ビアポンバーに風営法許可は必要?開業のポイントを解説

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コラム

目次

1.はじめに

テーブルの両端に置かれたビールカップに、ピンポン玉を投げ入れあうアメリカ発祥の競技「ビアポン」。

近年はダーツやビリヤードと同じように、アミューズメントバーの種目としてじわじわと人気を高めています。ビアポンは外国人のファンも多いため、インバウンドが急速に拡大中の今、開業に商機があるとみてもいいでしょう。

ただし、デジタルゲーム機を使ったビアポンバーの営業には「風俗営業の許可」が必要。現状は新しいアミューズメントバーの形態として警察の監視も届きにくいため、無許可のまま営業する店舗が多い実情がありますが、今後摘発の対象となる可能性は低くありません。

そこで今回は、ビアポンバー開業に必要な許可の種類や手続きを通して、開業のポイントを詳しく解説していきます。これから開業を考えている方や、すでに運営している方も、ぜひ参考にしてください。

 

 

2.ビアポンバーの開業に必要な許可とは

2-1.そもそもビアポンバーとは

ビアポンバーはその名の通りビアポンゲームを楽しめるバーですが、現在日本で流行り始めているのはデジタルマシンのゲーム機を使った店舗です。

基本的なルールは同じものの、大迫力のサウンドやド派手なバックライトの盤、ICチップ入りのピンポン玉などを使用し、客を盛り上げる工夫が凝らされたゲーム機が採用されています。

 

2-2.ビアポンはドリンクの売上アップが見込める

ビアポンゲームでは、ピンポン玉を入れられてしまった相手チームがドリンクを飲むルールがあるため、ゲームが盛り上がるほどに飲酒が進む仕組み。店舗側としては、ダーツやビリヤードよりも速いピッチでドリンク売上を見込めることもあり、ビアポン専門バーとしての開業はもちろん、既存の店舗にゲーム機を取り入れるのもおすすめといえるでしょう。

 

「飲食店営業」と「風営法5号」の許可が必要

ビジネスとして魅力的なビアポンバーですが、開業する場合には主に以下の2つの許可が必要となります。

 

  • 1.飲食店営業の許可(食品衛生法に基づく)
  • 2.風俗営業5号の許可(風営法に基づく)

 

飲食店営業の許可は、飲食物を提供するすべての店舗において必須の許可です。一方、風俗営業5号の許可は、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備を設けて客に遊技をさせる営業」に該当する際に必要な許可となります。

ビアポンは、アルコールを提供しながらゲーム機で遊ばせるという性質上、風俗営業5号に該当すると判断されるのです。

現状では5号許可を取らず、一般的なバーなどと同様の深夜営業(深夜酒類提供飲食店営業)の届出のみで営業を行っている店舗がほとんどですが、今後ビアポンバー営業が拡大するほどに摘発・警告の可能性が高まる恐れがあります。

5号営業を取得すれば深夜営業が認められなくなるため、どのような業態を選択するかは、バー経営としての死活問題といえるでしょう。

 

2-3.デジタルダーツの扱い方

ビアポンバーにもよく設置されているデジタルダーツですが、バーにデジタルダーツが単独で設置されている場合は風営法的にはゲーム機扱いされません。

ただし、デジタル機のビアポンが設置されている場合ですと、デジタルダーツ機もゲーム機扱いされて10%ルールで対応することが難しくなるので注意が必要です。

参考:平成30年9月警察庁通達 デジタルダーツの解釈運用基準

 

 

3.こんな場合は許可不要!

