18歳の高校生を風営法のお店で働かせてもいいの?

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コラム

目次

1.素朴な疑問

「18歳の高校生を風営法のお店で働かせても大丈夫ですか?求人を出したら、18歳になったばかりの高校生が面接で来まして、法律的に問題ないがないなら働かせたいなと思います。通信制の学校だから大丈夫ですよね?」というような質問を時々、経営者の方からご質問を受けることがあります。

 

2022年4月に民法が改正されて、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

 

この民法改正によって、18歳になればクレジットカードを持つことができますし、保護者の同意を得ることなく契約をすることができるようになりました。

 

でも、よく考えてみてください。日中は制服を着て高校に行っている女の子を風営法店舗(性風俗を含む)、またはバーなどの深夜営業をするようなお店で働かせることに問題はないでしょうか?

 

法律的根拠を持って、風営法専門の行政書士が説明していきたいと思います。

 

 

2.法律的根拠

2-1.風営法の根拠は、青少年健全育成の精神

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第1条では、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、・・・年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資する」と明文されています。

 

この条文で言う、少年や年少者というのは、年齢でいうと、18歳未満の者を指します。18歳未満の者を少年・年少者と呼び、風営法では18歳未満の者を法律で規制しているのです。

 

日本では、中学校までは義務教育ですので、中学生以下は少年という括りに入ります。

 

高校生についてですが、高校は義務教育ではありませんが、一般的に中学校を卒業したら、高校に進学をして18歳の代で卒業するのが大半を占めます。18歳になるまでの時点では、高校生も少年という括りに分類されます。

 

風営法とは別の法律になりますが、少年法では18歳・19歳は特定少年として、引き続き少年法が適用されます。そのあたりが民法改正でまだ世間一般的に馴染んでいないので、難しく感じるところなのではないでしょうか。

 

結論を言いますと、18歳の高校生は、風営法の規制の対象となる18歳未満の者には該当しません。定時制、通信制の学校だからということも関係ありません。

 

 

2-2.風営法の具体的な年齢規制

風俗営業(性風俗店舗を含む)を営む場合、下記の項目が風営法で年齢規制されています。

  1. ① 18歳未満の者に接待をさせることはNG
  2. ② 午後10時~午前5時までの深夜帯に、18歳未満の者に、接客をさせることはNG
  3. ③ 18歳未満の者が客として、1号営業店舗(キャバクラ・ホストなど)、4号営業店舗(マージャン店、パチンコ店)に入らせることはNG
  4. ④ 未成年者(18歳未満)が風営法の許可を取ることはできない
  5. ⑤ 未成年者(18歳未満)が風営法の管理者にはなることができない
  6. ⑥ 20歳未満の者に喫煙・飲酒をさせてはいけない

 

上記以外にも、5号営業のゲームセンターや特定遊興飲食店(ライブハウスなど)は、保護者同伴や時間帯などの条件によって18歳未満の者が客として立ち入りが許されます。

 

※改正民法によって、成年年齢は引き下げられましたが、飲酒・喫煙の年齢の引き下げはされていません。これまでと同じで、満20歳以上から飲酒・喫煙されることが許されます。

 

 

2-3.労働基準法について

18歳未満の者の扱いについて、労働基準法にも触れておくと、「18歳未満の者は、深夜帯(午後10時~午前5時まで)の営業に従事させてはいけません。」

 

逆に、高校生でも満18歳以上の者は未成年者ではありませんので、法律的には深夜労働に従事させることは可能となります。

 

しかし、法律的に問題がないからと言って、本業である学業に支障を及ぼしかねるような働き方は、当然、雇用者はさせてはいけません。

 

 

3.高校生を雇うことで起きる問題

法律的には、18歳の高校生は成年年齢に達していますし、風俗営業店舗で働くことは可能です。

 

しかし、18歳の高校生を雇うことでお店や本人に起きる問題も予想されますので、その辺りを一緒に考えていきましょう。

 

18歳の高校生をお店で働かせることで、下記のような苦情などが入り、お店に対しても不利益なことが起こるとが予想されます。

 

  1. ① 保護者からの苦情
  2. ② 学校からの苦情
  3. ③ 警察への通報
  4. ④ 掲示板やネット評価が低くなるおそれ

 

成人したと言っても、両親がキャバクラで働くことに反対してお店に怒鳴り込むというのも想像できます。

 

また、学校の校則で風俗店で働くのを禁止しているところもあることでしょう。仮に、校則にそういったことが具体的に記載されていなくても、学業に支障を及ぼしかねるアルバイトをしてはいけないと常識的な禁止行為にあたると考えられます。

 

その結果、学校を退学させられるという、本人に対して不利な結果を与えてしまうおそれもあるかと思います。

 

そういった情報は警察にも入りますし、事実関係を確かめるべく、所轄の警察もお店に対しては調査を行うでしょうし、警察がお店を見る目も厳しくなることでしょう。

 

近年ではSNSが発達して情報発信が容易にできます。未成年者を雇用しているとネット上で噂になってしまうのもお店にとっては不利益になります。

 

 

4.まとめ

風営法では、「青少年の健全育成」をうたって年齢制限を設けていますが、世間一般的には、少年とは、中学生・高校生のことを指します。

 

例え、法律的には問題がないからと言って、

  • 制服を着た18歳の高校生がパチンコをうっているのをお店側は見過ごしてもいいのでしょうか。

パチンコ店を運営しているお店ならば、必ず、退店させることをするはずです。制服を着た高校生がお店で客としていると、一般客は違和感を感じるでしょうし、運営者側は雰囲気を維持するのも仕事だからです。

 

18歳の高校生を雇用するかどうかは、雇用する側のモラルの問題でもあります。

 

3月の卒業待ちの状態である18歳の高校生と、4月に18歳になったばかりという高校生では、同じ高校生でも立場が全然違います。後者であれば学業の真っただ中の時期ですので、法律的に問題がないからと言っても絶対に雇用してはいけません。

 

本人とお店の両方が不幸になってしまうリスクが大きいからです。

 

この記事を最後まで読んでいただいた方なら、18歳の高校生を雇うことのリスクを分かって頂けたのではないでしょうか。

 

未成年者の雇用については、風営法だけでなく、労働基準法・労働福祉法も絡んできますので重罪となり、警察の取り締まりも厳しくなります。

 

当法人は、風営法専門の行政書士事務所として、首都圏を中心に年間300件ほどの風営法案件を取り扱っており、経験も豊富です。

 

お困りごとがございましたらお気軽に当法人にご相談ください。ご相談は無料にて承っています。

 

 

 

 

 

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