄エリアは各自治体で内容が異なります。例えば、東京都ではいずれの保健所で手続きしても都全域での営業が許可されますが、埼玉県さいたま市で許可取得した場合はさいたま市内のみ。他の埼玉県市内では営業ができません。
広範囲でキッチンカーを走らせたいと考える場合は、複数の保健所にて許可が必要になるケースもあるため注意しましょう。
2-3.「食品衛生責任者」の資格が必要
営業許可の申請前に、申請者または従業員の中から「食品衛生責任者」の資格を取得しておく必要があります。
この資格は、食品の安全性を管理するための基礎的な知識を持つ者に与えられるもので、「食品衛生責任者養成講習」を受講することで取得できます。講習は1日で終了しますが、余裕を持って取得しておきましょう。
2-4.営業許可の更新期間と取得費用
営業許可は通常5年間有効です。更新を忘れて無許可で営業してしまった場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられるため、許可期限満了日の約1カ月前に必要書類を提出し、ぬかりなく更新手続きしましょう。
また、営業許可の申請手数料は地域によって異なりますが、1つの許可で16,000〜19,000円程度かかります。複数地域で許可を取得する場合は費用もかさむため、あらかじめ予算に計上しておくことが重要です。
3.キッチンカーの営業許可を取得する流れ
キッチンカーの営業許可は、一般的に以下のような流れで取得します。
- 1.保健所に事前相談
- 2.基準を満たしたキッチンカーを発注
- 3.保健所への提出書類を用意
- 4.保健所でキッチンカーの検査を受ける
- 5.営業許可証の交付・営業開始
3-1.保健所に事前相談
まずは、営業予定地を管轄する保健所に事前相談を行います。この段階で、営業許可の取得に必要な条件や必要書類、車両の基準などを確認することができます。
相談は1回だけでなく数回行うのが一般的です。相談がスムーズに進むよう、キッチンカーの設計図や販売メニューを事前に用意しておきましょう。保健所担当者のアドバイスをきちんと取り入れれば、開業準備にも役立ちます。
3-2.基準を満たしたキッチンカーを発注
保健所の指導に基づき、基準を満たしたキッチンカーを発注します。
内外装にこだわって理想的なキッチンカーで開業したいという場合は新車がおすすめですが、改装費まで含めると300~500万円ほどの費用が必要です。初期コストを抑えたい場合は、レンタルや中古車なども視野に入れて検討しましょう。
3-3.保健所への提出書類を用意
次に、保健所に提出する書類を準備します。
提出書類には、営業許可申請書、車両の設計図、食品衛生責任者の資格証明書などが含まれます。これらの書類は保健所ごとに内容や書式が異なるため、指示に従って正確に準備することが重要です。
3-4.保健所でキッチンカーの検査を受ける
書類の準備が整ったら申請手続きを行い、保健所にキッチンカーを持ち込み検査を受けます。
この検査では、車両の設備が基準を満たしているか、衛生面に問題がないかなどがチェックされます。一つでも不備があると再検査が必要になるため、事前確認を入念に行って検査に臨みましょう。
3-5.営業許可証の交付・営業開始
無事検査を合格できたら、保健所から営業許可書の交付予定日が伝えられます。通常は数日から1週間程度で交付となります。
この許可証を受け取り次第、キッチンカーでの営業が開始可能です。
4.キッチンカー営業許可の必要書類
キッチンカー営業許可の申請に必要な書類は保健所により異なりますが、主に以下の内容が求められます。
・営業許可申請書
・車両の構造及び設備を示す図面
・営業の大要
・食品衛生責任者の資格を証明する書類
・自動車検査証
・申請手数料(16,000~19,000円)
5.キッチンカーの許可申請でチェックされる設備項目
キッチンカーの営業許可の申請時には、主に以下の設備項目がチェックされます。
・面積:取扱品目や量に応じた十分な面積が確保されているか
・構造:耐水性・耐久性があり十分な明るさを確保できる衛生的な構造になっているか
・調理場の区切り:運転席と調理場が完全に仕切られているか
・給水・排水タンクの容量:十分な大きさの給水・排水タンクを設置しているか
・シンクの数とサイズ:調理に必要なシンクが適切な数とサイズで設置されているか
・非接触水道の導入:手洗い後にハンドル部を触らなくて済む非接触水道の導入があるか
・手洗い石鹸・消毒:手洗い用の石鹸や消毒液が常備されているか
・保管設備:食品を衛生的に管理できる棚があり、密閉性のある蓋つきのケースを設置しているか
・冷蔵庫・冷凍庫:食品の保存に必要な冷蔵庫や冷凍庫が適切に設置されているか
・換気扇:調理時の煙や臭いを排出するための換気扇が設置されているか
・フタ付きゴミ箱:臭い漏れや害虫・害獣が寄ってくることのないフタ付きのゴミ箱があるか
キッチンカーの設備基準は、2021年6月の食品衛生法改正に伴い全国で統一されました。しかし、細かい基準や条件が自治体によって異なるケースも多いため、管轄の保健所で事前に確認しておくと安心です。
6.まとめ|キッチンカー営業許可はぜひ行政書士に相談を
今回は、キッチンカーの開業に必要な営業許可について解説しました。
キッチンカーで営業許可を取得するためのポイントは以下の3つです。
- ①保健所に事前相談する
- ②申請条件やチェック項目を確認する
- ③基準に合ったキッチンカーを用意する
保健所からのアドバイス通りに必要書類や車両の用意を進めれば、営業許可を取得するはそう難しいことではありません。
しかし、営業エリアに応じた条件の把握や車両改装時の業者相談など、食品衛生法への理解がなければ複雑に感じることも少なくありません。一日でもスムーズな開業を目指したいという場合には、飲食店営業許可に精通する行政書士への相談がおすすめです。
渋谷区恵比寿を拠点とする行政書士法人ARUTOでは、飲食店営業に関する許可申請について豊富な実績を持ちます。
保健所と連携を取りながら手続きを進行。実査の立ち合いまで行うので、申請者様は許可申請に手間取ることなく開業準備に専念していただけます。
キッチンカーの開業をご検討の方は、ARUTOまでお気軽にご相談ください。