ビアポンを実施するすべての店舗で風営法の許可が必要というわけではありません。以下のような場合は許可が不要となる可能性があります。

 

【「10%ルール」適用の場合】

レストランやバーの客室床面積のうちゲームを行うスペースが10%未満の場合は、風営法の許可が不要となります。

なお、計算上ではゲーム機設置面積の3倍の面積が遊技面積と判断されるため注意が必要です。例えば、客室の面積が60㎡であれば、許容スペース面積は6㎡以下。実質的なゲーム機設置面積は2㎡以下となります。

※客室が複数に分かれる場合は客室の合計値ではなく、各客室の大きさに占める割合で計算することになるため、営業者にとっては不利となりますので注意が必要です。

 

【ゲーム機を使用しない場合】

電子機器を使用せずに完全にアナログな形式でビアポンゲームを提供する場合も、風営法の規制対象外となります。

ビアポン本来の形式として、デジタル機を使用しない形式のビールカップにピンポン玉を投げ合うという形であれば、ギャンブル性がない限り摘発されることはないでしょう。

 

【イベント利用する場合】

常設ではなく一時的なイベントとしてビアポンゲームを提供する場合は、許可が不要となることがあります。ただし、イベントの頻度や規模によっては許可が必要となる場合もあるので注意が必要です。

 

3-1.ビアポンバーを無許可で営業した場合のリスク

では、必要な許可を取得せずにビアポンバーを営業した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?

風営法違反による摘発を通じて考えられるリスクを紹介します。

 

【営業の停止】

風営法違反に該当する無許可営業は、警察による摘発の対象となります。摘発されれば営業の即時停止を命じられる可能性があります。

 

【罰則】

風営法違反に対する罰則は厳しく、以下のような処分が科される可能性があります。

・2年以下の懲役

・200万円以下の罰金

 

【社会的信用の失墜】

摘発された場合はメディアで報道される可能性もあり、店舗や経営者の社会的信用が大きく損なわれる恐れがあります。

 

【将来的な営業許可取得の困難】

一度違反で摘発されると、再び許可を取得することが非常に困難になります。

 

【民事上の問題】

店内のトラブルがきっかけとなり無許可営業が発覚した場合、保険の適用外となる可能性があり、高額な賠償責任を負う恐れがあります。

 

 

4.ビアポンバーとして許可を受けるための要件

ビアポンバー営業で風俗営業5号の許可を取得するためには、「人的要件」「場所的要件」「構造的要件」すべての要件を満たすことが必要です。

その主な内容をチェックしていきましょう。

 

人的要件(営業者に関すること)

・成年被後見人または被保佐人でない

・破産者で復権を得ていない者でない

・風営法違反などの前科がない

・営業者(法人の場合は役員)が18歳未満でない

・暴力団員等でない

・アルコール・麻薬・薬物などの中毒者でない

 

場所的要件(営業エリアに関すること)

・学校、病院、図書館などの「保全対象施設」から一定距離(通常100m以上)離れている

・良好な風俗環境を害する恐れのある場所でない

・地域の風俗環境の保全に照らして適当である

 

構造的要件(店舗内装や設備に関すること)

・営業所の構造および設備が風俗営業5号の種別に応じて定める基準に適合している

・防音、防振などの措置が適切に講じられている

・消防法令に適合している

 

構造的要件については、5号営業の業態に応じて非常に細かい規定が定められており、すべての要件をクリアして実地検査を通過しなければ許可されません。物件探しから内装工事にいたるまで、風営法に精通する専門家のサポートがあると安心でしょう。

 

 

5.まとめ|ビアポンバー営業のご相談は行政書士法人ARUTOまで

いかがでしたか?ビアポンバーの開業には、一般的な飲食店以上に細かな法的要件があることがお分かりいただけたと思います。

許可を取得して健全な経営が実施できれば、他店との差別化や信頼性の向上にもつながるでしょう。

ただし、風俗営業の許可取得は決して簡単なプロセスではなく、詳細な寸法や項目を記入した図面をはじめとする申請書類の用意や実地検査など、複雑で難解なハードルを越えなくてはなりません。

「手続きに予想以上の時間や手間を要してしまった」という方も非常に多いため、できる限りスムーズな開業を実現したいという場合には、行政書士のサポート受けることをおすすめします。

 

当事務所では、風営法に関する相談や許可申請の代行を行っています。経験豊富な行政書士が、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスと手続きのサポートを提供いたします。

ビアポンバーの開業や運営でお悩みの方は、ぜひお気軽に行政書士法人ARUTOまでご相談ください。

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